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サワガニの飼い方と道具一式

かんたんに言うと

要るのはフタの閉まる容器・上陸できる足場・隠れ家・涼しい置き場所の4つ。2千円台で揃います。エアは「完全水中で飼う場合」だけ必要です。

渓流沿いの湿った苔の上にいるサワガニ(赤色型)
サワガニ(赤色型)。甲羅の幅は大きくても3cmほど。一生を淡水で過ごす、日本の在来種。 撮影: fumiyas707 / CC BY-SA 3.0

サワガニ(Geothelphusa dehaani)は日本の在来種で、一生を淡水で過ごす数少ないカニです。幼生期がないので家庭内で世代をつなげる可能性があり、その点では当サイトが扱うエビ類と近い立ち位置にあります。

一方で、飼育情報はアクアリウムというより「半陸生の生き物」寄りで、しかも基本的な条件(陸地が要るか・適水温は何度か)で情報源が真っ二つに割れています。このページは、割れているところは割れたまま示し、どの説でも成立する作り方を提示します。

用意するもの(と、買わなくていいもの)

1〜2匹を飼うための最小構成です。すべて実際に商品ページを開いて、価格・在庫・評価を確認しています。

広告以下はAmazonアソシエイトのリンクです。購入により当サイトに収益が発生することがありますが、紹介する商品はすべて実際に商品ページを開いて確認したうえで選んでおり、収益の有無で選定は変えていません。評価が低いものは低いと書きます。

  • 容器 飼育ケース本体 ¥1,400
    シーラケース コバエシャッター【小】

    このガイドの最重要事項が脱走対策である以上、フタの密閉性がそのまま商品選びの基準になる。コバエシャッターはコバエの侵入を止める前提で作られていて、フタと本体の合わせが甘くない。虫かごより数百円高いが、逃がして乾かせば終わりなので、ここはケチらないほうがいい。

  • 容器 飼育ケース(広く見せたいとき) ¥1,891
    インセクトランド プラケースワイドビュー(大)

    前面が曲面で中が見やすい。観察を楽しみたいならこちら。ただしフタの密閉性はコバエシャッターに劣るので、エアチューブを通す隙間を必ず塞ぐこと。

  • エア 完全水中で飼う場合のみ ¥1,045
    ジェックス e‐AIR 1500SB(エアポンプ)

    上陸できる足場を作るなら要らない。サワガニは空気中の酸素も取り込めるため。完全に水中で飼うなら必須で、無いと溶存酸素を使い切って溺死する。夏場(水温25℃前後から上)や過密のときも有効。

  • エア 同上(ポンプとセットで) ¥909
    エアチューブ・エアストーン・逆流防止弁のセット(16点)

    ポンプ本体にチューブもストーンも付かないので、エアを入れると決めた場合だけ別途要る。この手のセットはノーブランド品ばかりで、この商品も評価3.4・レビュー5件と少ない。ただ部品自体は単純なので、同等品ならどれでも構わない。

  • 主食 ¥228
    ヒカリ ザリガニのエサ にごり・ニオイ対策用 40g

    甲殻類用の沈下性ペレット。サワガニ専用品を探す必要はない。40gで1匹なら年単位でもつので、大容量を買わないこと。

  • 水質 水換え用 ¥353
    テトラ コントラコロライン 250ml(カルキ抜き)

    評価4.4・レビュー1,800件超の定番。250mlで十分すぎる量。

  • 計測 水温の確認 ¥459
    コトブキ工芸 K-0053 文字の大きな水温計M

    サワガニは高水温が最大の弱点なので、体感でなく数字で見る。デジタルより安く、電池切れがない。

商品画像と価格は 2026-09-09 に Amazon から取得したものです(画像は Amazon 提供)。どれを選ぶかと選定理由は 2026-09-09 に人が商品ページを見て判断しています。価格と在庫は変動するので、リンク先で確かめてください。

買わなくていいもの:ヒーター・照明・ろ過フィルター・専用フード・底床。そして多くの場合エアポンプも。サワガニは冬に水温が下がれば活動を落として越しますし、暗がりを好むので照明も要りません。餌はザリガニ用で十分です。隠れ家は石や素焼きの鉢の破片で代用できます(すでに水槽用の素焼きシェルターを持っているならそれで足ります)。上陸できる足場を作るなら、必須はケース・餌・カルキ抜き・水温計だけで2千円台に収まります。

陸地は要るのか(情報源が割れている)

立場主張根拠として挙げられているもの
陸地は必須陸地と水場の両方を用意する。水深は3〜5cmと浅く半陸生だから/深いと脱皮後に溺れる
陸地は不要陸なしの水中飼育でよい。むしろそのほうが長生きする陸地のない30cm水槽で1年以上飼えた実飼育/陸を作ると水量が減り水質が悪化する

どちらでも成立する作り方浅く水を張り、水面から頭が出る石を積む。これなら「陸地あり」の条件も満たし、水中で過ごしたければそのまま沈んでいられます。どちらが正しいかを飼い主が決めずに、カニに選ばせるのがいちばん確実です。

なお「陸地がないから飼えない」ではありません。陸なしで1年以上維持できた報告がある以上、そこは決定的な条件ではないと考えるのが妥当です。ただし深い水槽は不利な条件が重なります(脱皮後の溺死を指摘する側の懸念に当たり、かつ水面積が狭くなって酸素も入りにくい)。

ここで買う道具が変わる陸場の有無は、エアポンプが要るかどうかを直接決めます。上陸できる足場があればエアは基本的に不要(空気中の酸素を取り込めるため)。完全に水中で飼うなら、エアは必須です(溶存酸素だけが頼りになり、無いと溺死します)。約2千円の差になるので、道具を買う前にどちらにするかを決めてください。

水温はどこに合わせるか

ここも割れています。「10〜22℃、最高24℃まで、26℃以上は危険域」とする解説が主流ですが、「28℃前後が適温」「30度前半までは対応できる」とする情報もあります。数値としては倍近い開きです。

ただし一致している点が2つあります。35℃は確実にアウトであること、そして直射日光は危険であることです。沢という涼しく流れのある環境の生き物であることを考えると、迷ったら低いほうに寄せるのが安全側の判断になります。

体感で判断しない高水温の害は、暑がっている様子より先に酸素不足として来ます。水温が上がるほど水に溶ける酸素は減り、そこへエラ呼吸のカニが置かれます。判断は室温でなく水温で、必ず数字で見てください。

冬は水温10℃以下で冬眠状態になり、活動が大きく落ちます。屋内なら無理に加温せず、そのまま静かに越させるのが自然です。

脱走対策がいちばん現実的な失敗要因

飼育解説がそろって強調するのが脱走です。「わずかな隙間からも逃げる」「赤ちゃんガニも逃げ出す」と、表現の強さが他の項目と違います。フタは必須で、しかもフタを閉めただけでは足りません

  • エアチューブを通す隙間を作らない:ここが最大の抜け道です。チューブの太さぶんの隙間から出ます。フタの通気穴をチューブが通る形にするか、隙間をスポンジで埋めます。
  • 登れるものを壁際に置かない:石・流木・ヒーターのコードは足場になります。壁から離して配置します。
  • フタに重しを載せる:軽いフタは押し上げられることがあります。

脱走したサワガニは、見つからないまま乾いて死にます。「あとで蓋を用意する」が通用しない部分なので、容器はフタから選んでください。

混泳は勧めない(既存の水槽に足さない)

「今ある水槽に1匹足す」は、いちばんやってはいけない入れ方です。

同居相手評価理由
エビ類不可捕食されます。情報源が一致しています
小型魚(メダカ・タナゴ等)不可夜間に挟まれて死ぬケースが多いとされます
大型の淡水魚・ドジョウ・貝比較的安全とされるただし「安全」であって「推奨」ではありません
カエル等の両生類勧めない同居を検証した情報源が見つからず、逆に「野生のカニは小魚の死骸やカエルなどの肉を好む」とする記述があります。要求環境も噛み合いません

減っていることに気づけないサワガニは夜行性です。被害は見ていない時間に起きるので、「昨日までいたエビがいない」という形で後から分かります。単独飼育がいちばん確実です。

餌と日々の管理

  • 主食はザリガニ・カニ用の沈下性ペレット。サワガニ専用品を探す必要はありません。乾燥した落ち葉、冷凍赤虫、茹で野菜なども食べます。
  • 与えるのは夜。夜行性なので、寝る前に落としておくと食べが良くなります。
  • 食べ残しは翌日に取り除く。少ない水量では残餌がそのまま水質悪化になります。
  • 脱皮の前後は触らない。脱皮直後は体が柔らかく、いちばん無防備な時間です。脱いだ殻は捨てずに残す(食べてカルシウムを再利用します)。

水換えは水量が少ないぶんこまめに。カルキを抜き、水温を合わせてから静かに入れます。

繁殖:エビのような「汽水の壁」がない

サワガニは直達発生で、幼生期がありません。メスは20〜200個ほどの大きな卵を腹に抱え、2〜3か月抱えたまま過ごし、孵化した子は親をそのまま小さくした姿で出てきます。

これは家庭繁殖の観点では大きな利点です。多くの淡水エビ(テナガエビ類など)は幼生期に汽水を必要とし、そこが家庭で世代をつなぐ壁になりますが、サワガニにはその壁がありません。寿命も飼育下で3〜8年と長く、時間をかけて向き合える生き物です。

子ガニも脱走名人孵化した子ガニは親と同じ形で、同じように隙間から出ます。抱卵を確認したら、フタの隙間を先に潰しておいてください。

衛生:ウェステルマン肺吸虫の中間宿主です

サワガニはウェステルマン肺吸虫の第二中間宿主です。これは飼育する以上、知っておくべき事実です。

ただし感染経路は経口で、生食するか、調理器具・手を介した二次汚染で口に入ることで成立します。飼育して触るだけならリスクは低いと考えられます。守ることは2つだけです。

  • 絶対に生で食べない(加熱すれば食用として問題ありません)。
  • 触ったら手を洗う。飼育道具と調理器具・食器を共用しない。

小さな子どもが触る環境なら、手洗いを徹底してください。

赤いのと青いのがいる(そして色では見分けられない)

青色型のサワガニ。甲羅が灰青色〜灰緑色になる。同じ種で、別種ではない。
青色型のサワガニ。甲羅が灰青色〜灰緑色になる。同じ種で、別種ではない。 撮影: harum.koh / CC BY-SA 2.0

サワガニには大きく青色型・赤色型・茶色型があります。捕まえた個体が青くても赤くても、どれも同じサワガニで、別種ではありません。

「色で系統が分かる」は否定されている200地点以上・500個体超を核DNAとミトコンドリアDNAで解析した研究で、日本列島のサワガニは遺伝的に5つの集団に分かれること、そして遺伝的に同じ集団でも個体の色はばらつくことが示されました。青い体色は異なる系統で少なくとも2回、独立に生まれたとされ、色は餌や地質など周辺環境の影響も受けている可能性が指摘されています。つまり見た目の色は、その個体がどの系統かを教えてくれません

これは飼育者にとって「珍しい色だから」と別の場所へ持ち出してはいけない理由でもあります。色が同じでも系統は違いうるし、系統が違うものを混ぜれば元に戻せません。

よくある質問

サワガニに陸地は必要ですか?
情報源が割れています。「半陸生なので陸地と水場の両方が必須、水深は3〜5cm、深いと脱皮後に溺れる」とする解説が主流ですが、一方で「陸地のない30cm水槽で1年以上飼えた、陸を作ると水量が減って水質が悪化するので陸は要らない」という実飼育の報告もあります。どちらが正しいと断定できる根拠は見つかりませんでした。迷うなら、浅く水を張って水面から出る石を置き、上がるかどうかをカニに選ばせるのが両方の説を満たします。
水温は何度に保てばいいですか?
ここも割れています。「10〜22℃、最高24℃まで、26℃以上は危険域」とする解説が主流ですが、「28℃前後が適温」「30度前半までは対応できる」とする情報もあります。ただし沢の生き物であること、そして「35℃は確実にアウト・直射日光は危険」という点はすべての情報源が一致しているので、低いほうに寄せるのが安全側の判断です。体感ではなく水温計で見てください。
エアレーションは必要ですか?
飼い方によります。サワガニは半陸生で、エラに蓄えた水分を使って空気中の酸素も取り込めるため、自力で水から上がれる足場があるレイアウトなら基本的に不要です。必要になるのは、完全に水中で飼う場合(溶存酸素だけが頼りになり、無いと溺死します)、水温25℃前後から上の夏場、複数飼育で過密なときです。なお当サイトは当初「エラ呼吸だから必須」と書いていましたが、これは水中飼育を前提にした説明を無条件に一般化した誤りで、訂正しました。
何を食べますか?
雑食性で、ザリガニ・カニ用の沈下性ペレットを主食にすれば足ります。専用フードを探す必要はありません。乾燥した落ち葉、冷凍赤虫、茹でた野菜なども食べます。夜行性なので、夜に与えると食べが良くなります。
複数飼えますか?
縄張り意識が強いので、単独か少数にとどめるのが無難です。複数入れるなら隠れ家の数をカニの数より多くします。なお「直接の共食いは見られず、弱った個体や死体を処理する側に回る」という観察報告もあり、必ず殺し合うわけではありません。
魚やエビと一緒に飼えますか?
勧めません。エビは捕食されます。メダカ・タナゴ・アブラハヤのような小型魚も、夜間に挟まれて死ぬケースが多いとされます。サワガニは夜行性なので、見ていない時間に減っていきます。大型の淡水魚・ドジョウ・貝であれば比較的安全とされますが、サワガニは単独飼育がいちばん確実です。
寿命はどのくらいですか?
飼育下でおおむね3〜8年とされます。小さな生き物としてはかなり長く、飼い始める前に「何年も面倒を見られるか」を考えておく必要があります。
繁殖はできますか?
できます。サワガニは幼生期のない直達発生で、一生を淡水で過ごします。エビのように幼生に汽水が必要という壁がないので、家庭内で世代をつなげる可能性があります。メスは20〜200個ほどの大きな卵を抱え、抱卵期間は2〜3か月。孵化した子は親を小さくしたそのままの姿で出てきます。ただし脱走が得意なのは子ガニも同じです。
触っても大丈夫ですか?衛生面が心配です。
サワガニはウェステルマン肺吸虫の第二中間宿主です。ただし感染経路は経口(生食、または調理器具を介した二次汚染)なので、飼育して触るだけならリスクは低いと考えられます。守るべきことは2つで、絶対に生で食べないこと、触ったら手を洗うことです。調理器具や食器と飼育道具を共用しないでください。
情報源・注記

飼育条件(陸場・水深・水温・餌・脱走・混泳・寿命・繁殖)は、日本語のアクアリウム系解説サイトと実飼育ブログをつき合わせました。陸場の要否と適水温は情報源が真っ向から割れており、どちらが正しいと決められる一次データが確認できなかったため、両論のまま掲載しています(陸場:必須とする解説 vs 陸なしで1年以上飼えたとする実飼育報告/水温:10〜22℃・26℃以上危険とする説 vs 28℃前後が適温とする説)。一致している「35℃は確実にアウト」「直射日光は危険」「フタは必須」は、そのまま採用しました。エアレーションについては当初「エラ呼吸なので必須」と書いていましたが、これは水中飼育を前提にした説明を無条件に一般化した誤りで、訂正しました(サワガニは半陸生でエラに蓄えた水分から空気中の酸素も取り込めるため、上陸できる足場があるレイアウトでは基本的に不要。必要なのは完全水中飼育・夏場の高水温・過密のとき、というのが複数の解説で一致する整理です)。寿命3〜8年、抱卵20〜200個・2〜3か月も解説サイト由来の目安で、対照実験にもとづく値ではありません。肺吸虫は東京都保健医療局および大学病院の解説を参照し、感染経路が経口であること(=飼育自体のリスクは低いこと)を明記しています。法規制は環境省の種の保存法・国内希少野生動植物種一覧にもとづき「指定されていない」と記載していますが、採捕を制限する自治体の規則・条例は別途存在するため、現地確認を促す書き方にとどめています。体色型と系統の話は、摂南大学・和歌山県立自然博物館および信州大学の系統地理学的研究(200地点以上・500個体超を核DNAとミトコンドリアDNAで解析)の報道発表・報道にもとづきます。「色では系統を判別できない」「青色型は独立に2回生じた」は、この研究の結論として報じられている内容です。主な参照先:日淡といっしょ、九州アクア日和、東京アクアガーデン、TSURI HACK、東京都保健医療局「食品衛生の窓」、東邦大学医療センター大森病院、環境省、摂南大学プレスリリース、信州大学、日本経済新聞。

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