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産卵床の作り方と選び方

かんたんに言うと

産卵床は魚が卵を産みつける足場で、親による卵の食害を防ぎ、回収を楽にする道具です。メダカは水面に浮かべるタイプ、卵をばらまくテトラ類は底に沈めるモップやモスと、繁殖タイプで選び分けます。

産卵床の役割は大きく3つです。①卵を回収しやすくする(産卵床ごと取り出して隔離できる)、②親からの食害を防ぐ(多くの魚は自分やほかの魚の卵を食べる)、③産卵の足場・誘発(ふさふさした素材が水草の茂みを模し、産卵を促す)。繁殖タイプによって、この道具の意味がまるで変わります。

繁殖タイプで役割が変わる

同じ「産卵床」でも、狙いが正反対になります。

タイプ代表産卵床の役割
水面に産着メダカ水面付近に浮かべて卵を産みつけさせ、房ごと回収
卵をばらまくテトラ・ダニオ・バルブ底に沈めて卵を親から隔て、食べられるのを防ぐ
泡巣を作るベタ・グラミー産卵床は使わない。浮き草を泡巣の土台にする
産卵床(浮く)
メダカ水面に浮かべて産着
モップ/網
テトラ・ダニオ底に沈めて親から隔てる
泡巣+浮き草
ベタ・グラミー産卵床でなく浮き草が土台
同じ「産卵床」でも役割が正反対です。メダカは水面に浮かべて卵を産みつけさせ、卵をばらまくテトラ・ダニオは底に沈めて親の食害から隔て、泡巣を作るベタ・グラミーは産卵床を使わず浮き草を巣の土台にします。

メダカの産卵床(素材の選び方)

種類長所短所
ホテイアオイ(浮き草)根が産卵床になり産みつき率が高い/水質浄化卵が見えにくい/繁茂・冬越しの管理が要る
シュロ(天然繊維)繊維がほぐれ産みつけやすい/安価/水を汚しにくい卵が見つけにくい
毛糸・化繊の自作安価(100均)で量産できる/色を選べる無毒の素材(アクリル等)を選ぶ必要
市販ネットタイプ卵が見つけやすい/浮くので回収が楽市販品ぶんのコスト

用意するもの

自作する場合と、買って済ませる場合。どちらでも産卵します。

用意するもの用途目安
アクリル毛糸(暗い色)房になる本体。100均で足ります百円台
浮力体ペットボトルの蓋・納豆パックの蓋など。買わずに済みます0円
ハサミ・キリ(穴あけ)房に開く/浮力体に穴を通す手持ちで可
市販の産卵床(ネットタイプ)作らずに済ませる場合。卵が見つけやすく回収が楽数百円〜
ホテイアオイ・シュロ買わなくても代用できる自然素材。すでに浮かべているなら今日から使えます百数十円〜/0円
隔離容器回収した卵を親から離す先。タッパーで足ります百円台

買って済ませる場合

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  • 道具 市販の産卵床 ¥530
    テトラ メダカのゆりかご産卵床

    自作しない場合の定番。卵が見つけやすく回収が楽なのが自作との差。評価3.6と絶賛ではないので、量産したいなら毛糸の自作のほうが安く済む。

  • 水草 自然素材の産卵床 ¥680
    ホテイアオイ 3株(完全無農薬)

    根がそのまま産卵床になり、日除けと水質浄化も兼ねる。無農薬表記のものを選ぶこと(残留農薬でメダカを死なせる事故がある)。生ものなので季節と状態のばらつきはある。

  • 容器 卵・針子の隔離容器 ¥901
    JEJアステージ NVボックス #22 クリア

    回収した卵と孵化した針子を親から離す先。タッパーでも始められるが、1か月育てるには水量が足りない

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すでにホテイアオイを浮かべているなら、それが産卵床です。買い足す前に、まず根の周りを確認してください。ただしホテイアオイの根は卵が見つけにくいのが弱点で、そこが市販ネットタイプとの分かれ目になります。孵化したあとの容器と設備はメダカの針子を育てる容器と設備へ。

作り方①:メダカ用(浮かべる毛糸の産卵床)

1

毛糸を束ねる

黒などの暗い色のアクリル毛糸を、指4本に5〜6回巻いて10cmほど余らせて切り、指から抜いて一か所を玉結びにします。巻数を増やすほどふさふさになり、卵の産みつく面が増えます。

コツ色は黒・濃緑が好まれるとされます(明色より産みつけやすいという経験則。対照実験の裏づけは確認できませんでした)。

2

房に開く

玉結びの反対側にハサミを入れて輪を切り、房状に広げます。先を不揃いに散らすと水草らしくなじみます。

注意ほつれた糸を水中に散らさないよう、作ったあと軽くすすいでください。

3

浮きを付ける

納豆パックの蓋やペットボトルの蓋を小さく切り、中央に穴を開けて毛糸を通し玉結び。水面付近に浮くようにします。

コツ房(暗色)はそのままに、浮力体は白でも構いません。

4

設置して卵を回収する

水面付近に浮かべると、メスがお腹の卵を擦りつけて産着させます。卵が付いたら房ごと隔離容器へ移します。

コツ数個入れて産卵床を選ばせると産みつき率が上がります。

作り方②:卵ばらまき型(沈めるスポーニングモップ)

テトラ・ダニオ・バルブなど、卵をばらまいて底に落とす魚向け。

1

アクリル毛糸を巻く

本や板など「長さの型」に、100%アクリルなど無毒の毛糸を40〜100回巻いて切ります。巻数で密度が決まり、房が濃いほど卵が絡んで親から守られます。

注意柔軟剤・染料が落ちる毛糸は避け、必ず石けんを使わず水道水でよくすすいでから使います。

2

片端をきつく結ぶ

別の毛糸(30〜60cmほど)で、巻いた束の片端を二重にきつく縛ります。緩いと束がばらけます。

3

反対側を切って房にする

型から外し、結び目の反対側の輪を切って房状に広げ、長さを不揃いにトリミングします。

4

浮き/錘を付けて設置する

結び目側にコルク(浮かせる)か小石(沈める)を結びます。テトラの卵は粘着質なのでモップやウィローモスに絡み、ダニオの卵は非粘着なので網(メッシュ)や底のビー玉で下に落とし込むほうが確実です。

注意これらの魚は卵を食べるので、モップだけに頼らず「産卵後は親を別水槽へ戻す」など親と卵を分ける手段を必ず併用します。

卵が付いたあとの扱い

産卵直後のメダカの卵。右側にのびる付着糸で産卵床や水草に絡む。中の油球は発生の栄養。
産卵直後のメダカの卵。右側にのびる付着糸で産卵床や水草に絡む。中の油球は発生の栄養。 撮影: Ethmostigmus / CC BY-SA 4.0
  • 隔離:産卵床ごと別容器(タッパー等)へ移すか、産卵水槽から親を出します。要は「親と卵を同居させない」こと。
  • :メダカの卵管理では、飼育水よりカルキの残る水道水のほうが雑菌が繁殖しにくいという方法が広く紹介されます(複数のメダカ解説で一致・学術一次情報は未確認)。
  • カビ対策:白く濁った無精卵は毎日取り除き、こまめに水換え。必要ならメチレンブルーを数滴。ただし本質は無精卵の除去と清潔管理で、薬は補助です。
  • 孵化の目安(メダカ):積算温度およそ250℃日で、日数 ≒ 250 ÷ 平均水温。25℃で約10日、20℃で約12〜13日ほど(資料により1日前後ぶれます)。
  • 水草に卵が付いていたら:いちばん簡単なのは水草ごと別容器へ移すことです。卵を触る必要がなく、失敗もありません。ただし水草を1本取られるので、株が減るのが困るなら次の方法にします。
  • 卵だけ外すなら「指の腹で転がす」:メダカの卵は指でつまんでも潰れないほど硬いので、水草から外してガーゼや布の上に置き、指の腹でやさしく転がします。これで卵どうしをつなぐ付着糸(纏絡糸)が取れ、団子状になった卵もばらけます。ばらしたほうが水カビが出にくく孵化率が上がるとされます。外した卵は水道水を張った容器へ入れます。

卵が見つからない、もう針子が泳いでいるとき

屋外の容器や水草の多い水槽では、卵を目で探すのは効率が悪いです。メダカの卵は直径1mmほどで、水草やアオミドロの茂みに紛れます。だからこそ「探す」のではなく「産みつけさせて、床ごと回収する」——それがこのページで作った産卵床の役目です。卵が見つからないのは失敗ではなく、産卵床がまだ入っていないだけ、ということが多くあります。

針子がいる=産卵はもっと前から始まっている孵化までは積算温度およそ250℃日(25℃で約10日)かかります。泳いでいる針子を見つけたということは、少なくとも10日ほど前から産卵していたことになります。「早すぎるのでは」と感じたときも、実際にはその前から始まっていたと考えるほうが実態に合います。

  • 回収は網ではなくスポイトかコップで:孵化直後の針子は体長4〜5mmで体力がなく、網ですくうと体表を傷めます。水ごと吸い上げて移すのが確実です。
  • 移し先の水は「親が泳いでいた水」:卵は水道水で管理するのが定番ですが、孵化した針子は逆に、親水槽の飼育水を使うのが広く勧められます。水温・水質が同じで水合わせが要らず、餌になる微生物も含まれるためです。卵と針子で水を変える——ここを取り違えないでください。
  • 親と同居できるのは体長1.5cm前後から:親の口に入らない大きさが目安で、孵化からおよそ1か月かかります。それまでは別容器です。
  • 針子どうしでもサイズを分ける:同時期に生まれても成長差が大きく出ます。育った個体が小さい個体を食べることがあるため、差が開いたら分けます。

回収したあとの餌と生存率については針子(稚魚)を餓死させない育て方にまとめています。針子の最大の死因は餓死です。

アオミドロの扱いは割れている屋外で針子が出てくる時期は、糸状藻(アオミドロ)がいちばん繁茂する時期でもあります。「体力のない針子が絡まって動けなくなり死ぬ」という指摘がある一方、「茂みが親からの隠れ家になり、かえって針子が生き残る」という評価もあって、扱いは一致していません。大量発生しているなら減らす(手で巻き取る・餌と直射日光を減らす)、少量なら残す、くらいに考えるのが無難です。

よくある質問

産卵床は自作と市販、どちらがいい?
どちらでも産卵します。量産・低コストなら100均素材の自作、卵の見つけやすさ・回収の手軽さ重視なら市販の浮くネットタイプが向きます。卵の視認性は市販品、コストは自作が有利です。
メダカの産卵床は浮かせる?沈める?
メダカは水面付近で卵を擦りつけるので、浮かせるのが基本です。浮力体つきだと回収も楽になります。
なぜテトラやダニオには沈むモップや網を使うの?
これらは卵をばらまいて底に落とし、親が食べてしまうためです。モップ・モス・網・ビー玉で卵を親から隔てるのが目的。テトラの粘着卵はモップやモスに絡み、ダニオの非粘着卵は網やビー玉で落とし込むのが確実です。
産卵床の色は関係ある?
「暗い色(黒・濃緑)のほうがメダカが産みつけやすい」とする解説が多いですが、対照実験の一次データは確認できず経験則の域です。素材はアクリルなど無毒のものを選んでください。
ベタやグラミーにも産卵床は要る?
別物です。オスが水面に泡巣を作るので、産卵床の代わりに浮き草や有茎草の頂芽を入れて泡巣の土台にします。
卵にカビが生えるのを防ぐには?
白く濁った無精卵をこまめに取り除き、水道水で毎日水換え、必要ならメチレンブルーを数滴。清潔に保つことが最重要で、薬はあくまで補助です。
気づいたら針子が泳いでいた。どうすればいい?
スポイトやコップで水ごと吸い上げ、親が泳いでいた飼育水を入れた別容器へ移します。網ですくうと体表を傷めます。親の口に入らなくなる体長1.5cm前後(孵化からおよそ1か月)までは別容器で育てます。
卵は水道水と聞いたけれど、針子も水道水でいい?
分けて考えます。卵は雑菌が繁殖しにくい水道水で管理する方法が広く紹介されますが、孵化した針子には親水槽の飼育水を使うのが一般的です。水温・水質が同じで水合わせが要らず、餌になる微生物も含まれるためです。
情報源

素材の比較・自作手順・卵ばらまき型の隔離は、アクアリウム専門店・メダカ専門店・海外の繁殖解説をつき合わせました。産卵床の色(暗色有利)は複数の解説で一致するものの対照実験の一次データが確認できなかったため「〜とされる」と留保し、卵管理の水道水・メチレンブルーも清潔管理が本質である旨を添えています。孵化日数は積算温度250℃日を基に幅で記載。針子の回収方法(網ではなくスポイト)・卵と針子で水を使い分けること・親と同居できる体長1.5cmの目安は、複数のメダカ専門解説で一致しますが、いずれも実務上の目安であり対照実験ではありません。アオミドロは「針子が絡まって死ぬ」「隠れ家になって生き残る」で評価が割れているため、両論のまま記載しています。主な参照先:東京アクアガーデン、AQUALASSIC、姫めだか、wanchan.info、Aquarium Co-Op、Practical Fishkeeping、スペクトラム ブランズ ジャパン(旧テトラ ジャパン)、メダ活のススメ、めだかやベース、となりのカインズさん。

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