金魚の種類と見分け方
Carassius auratus / Goldfish
かんたんに言うと
体が細長いか丸いか、背ビレがあるか、頭にコブがあるかで4つの型に分かれ、目や尾の形で品種を見分ける。品種の数は数え方で変わり、確定した数はない。
目次
まず体形の4つの型で分ける
江戸川区の冊子は、金魚の形を大きく4つに分けています。
| 型 | 体 | 背ビレ | 頭のコブ(肉瘤) | 主な品種 |
|---|---|---|---|---|
| ワキン型 | 細長く、すいすい泳ぐ | ある | 無い | 和金・コメット・朱文金・地金 |
| リュウキン型 | 丸いおなか | ある | 無い | 琉金・出目金 |
| ランチュウ型 | 丸い | 無い | 品種による | ランチュウ・南京・桜錦・大阪ランチュウ |
| オランダシシガシラ型 | 丸い | ある | ある | オランダシシガシラ・東錦・丹頂 |
見るところ体の長さ・背ビレの有無・頭のコブ・目の形・尾の形と長さ・体の色。体の色は、全身が赤い「素赤(すあか)」、赤と白の「更紗(さらさ)」、赤・白・黒・青のまだらの「キャリコ」などと呼びます(江戸川区)。
写真で見る代表的な品種
主な品種の特徴と由来
弥富市の「金魚図鑑」と江戸川区の冊子に書かれている特徴だけをまとめています。
| 品種 | 見分けのポイント | 由来 |
|---|---|---|
| 和金(ワキン) | フナに近い細長い体。尾は1枚の「フナ尾」と、開いた尾(三つ尾・四つ尾)がある | 原種に近い。漢字は「和」だが中国から来た金魚で、江戸時代に輸入品と区別するためこう呼ばれた(江戸川区) |
| 琉金(リュウキン) | 体高があって丸く、顔が小さい。背が盛り上がり、ひれが長い。体が丈夫 | 江戸時代に中国から琉球(沖縄)を経て入ったので琉金と呼ばれたとされる |
| オランダシシガシラ | 琉金のような丸い体で、頭に大きな肉瘤。背ビレがある | 名前は「オランダ」だが中国から入った |
| ランチュウ(蘭鋳) | 背ビレが無い。頭に肉瘤。素赤・更紗が中心 | 江戸時代末期から日本で飼われてきた。和金からの突然変異で生まれた(江戸川区) |
| 出目金(デメキン) | 琉金のような丸い体に大きく飛び出した目。色は赤・黒・更紗・キャリコ | 明治時代に中国から輸入された(弥富市) |
| コメット | ワキン型の体に、長く伸びた吹き流しの尾。紅白の更紗が標準 | アメリカで作られ、日本に輸入された |
| 朱文金(シュブンキン) | ワキンのようなすらりとした体で、ひれが長い。浅葱色などが混じるキャリコ。比較的大きく育つ | 明治時代に、キャリコ出目金とヒブナなどをかけ合わせて作られた |
| 東錦(アズマニシキ) | オランダシシガシラ型の体に、キャリコの体色 | 昭和初期に関東地方で作られた |
| ピンポンパール | ピンポン玉のようにまんまるの体。うろこ1枚ずつが白く硬く盛り上がる「パール鱗」で、尾が短い | (由来は確認できなかった) |
| 土佐錦魚(トサキン) | 大きく反転した尾ビレ。泳ぎは上手ではなく、他の品種との混泳は避けたほうがよい(弥富市) | 高知県で江戸時代から飼われてきた |
| 地金(ジキン) | ワキン型の体に、4つに開いた独特な尾(「鯱金」とも)。口とひれを赤、体を白にするため、うろこをはいで色を整える | 現在の愛知県を中心に江戸時代から飼われてきた |
| 南京(ナンキン) | 背ビレが無い。白い体色が好まれる。飼育はやや難しい | 島根県で200年以上飼われてきた |
| 桜錦(サクラニシキ) | 背ビレが無い。細かい透明鱗で、更紗が中心 | 愛知県の生産者が江戸錦とランチュウをかけ合わせて作り、平成8年に新品種と認められた |
尾が2枚に分かれる理由尾が左右2枚に分かれる金魚は、chordin という遺伝子の片方に起きた変異が原因で、この変異は飼われるようになってからおよそ600年以内に起きた可能性があると報告されています(Abe ほか 2014)。
県の天然記念物になっている金魚
| 指定名(品種) | 指定 | 指定年 |
|---|---|---|
| 四尾の地金(ジキン) | 愛知県指定 天然記念物 | 1958年(昭和33年) |
| 土佐金魚(土佐錦魚・トサキン) | 高知県指定 天然記念物 | 1969年(昭和44年) |
| いづもナンキン(南京) | 島根県指定 天然記念物 | 1982年(昭和57年) |
国(文化庁)の天然記念物に指定された金魚の品種は、今回の調査では見つかりませんでした。大阪ランチュウ(戦争中に絶滅し、戦後に復元が進められている品種)が指定されたという公的な記録も見つかりませんでした。
金魚はフナから生まれた
金魚は、中国で見つかった赤いフナを人が飼い慣らし、改良を重ねて作った魚です。学名の上では、野生のフナ類と同じ Carassius auratus に含めて扱われます。ミトコンドリアDNAを比べた研究では、金魚の母方の祖先は中国南部、とくに長江下流域のフナに近いとされています(Wang ほか 2013)。
中国での始まりは、3〜4世紀ごろに揚子江のほとりで赤いフナが見つかったこととされます(国立国会図書館のコラム)。日本へは、1502年(室町時代)に大坂の堺に伝わったという説があります(江戸時代の飼育書『金魚養玩草』の記述による説)。はじめは裕福な商人や大名の楽しみでしたが、江戸時代中期に養殖が始まって値段が下がり、文化・文政期(1804〜1830年)には金魚売りや金魚すくいが江戸の夏の風物になりました。当時はガラスの水槽がなく、陶器の鉢に入れて上から眺めていました。
金魚の産地
奈良県大和郡山市・愛知県弥富市・東京都江戸川区は「金魚の三大産地」と呼ばれます(江戸川区)。
大和郡山:1724年、藩主の柳沢吉里が甲斐(山梨県)から移るときに金魚を持ち込み、養殖したのが始まりとされます。ため池が多く、池にわくミジンコが稚魚の餌に向いていました。奈良県の販売数量は4,490万尾・9.5億円です(2025年の県の調査。メダカを含む数字)。
弥富:生産量は奈良県に次いで全国2位で、県内で生産している品種は26種類(2017年、愛知県)。市内には金魚の卸売市場があります。需要の低迷・病気・都市化・後継者不足で、生産は減ってきています(愛知県)。
江戸川区:戦前は約5,000万尾を生産した産地でしたが、2026年7月時点で区内の金魚業者は1軒です(江戸川区)。
飼い方の基本
愛知県水産試験場・江戸川区・埼玉県水産研究所の資料から、数字の出ているものだけを並べています。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 数 | 45cm水槽なら全長5cmの金魚3〜4尾くらい。「少し物足りない」くらいがよい(愛知県)。10L未満の小さな容器なら全長3〜4cmを1〜2尾まで |
| ヒーター | 屋外でも飼える魚なので、なくても問題ない(愛知県)。ただし暖かい店にいた魚を急に冷たい水に入れると病気のもとになる |
| 水道水 | 塩素を抜いてから使う(1〜2日くみ置きして日に当てる、または中和剤) |
| 買ってきたら | 袋ごと30分ほど浮かべて水温を合わせてから放す。3〜4日は餌を控える(愛知県) |
| 餌 | 5分で食べきる量を1日1回(愛知県)〜2〜3回(江戸川区)。水温が下がったら減らし、冬の屋外では週1回程度で十分 |
| 水換え | 1〜2週間に1回、水槽の1/3くらい(江戸川区)。小さな容器では毎日〜週3回(愛知県) |
| はじめての品種 | 和金・コメット・朱文金・琉金が丈夫(江戸川区) |
転覆病琉金など丸い体の金魚は、水温が低いときにひっくり返って泳ぐ「転覆病」になりやすいとされます。春先の一時的なものは自然に治ることもあります(埼玉県水産研究所)。ヒーターで水温を一定にすると予防になると言われています(愛知県)。
水づくりや水換えのくわしい手順は飼育の基礎にまとめています。
金魚の繁殖
産地の奈良県の養殖では、4月上旬〜5月に、1週間おきくらいに5〜6回産卵します。卵は水草などにくっつく粘着卵です。ふ化までの日数は、論文では25℃前後でおよそ3日(受精後60〜72時間)とされています(奈良県の資料には「25℃で1週間後」とあり、資料によって差があります)。水温が26℃以上になると、形の異常な稚魚がふ化する割合が増えたという研究もあります。
産卵が近づくと、オスがメスを追いかけて突く行動が見られます。オスには、ほお(えらぶた)や胸ビレに「追星」という白い点々が出ます(江戸川区)。生まれた稚魚は3日ほどじっとしていて、泳ぎ始めたら餌を与えます。家庭では、固ゆで卵の黄身をガーゼに包んで水中でもみ出し、少しずつ与え、大きくなったら粉末の餌に切り替えます(埼玉県水産研究所)。稚魚は赤くなく、育つにつれて赤く変わります。
親と同じ形の子がどのくらい出るかを示した公的な数字は見つかりませんでした。産地では、ふ化から30日ほどで最初の選別をし、その後も何度か選別します(奈良県)。環境省と業界団体は、管理できる数を超えてむやみに殖やさないよう求めています。
金魚を川や池に放さない
環境省は2026年9月11日に公表した「生態系被害防止外来種リスト」の第2版で、金魚を「防除検討外来種」として新たに掲載しました。金魚は全国のため池や水路に定着していて、在来の魚との競合や、フナ類との交雑による遺伝的なかく乱のおそれが指摘されています。リストの利用上の注意は「逸出には十分な注意を払い、放流しないこと」です。
金魚は特定外来生物ではないので、飼う・売る・殖やすことに外来生物法の許可は要りません。飼っている金魚は基本的に防除の対象ではありません。そのかわり、最後まで飼い、飼えなくなったら引き取り手を探してください(環境省と日本観賞魚振興事業協同組合のパンフレット)。水換えのとき稚魚や卵を流してしまわないよう、排水は網を通します。屋外で飼うなら、大雨であふれて逃げないようにし、飼育水が川や水路とつながらないようにします。
「金魚は自然の中では生きられない」と書いた資料もありますが、環境省は野外に定着しているとしています。このページは環境省の記載に合わせています。
毒や病気の心配は?
金魚に毒があるという記載は、調べた資料のどこにもありませんでした。金魚に特定して人にうつる病気を示した公的な資料も見つかりませんでした。観賞魚の水槽一般の注意として、手に傷があるときは手袋を使い、作業のあとは手を洗ってください。
よくある質問
金魚の種類はいくつありますか?
金魚の種類はどこで見分けますか?
ランチュウとオランダシシガシラの違いは?
金魚とフナの違いは?
金魚は何年生きますか?どこまで大きくなりますか?
飼えなくなった金魚を川や池に放してもいいですか?
金魚は家で殖やせますか?
情報源・注記
【品種】弥富市「金魚図鑑」、江戸川区「きんぎょのーと」(2025年)、名古屋城の読み物(地金)。品種数は愛知県の発表(2017年)と江戸川区。尾が2枚に分かれる理由は Abe ほか(2014, PLOS Genetics, 要旨)。【天然記念物】愛知県文化財ナビ(四尾の地金)、高知県(土佐金魚)、島根県(いづもナンキン)。【起源】Wang ほか(2013, Heredity)、国立国会図書館のコラム、Catalog of Fishes(学名)。【大きさ・寿命】FishBase(最大48cm・最高41年)と江戸川区。【産地】奈良県(大和郡山の歴史・販売数量)、愛知県(生産・市場)、江戸川区(業者数・2026年7月)。【飼い方】愛知県水産試験場(飼育のFAQ)、江戸川区、埼玉県水産研究所(Q&A)。飼育の適水温の公的な数値は見つからなかった。【繁殖】奈良県、FishBase、Tsai ほか(2013, ふ化日数)、Urushibata ほか(2019, 水温と奇形・要旨)、埼玉県水産研究所、江戸川区。【放流】環境省「生態系被害防止外来種リスト」第2版(2026年9月11日)、環境省・日本観賞魚振興事業協同組合のパンフレット(2025年2月)。【価格】販売ページで確認できなかったので載せていない。写真は Wikimedia Commons(各写真の下にクレジット)。