5L以上の容器を用意する
タッパー・虫かご・隔離ネットでの長期飼育は失敗しやすいです。水量が少ないほど水質も水温も急変するためで、専門店は最低5L、できれば10L以上を勧めます。10匹程度なら5〜10Lの容器ひとつで足ります。
コツ容器は最初から2個用意します。針子は同時に生まれても成長差が大きく開き、途中で分ける必要が出るためです。
かんたんに言うと
針子の生存率は、餌より先に容器で決まります。目安は1匹あたり1L・最低5L。底床もフィルターも入れず、水換えではなく足し水で回します。吸い込みと水流が二大事故要因です。
針子(孵化直後の稚魚)を落とす原因として真っ先に語られるのは餌です。それは間違いではありませんが、餌の話が効いてくるのは器が足りている場合だけです。水量が足りない容器では、餌をどれだけ丁寧に選んでも水質と水温の急変で消えていきます。
このページは「何を用意すればいいのか」に絞って答えます。餌の選び方と与える量は針子(稚魚)を餓死させない育て方、卵の回収と針子のすくい方は産卵床の作り方と選び方にまとめています。
土もフィルターもエアもヒーターも要りません。以下は、この4つの理由と細かい判断基準です。先に上の4つだけやって、困ったときに読み返す使い方で構いません。
用品メーカーや専門店の推奨は「孵化したらすぐ別容器へ移す」で一致しています。親は稚魚を食べるからです。ただし現場の報告はもう少し幅があります。
水草が茂っていると、意外と生き残る「睡蓮鉢に水草がたくさん入っていて稚魚の逃げ場があり、親メダカの泳ぐスペースがあまりないと、意外と稚魚が生き残る」という報告があります。針子は思ったより素早く、茂みに逃げ込みます。屋外で自然に増えていくのはこのパターンです。
つまり「隔離しないと全滅する」わけではなく、隔離するかどうかで決まるのは歩留まり(残る数)です。確実に数を取りたいなら隔離する、増えすぎても困るなら茂みに任せる、という判断になります。
分けないと決めた場合にできることは3つです。①茂みを減らさない(浮き草の根・沈水草。隠れ場所の量がそのまま歩留まりになります)、②グリーンウォーターにする(水中に餌が漂っている状態なら、親に取られずに針子が食べられます。同居でいちばん効くのがこれです)、③餌は水面に、少量を数回(針子は水面付近にいて、沈んだ餌は食べられません)。同居では食害だけでなく「餌を親に取られて痩せる」ほうも効いてくるので、②が要になります。作り方はグリーンウォーターの作り方と使い方へ。
「減っていない」という体感は当てになりません針子は体長4〜5mmで透明に近く、水草やアオミドロの陰に入ります。そもそも全数を数えられていないので、「食べられていないように見える」ことは食べられていない証拠になりません。判断するなら、数日おきに同じ時間帯に、水面付近を同じ場所から見るくらいの比較にとどめてください。
最初に決めるのは容器の大きさです。ここを間違えると、あとの工夫がほぼ効きません。
専門店の目安は水1Lあたり針子1匹、容器は最低5L、できれば10L以上です。「広い容器でゆったり育てたほうが成長が明らかに早い」とされます。10匹程度なら、5〜10Lの容器ひとつで足ります。
密度の目安は情報源で10倍近く割れている用品メーカーは「2Lで孵化したばかりの稚魚なら20匹程度、体長1cmくらいまでなら10匹まで」としており、1Lあたり1匹という目安の10倍近い密度になります。これは矛盾というより時間軸の違いとして読むのが妥当です。孵化直後は密でも成立し、育つにつれて必要な水量が増えて、最終的に1匹1Lへ収束していく。つまり「最初に入る数」ではなく「1か月後に足りる水量」で容器を選ぶ、が実務的な答えになります。
水量が効くのは、単に狭いからではありません。水量が少ないほど、水温も水質も急に振れるからです。だからタッパー・虫かご・隔離ネットでの長期飼育は勧められません。短時間の移動や一時的な隔離には使えますが、そこで1か月育てるのは無理があります。
| 容器 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|
| NVボックス(プラ箱) | 省スペースで並べやすい/安価/針子容器の定番 | 浅いぶん真夏は水温が上がりやすい |
| ジャンボタライ | 深さがあり水量を稼げる/水質・水温が安定する | 場所を取る/重くて動かせない |
| 発泡スチロール箱 | 保温性が高く外気の影響を受けにくい/安い(もらえることも) | もろい/見た目/藻が付くと洗いにくい |
| プラ舟・トロ舟 | 大容量で最も安定する/数が増えたときの受け皿 | 大きすぎて針子の初期には過剰 |
| タッパー・虫かご | 一時的な隔離・移動には使える | 長期飼育には水量が少なすぎる |
色は「育てたい表現」で選びます。体外光を伸ばしたいなら白容器(あえて色を抜いて光を目立たせる)、黒体色や赤を濃くしたいなら黒容器、というのが改良メダカの定石です。くわしくは改良メダカの体外光・ヒレ長・選別のコツにまとめています。ただし容器の色が針子の生存率そのものを変えるという裏づけは確認できていませんので、この段階では「観察しやすい色」で選んでも構いません。
針子容器は底床なし(ベアタンク)が扱いやすいです。理由は単純で、食べ残しが見えて、スポイトで取り除けるから。針子は餌を細かく何度も与えるぶん残餌が出やすく、それが水を汚す最大の要因になります。
屋外ビオトープで赤玉土を勧めているのと矛盾するようですが、目的が違います。屋外の親容器は年単位で回る環境なので、バクテリアの住処を作って自浄させるのが正解。対して針子容器は1か月前後の期間限定なので、バクテリアを育てるより残餌をすぐ取り除けることのほうが効きます。なお底床そのものはメダカ飼育に必須ではありません。
1匹あたり1L以上の水量を確保できているなら、エアレーションもフィルターも基本的に不要です。むしろ入れることで事故が起きます。
どうしても必要なとき(室内で日光がない・過密になった)は、スポンジフィルターを、水流が分からないほど弱く。判断基準は「水面が波立っていないか」です。
どちらも必須ではありませんが、グリーンウォーターは針子期に限っては効きます。24時間いつでも口に入る餌が水中に漂っている状態を作れるためで、給餌回数を稼げない人ほど恩恵が大きくなります。作り方はグリーンウォーターの作り方と使い方へ。
水草は「無農薬」表記のものをメダカは残留農薬に非常に弱く、水草経由で全滅させる事故があります。園芸店・ホームセンターの水草は農薬処理されていることがあるので、無農薬表記のあるものを選ぶか、しばらく別容器で管理してから入れてください。
入れるなら、マツモのような沈水植物は水中に酸素を出し、ホテイアオイの根は隠れ家になります。ただし糸状藻(アオミドロ)は評価が割れています(絡まって針子が死ぬ/茂みが隠れ家になって生き残る)。詳しくは産卵床ガイドの該当節を参照してください。
日当たりのよい場所で構いません。日光は針子の成長にとってむしろプラスに働き、グリーンウォーターも維持されます。室内なら水槽用ライトで代用します(部屋の照明だけでは光量が足りません)。
ただし針子容器は水温が振れやすい針子容器は小さいので、同じ日光でも親容器より水温が上下します。夏はすだれや置き場所で遮光してください。判断は気温ではなく水温です。
遮光の具体的なやり方と、危ないときのサインはメダカの夏越し・高水温対策にまとめています。
成魚の感覚で水換えをすると針子は落ちます。十分な水量があって過剰給餌をしていなければ、孵化後2週間〜1か月ほどは足し水だけでも維持できるとされます。理由は3つです。
汚れが気になるときは、全体を換えるのではなくスポイトで底の汚れだけを少量吸い出します。手順は次のとおりです。
頻度の目安毎日やる必要はありません。底に白っぽい沈殿が目立ってきたらで十分です。触るほど針子には負担なので、掃除より「餌を出しすぎない」ほうが本筋です。
| タイミング | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 容器を増やす | 1Lあたり1匹を超えたとき | 成長が鈍り、水質が保てなくなる |
| サイズで分ける | 体格差が2倍近く開いたとき | 育った個体が小さい個体を食べる |
| 親と合流させる | 体長1〜1.5cm・孵化から約1か月 | 親の口に入らないサイズになる |
針子10匹前後を1か月育てるための最小構成です。価格は目安で、時期・店で変動します。
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外寸37×53.6×16.2cm。水深13cmで20L前後になり、針子10匹には余裕がありすぎるくらい。成長差で分けるので最初から2個買うほうがいい。浅いので真夏は遮光とセットで。
このガイドで一番使う道具。針子は網ですくうと体表を傷めるので、水ごと吸って移す。プロホースは針子容器には強すぎる。
針子の口に入る粉餌。浮上性なのが重要で、沈むと食べられないまま水を汚す。少ししか食べないので20gで足りる(大容量は湿気る)。
タッパー・虫かご・隔離ネットでの長期飼育は失敗しやすいです。水量が少ないほど水質も水温も急変するためで、専門店は最低5L、できれば10L以上を勧めます。10匹程度なら5〜10Lの容器ひとつで足ります。
コツ容器は最初から2個用意します。針子は同時に生まれても成長差が大きく開き、途中で分ける必要が出るためです。
新しく作った水ではなく、親容器の水を汲んで使います。水温・水質が同じなので水合わせが要らず、餌になる微生物も一緒に入ります。卵を水道水で管理するのとは逆なので、取り違えないでください。
注意足りないぶんを水道水で薄めるなら、必ずカルキを抜いてから足します。
針子容器は1か月前後の期間限定です。底床を敷かない(ベアタンク)ほうが食べ残しが見えて、スポイトで取り除けるぶん管理が楽になります。フィルターとエアも原則入れません。
注意吸い込みと水流が針子の二大事故要因です。どうしても入れるならスポンジフィルターを極弱で。
日当たりのよい場所で構いません。日光は針子の成長にはむしろプラスに働きます。ただし針子容器は小さいので水温が振れやすく、夏はすだれや置き場所で遮光します。
コツ室内なら水槽用ライトで代用します。部屋の照明だけでは光量が足りません。
網ですくうと体長4〜5mmの針子は体表を傷めます。スポイトかコップで、水ごと吸い上げて移します。
コツ目が慣れないうちは、容器を横から覗くと水面近くの針子を見つけやすくなります。
容器の容量・密度・種類、底床とエアの要否、足し水の運用、分けるタイミングは、メダカ専門店・販売店・用品メーカーの記述をつき合わせました。密度の目安は情報源で10倍近く割れている(1Lあたり1匹 / 2Lで孵化直後20匹)ため、どちらか一方を正解として断定せず、成長にともなって必要水量が増えるという時間軸の違いとして併記しています。いずれも実務上の目安で、対照実験にもとづく数値ではありません。容器の色(黒・白)が針子の生存率を変えるという裏づけは確認できませんでしたので、表現(体外光・体色)の話として限定して書いています。足し水だけで維持できる期間(2週間〜1か月)も水量と密度に依存する目安です。水草の残留農薬は複数の媒体が一致して警告しており、そのまま採用しました。主な参照先:メダカ屋えん、スペクトラム ブランズ ジャパン(旧テトラ ジャパン)、東京アクアガーデン、姫めだか、THE AQUA LAB、メダ活のススメ、AQUALASSIC。