育て方ガイド初期飼料

ブラインシュリンプの沸かし方

かんたんに言うと

水1Lに食塩20gの塩水で、26〜28℃・エアレーションありなら約1日で孵化します。殻を分けて淡水ですすぎ、栄養価が高い孵化直後のうちに与えます。

ブラインシュリンプ(アルテミア)の孵化したての幼生(ノープリウス)は、多くの卵生魚・稚魚の初期飼料の定番です。生き餌なので食いつきがよく、稚魚の腹に入るとオレンジ色に透けて「食べているか」が一目で分かります。ここでは家庭でいちばん一般的な、ペットボトルでの沸かし方を手順で説明します。

ブラインシュリンプ(アルテミア)の孵化直後の幼生(ノープリウス)。オレンジ色で、稚魚の腹に入ると透けて見える。
ブラインシュリンプ(アルテミア)の孵化直後の幼生(ノープリウス)。オレンジ色で、稚魚の腹に入ると透けて見える。 撮影: Лисицын Павел(Pavel Lisitsyn) / CC BY-SA 4.0

用意するもの

  • アルテミア耐久卵(乾燥卵) — アクアリウム用として市販。ソルトレイク産などが定番
  • 食塩(または人工海水の素)
  • 容器 — 500ml〜1Lのペットボトルが定番
  • エアポンプ+エアストーン(ペットボトル式では必須/皿式は不要)
  • ライト(加温と、回収時に幼生を集めるのに使う)
  • スポイト・細かいネット/コーヒーフィルター(回収と塩抜き用)

手順

数値は資料によって幅があります。下の値は複数の解説で共通する目安です。

約2%塩分(水1Lに食塩20g)
26〜28℃水温(冬は加温)
約1日孵化(18〜36時間)
効くのはこの3つ=塩分・水温・時間。塩水にエアレーションで卵を舞わせ、26〜28℃を保てば約1日で孵化します。濃度は諸説あり、2〜3%の範囲ならまず孵化します。
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塩水を作る

水1Lに食塩20g(=2%)を溶かします。水道水で構いません(カルキは孵化に影響しにくい)。500mlのペットボトルなら食塩10gです。

コツ塩は完全に溶かしてから卵を入れます。英語圏の資料は2.5〜3.5%(比重1.018〜1.025)を勧めるものもあり、濃度は諸説あります。2〜3%の範囲ならまず孵化します。

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卵を入れる

耐久卵(乾燥卵)を、水1Lあたり約1g入れます。多くても1〜2gまで。

注意入れすぎは逆効果です。過密だと水が濁り、孵化率も落ちます。

3

エアレーションする

ペットボトルなどの深い容器では、エアポンプとエアストーンで全体をゆるやかに回します。すべての卵が沈まず舞っている状態が目安です。

コツ浅い皿に塩水を張る「皿式」なら、エアなしでも孵化します(収量は少なめ)。

注意エアが弱いと卵が底に沈殿して孵化率が下がり、強すぎると壁面に張り付いて無駄になります。

4

温めて、光を当てる

水温26〜28℃を保ち、ライトを当てます。冬は水温がいちばん効きます。20℃を下回ると孵化が遅く・悪くなり、30℃を超えても孵化率が落ちます。

コツ光は「当てないと孵化しない」とする資料と「加温と回収のために使う」とする資料があり、要否は諸説あります。照らしておくのが無難です。

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孵化を待つ(約1日)

温度しだいでおよそ18〜36時間(28℃で約24時間、25℃なら16〜20時間ほど)で孵化します。孵化した幼生(ノープリウス)はオレンジ色をしています。

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エアを止めて、殻と分ける

エアを止めて約15分静置します。茶色い殻は水面に浮き、オレンジの幼生は底〜中層に集まります。容器の一点だけに光を当てると、幼生が光に集まって分離が楽になります(走光性)。

注意止めたまま長く放置すると酸欠で幼生が死にます。分離と回収は手早く。

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淡水ですすいで与える

集めた幼生をスポイトで吸い、細かいネットやコーヒーフィルターで受けて、真水でさっとすすいで塩を落としてから与えます。

注意塩水ごと水槽に入れると水質に良くありません。必ず塩抜きしてから。

与え方

  • 回数:1日2〜5回に分けて少量ずつ。最低でも朝夕2回。
  • 食べているサイン:稚魚の腹がうっすらオレンジ色に膨らめば食べています。
  • 与えすぎない:ブラインは淡水では1日ももたずに死に、食べ残しが腐って水を汚します。少量をこまめに。
  • 鮮度優先:孵化直後がもっとも栄養価が高く、時間が経つほど落ちます。できるだけ早いうちに与えます。

メダカの針子には、最初は大きすぎることがある

孵化直後のノープリウスは体長およそ0.4mm。生まれたばかりのメダカの針子には大きくて入らないことがあります。 その場合は最初の数日〜1週間はインフゾリアやグリーンウォーターで育て、口が大きくなってからブラインへ切り替えます。 くわしくは針子(稚魚)を餓死させない育て方グリーンウォーターの作り方をどうぞ。

よくある失敗

症状原因対策
ほとんど孵らない水温が低い(20℃未満)/塩分が濃い・薄い/卵が古い/入れすぎ26〜28℃を保つ/2%に調整/卵は冷蔵保存で早めに使う/1Lに1g程度へ
殻を一緒に与えてしまう分離不足。稚魚が殻を食べて消化不良を起こし、水も汚すエア停止後15分静置+走光性で分け、ネットでこす
幼生が死ぬエアを止めたまま放置しすぎて酸欠/過密分離・回収を手早く行う
水質が悪化する塩水ごと投入/与えすぎ淡水ですすいでから与える/少量をこまめに

よくある質問

塩は普通の食塩でいい?
日本の飼育解説は食塩でよいとするものが多いです。人工海水の素でも孵化します。英語圏にはヨウ素無添加の塩を勧める記述もあります。
エアレーションなしでもできる?
できます。浅い皿に塩水を張る「皿式」なら、エアポンプや専用器具なしでも孵化します。ただし一度に採れる量は少なめです。
光は必ず要る?
諸説あります。「当てないと孵化しない」とする資料と「必須ではなく加温と回収に使う」とする資料の両方があります。実務上は照らしておくのが無難です。
孵化させた幼生はどれくらい日持ちする?
孵化直後がもっとも栄養価が高く、時間が経つほど落ちます。理想はその日のうちに使い切ること。塩抜きして冷蔵すれば数日は延命できますが、栄養は下がります。
開封した卵の保存は?
高温多湿を避け、密封して冷蔵(0〜10℃)します。開封後は数か月で孵化率が落ち、1年ほどでほとんど孵らなくなります。孵化率が落ちた古い卵は失敗の大きな原因です。
情報源

塩分・水温・孵化時間・卵の量は複数の資料で一致度が高い値を採用しました。塩分濃度(日本の解説は2%、英語圏は2.5〜3.5%)や光の要否は資料間で割れるため「諸説あり」と記しています。主な参照先:日本動物薬品(メーカー)、A&A Marine 藤本太陽堂(brineshrimp.jp)、東京アクアガーデン、aquatorch、minimal-medaka、BrineShrimpDirect、AquariumBreeder。

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