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ゾウリムシ・インフゾリアの培養と与え方

かんたんに言うと

ゾウリムシとインフゾリアは、ブラインシュリンプすら大きすぎる極小の針子のための「最初の生き餌」。カルキ抜き水に種と少量の栄養を入れて4日〜2週間で殖えますが、入れすぎと雑菌だけは共通の失敗点です。

孵化直後のメダカの針子は口径がわずか0.3mm前後。一方で成魚用の粉餌は粒が1mm前後あり、そのままでは口に入りません。ブラインシュリンプの幼生でも大きすぎて食べられない稚魚がいて、そこで頼りになるのがゾウリムシとインフゾリアです。グリーンウォーターと並ぶ「最初期の餌」の選択肢だと考えてください。

ゾウリムシ(Paramecium caudatum)。スリッパ形の単細胞生物で、ブラインシュリンプすら大きすぎる極小の稚魚の最初の生き餌になる。
ゾウリムシ(Paramecium caudatum)。スリッパ形の単細胞生物で、ブラインシュリンプすら大きすぎる極小の稚魚の最初の生き餌になる。 撮影: Fritzmann2002 / CC BY-SA 4.0

ゾウリムシとインフゾリアの違い

「別物」として並べると誤りです。まずここを押さえてください。

観点ゾウリムシ(パラメシウム)インフゾリア
正体1種類の繊毛虫。種を入手して殖やすゾウリムシ等を含む微小生物の総称。特定の1種ではない
殖やし方種+培養液で継いでいく(純粋培養寄り)野菜くず等を水に入れ、自然に沸かせる
再現性種を継げば比較的安定何が沸くかは環境しだいでばらつく

つまり「ゾウリムシはインフゾリアの一種」。対立する2つではなく、大きなくくり(インフゾリア)と、その代表選手(ゾウリムシ)の関係です。

用意するもの(ゾウリムシ培養)

  • 種ゾウリムシ(通販・分譲。市販の種水が確実)
  • 500ml〜1Lの容器(ペットボトルで十分。複数本あると安心)
  • カルキを抜いた水(またはミネラルウォーター)
  • 培養液:エビオス/強力わかもと、生茶、米のとぎ汁、無調整豆乳などいずれか

ゾウリムシの培養手順

日数・分量は資料でばらつきます。下は共通する目安です。数値は薄め・少なめから。

1

種(たね)を入手する

ゾウリムシは「種」を分けてもらって殖やします。通販(メダカ販売業者・アクアショップ)や愛好家からの分譲でペットボトル入りが届きます。最初は市販の種水を買うのが確実で、野外の水から自力で当てるより失敗が少ないです。

コツまずは少量の種水から。増えたら植え継いでいけば買い足しは要りません。

2

容器とカルキ抜き水を用意する

500ml〜1Lのペットボトルが定番です。水はカルキを抜いた水かミネラルウォーターを使います。全滅に備えて複数本に分けて培養しておくと、1本ダメになっても残りで立て直せます。

注意水道水をそのまま使うと雑菌が入って増えない・全滅する報告があります。必ずカルキを抜いてください。

3

培養液(栄養)を入れる ― 少なめから

栄養源は、エビオス(ビール酵母錠)・生茶・米のとぎ汁・無調整豆乳などいずれか一つ。「唯一の正解」はなく、分量も資料でばらつきます。エビオスは濃度が安定して楽ですが匂いが強め、生茶は匂いが出にくく室内向きです。

注意入れすぎは腐敗・全滅の最大の原因です。「少ないかな?」くらいで十分。特定のml数・錠数を鵜呑みにせず、薄めから始めて様子を見てください。

4

置き場所と毎日の世話

水温はおおむね15〜25℃でよく増えます。フタは軽く緩めておき(密閉すると酸欠)、1日1回そっと振って酸素を回すとよいとされます。

注意直射日光は避けます(コケ・グリーンウォーター化して藻に置き換わる)。5〜6℃以下では死ぬおそれがあります。

5

増えたか見分ける

黒い紙を背にして横から光を当てると、白い点が無数に動き、水全体が白っぽく濁って見えれば完成です。かかる日数は暖かくて4〜5日、冬は2週間ほど。おおむね4日〜2週間の幅を見ておきます。

コツ見え方は環境で変わります。点が動いているかどうかで判断します。

6

植え継ぎ(継代)で切らさない

1〜2週間で増殖のピークを迎え、その後は環境が悪化して減っていきます。ピーク後に培養液の半分ほどを種にして、新しいカルキ抜き水+栄養の容器へ移します。数本を時間差で回すと途切れません。

コツ古い容器は思い切って破棄。だらだら延命させると雑菌が優勢になります。

インフゾリアの作り方(野菜くずで沸かす)

種を継ぐゾウリムシと違い、こちらは「その場で自然発生させる」やり方です。

  1. 容器(プラケースや2Lペットボトル)にカルキを抜いた水を入れる。
  2. レタスやキャベツの外葉を軽く揉んで入れる(ブロッコリー、枯れた水草でも可)。
  3. 明るい場所に置き、弱いエアレーションをかけて放置する。
  4. いったん臭くなり、その後に透明度が上がって臭いが消えるのが成功のサイン。白い濁りや緑水がインフゾリアです。
  5. 目安はおよそ1週間(水草を使う方法は10日ほど)。

水の中では「植物プランクトン → インフゾリア → ケンミジンコ」の順に生き物が現れます。針子に使うのはこの初期段階です。

稚魚への与え方

  • スポイトで少量ずつが基本。生き餌なので水中ですぐには死なず、針子が見つけて食べます。
  • 濾して与えると水を汚しにくい:コーヒーフィルターやキッチンペーパーでゾウリムシだけをこし取り、軽くすすいでから入れます。培養液の栄養や雑菌を持ち込まずに済みます。
  • 培養液ごと入れるのはごく少量なら可。量が増えると水質が悪化するので、多めに与えるときは必ず濾します。
  • 頻度は「5分で食べ切る量を1日4〜5回」が目安。孵化後にお腹のヨークサック(栄養袋)が消える2〜3日目から与え始めます。

餌の切り替え(口の大きさ順)

境目は資料で前後します。「必ずこの順」ではなく、組み合わせて使うのが実態です。

インフゾリア/
グリーンウォーター
孵化直後
ゾウリムシ/
パウダー餌
ふ化後およそ1週間〜
ブライン
シュリンプ
さらに成長
通常の粉餌 その先
稚魚の口が大きくなるにつれ、餌の粒も大きくしていきます(円の大きさは餌のイメージ)。孵化直後はブラインシュリンプすら大きすぎるため、より小さいインフゾリア・ゾウリムシが要ります。
段階主な餌
孵化直後グリーンウォーター、インフゾリアなど極微細な餌
ふ化後およそ1週間〜ゾウリムシ、すりつぶしたパウダー状の粉餌
さらに成長ブラインシュリンプの幼生(高栄養)
その先通常の粉餌・人工飼料

よくある質問

ゾウリムシとインフゾリアは違うもの?
別物ではなく包含関係です。インフゾリアは「微小な生き物の総称」で、ゾウリムシはその代表格。アクアリウムでは餌に使うゾウリムシなどをまとめてインフゾリアと呼ぶことが多いです。
培養は何日で使える?
暖かければ4〜5日、冬は2週間ほど、おおむね4日〜2週間です。水温15〜25℃でよく増えます。日数は水温しだいで大きくぶれます。
どの培養液が一番いい?
唯一の正解はありません。エビオス・強力わかもと(濃度が一定で楽・匂い強め)、生茶(匂いにくく室内向き)、豆乳・米のとぎ汁(安価だが濃度が不安定)などが使われます。分量も資料で割れるので、薄めから始めて調整するのが安全です。
臭くなる・全滅するのはなぜ?
栄養の入れすぎと、雑菌の混入(水道水をそのまま使うなど)が二大原因です。フタは緩める、直射日光を避ける、複数本に分ける、を守ってください。
培養液ごと水槽に入れていい?
ごく少量なら構わないとする資料もありますが、量が増えると水質が悪化します。コーヒーフィルターやキッチンペーパーで濾し、軽くすすいでから与えるのが無難です。
ゾウリムシは孵化直後の稚魚から与えられる?
ここは資料が割れています。培養系の解説は早期からOKとし、メーカー(テトラ)などは「針子の口には少し大きく、ふ化後1週間ごろが目安」とします。最初期はグリーンウォーターやより細かいインフゾリアで、ゾウリムシは少し後、と考えるのが安全側です。
情報源

培養日数・水温・見分け方・植え継ぎ・濾して与える方法は、アクアリウム専門業者とメダカ専門サイトの記述をつき合わせました。培養液の分量(エビオスの錠数・とぎ汁の割合・豆乳量)は資料間で大きく割れるため特定の量は載せず「薄め・少なめから」とし、ゾウリムシを与え始める時期(孵化直後か1週間後か)も見解が分かれるため両論を併記しています。針子の口径0.3mm・粉餌1mm前後は複数のメダカ解説の記載によります。主な参照先:東京アクアガーデン、AQUALASSIC、スペクトラム ブランズ(旧テトラ)、おしえて!田舎センセイ、メダカの秘密基地、宮須めだか、ねくらかいブログ。

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