毒・危険のある魚の一覧
かんたんに言うと
ゴンズイ・アイゴ・ハオコゼはヒレのトゲに毒があり、死んでいても刺されます。釣れたら素手で触らず、糸を切るか道具で外してください。フグ類は触って刺される魚ではなく、食べると命にかかわる魚です。川魚は生で食べないこと。
目次
まず覚えておく3つのこと
- 見分けに自信がない魚は素手で触らない。 毒のトゲを持つ魚は、小さくても、死んでいても刺されます。
- 釣れたら、糸を切って返すか、道具(魚ばさみ・フィッシュグリップ・プライヤー)で外す。 夜釣りではライトで魚を確かめてから手を出す。
- 刺されたら、洗う・毒を絞り出す・やけどしない程度のお湯につける。痛みが引かなければ受診。 息苦しさなど全身の異変は救急へ。
トゲに毒のある魚
刺されると強く痛み、数日続くこともあります。くわしい見分け方・手当ての出典は、それぞれのページにあります。
| 魚 | どこで出会うか | 毒のある場所 |
|---|---|---|
| アイゴ | 沿岸の岩場・藻場・アマモ場(水深1〜50m)。若い魚(全長20cm前後まで)は10〜50匹ほどの群れ、30cmを超える大人は単独か数匹で見られることが多い。透明度の高い場所を好む。 | 背ビレ・腹ビレ・尻ビレのトゲに毒があります。 トゲの両側の溝に毒をつくる部分があり、背ビレには強いトゲが13本、尻ビレには7本並びます。背ビレの前には、くぼみに隠れた短いトゲもあるので、見えるトゲだけに気をつけても不十分です。 |
| カサゴ | 岩礁・藻場、岩の割れ目、消波ブロックの隙間。浅い磯から水深数十mの岩礁まで(最も深い値は資料で差がある)。小さいものは沿岸の浅場、大きいものは沖の深場にいる傾向。 | 葉山町(葉山しおさい博物館)の資料は、カサゴは背ビレ・腹ビレ・頭部に有毒のトゲを持つとしています。国際的な魚類データベース(FishBase)もカサゴを「有毒」としています。ただし、オコゼやミノカサゴなどほかの魚と毒の強さを比べた資料は見つかりませんでした。 |
| ゴンズイ | 岸に近い浅い岩場(磯から水深10m前後)に多く、藻場や砂の底にもいる。昼はゴロタ石や消波ブロックのすき間、岩陰に隠れ、夜に出て底の小さな生き物を食べる。汽水域に入ることもある。 | 背ビレのトゲ1本と、左右の胸ビレのトゲ各1本(計3本)に毒があります。 トゲのつけ根の皮膚に毒をつくる部分があります。泳いでいるゴンズイに刺されることはあまりなく、多いのは釣れた魚に触って刺されるケースです。 |
| ハオコゼ | 浅いアマモ場や岩礁、波のおだやかな岩場の藻場、磯。ホンダワラ類などの海藻(ガラモ)の茂みに隠れていることが多い。潮だまりでもふつうに見られる。 | 背ビレのトゲに毒があります(環境省・葉山町・京都府・研究論文が一致)。ほかのヒレや頭のトゲも危ないとする資料もあるので、どのトゲにも触らないのが安全です。 |
食べると猛毒のフグ類
フグの毒(テトロドトキシン)は体の中や皮膚などにあり、加熱しても壊れません。釣れても調理・持ち帰り・譲渡はしないでください。見分け方と出典は、それぞれのページにあります。
| 魚 | どこで出会うか | 毒のある場所(食べてはいけない部分) |
|---|---|---|
| クサフグ | 日本の沿岸(北海道を含むかは資料で違う)。内湾・岩礁のまわり・砂地や砂礫底・藻場・河口の汽水域。水深50mより浅い場所。砂に潜ることがある。 | クサフグはフグ毒(テトロドトキシン)を持つ猛毒のフグです。 釣ったクサフグを自分で調理したり、人に譲ったりしないでください(厚生労働省)。 |
| ゴマフグ | 日本の沿岸(函館以南)、特に日本海に多い。生息する水深を調べた資料は見つからなかった。 | ゴマフグはフグ毒(テトロドトキシン)を持つフグです。 釣ったゴマフグを自分で調理したり、人に譲ったりしないでください(厚生労働省)。 |
| コモンフグ | 日本の沿岸の岩礁まわり。市場ではショウサイフグの箱に混ざって入荷することがある(東京都)。生息水深をまとめた資料は見つからなかった。 | コモンフグはフグ毒(テトロドトキシン)を持つ猛毒のフグです。 釣ったコモンフグを自分で調理したり、人に譲ったりしないでください(厚生労働省)。 |
| ショウサイフグ | 東北地方から九州の沿岸の、砂地や岩のまわりの底近く。福岡県の筑前海では、沿岸と沖を季節で行き来していると考えられている。 | ショウサイフグはフグ毒(テトロドトキシン)を持つフグです。 釣ったショウサイフグを自分で調理したり、人に譲ったりしないでください(厚生労働省)。 |
| トラフグ | 沿岸から沖合の砂底。砂に潜る行動が知られる(水族館の解説)。産卵期は沿岸の水深30〜50mほどの、潮の流れが速く粗い砂や小石の多い海底。 | トラフグもフグ毒(テトロドトキシン)を持つ魚です。 釣ったトラフグを自分で調理したり、人に譲ったりしないでください(厚生労働省)。 |
| ヒガンフグ | 日本各地の沿岸の岩礁まわり。東京の市場には鮮魚でまとまって入荷する(東京都)。 | ヒガンフグはフグ毒(テトロドトキシン)を持つ猛毒のフグです。 釣ったヒガンフグを自分で調理したり、人に譲ったりしないでください(厚生労働省)。 |
| マフグ | 日本海では水深100m以上の大陸棚が中心とされる(山口県の標識放流)。北海道では日本海の大型定置網、オホーツク海の底建網で多く獲れる。 | マフグはフグ毒(テトロドトキシン)を持つ猛毒のフグです。 釣ったマフグを自分で調理したり、人に譲ったりしないでください(厚生労働省)。 |
刺されたときの応急手当て
公的資料(環境省・葉山町など)に共通する手当ては、①傷口を洗う ②傷口から毒を絞り出す ③目に見えるトゲが残っていれば取り除く ④やけどしない程度のお湯に患部をつける、です。お湯の温度は、日本中毒情報センターがオコゼ類など有毒なトゲを持つ魚について「45℃以下」としています。浸ける時間は、魚ごとの公的な記載が見つからなかったので書いていません。
お湯は痛みをやわらげる応急手当てで、治療ではありません。効き目の根拠は強くないとする医学的な見方もあります。痛みが引かない・トゲが残っていそう・腫れや赤みが広がるときは医療機関へ。トゲが体の中に残っていると、レントゲン検査が必要になることがあります(環境省)。息苦しさ・じんましん・気分の悪さなど全身の異変があるときは、すぐに救急を受診してください。
迷ったときは、日本中毒情報センターの「中毒110番」にも相談できます。このページは応急手当ての一般的な情報で、診断や治療に代わるものではありません。
生で食べると寄生虫の心配がある魚
刺す毒はありませんが、人に感染する寄生虫の幼虫を持つことがあります。刺身などの生食をせず、中まで十分に火を通してください。
| 魚 | 注意すること |
|---|---|
| ウグイ | ウグイに毒はありません。注意が必要なのは寄生虫です。食品安全委員会の調査報告書では、ウグイはアユ・シラウオと並んで横川吸虫(人の腸に寄生する寄生虫)の幼虫を持つ魚に挙げられており、予防法として「生で食べないこと」が示されています。 |
| オイカワ | オイカワに毒はありません。注意が必要なのは寄生虫です。静岡県の川で調べた研究では、オイカワの約半数(46.6〜56.7%)から、人の腸に寄生する横川吸虫の幼虫が見つかっています。食品安全委員会の資料も、淡水魚・汽水魚を生で食べないことを予防法としています。 |
| カワムツ | カワムツに毒はありません。寄生虫の宿主としてカワムツを名指しした公的な資料は見つかりませんでしたが、川魚(コイの仲間を含む淡水魚)を生で食べることは、横川吸虫や肝吸虫に感染する経路として知られています。生では食べず、中まで十分に火を通してください。 |
| ギンブナ | フナを生で食べないでください。 食品安全委員会は、有棘顎口虫(ゆうきょくがっこうちゅう)という寄生虫がライギョのほかフナなどの生食で人に感染するとしています。顎口虫の幼虫は皮膚の下を移動して、線のようなはれやかゆみを起こし、まれに目や神経に入ることがあります。予防は十分に加熱することです。生や加熱の足りない淡水魚を食べたあとに皮膚の異変が出たら医療機関へ。 |
| ゲンゴロウブナ | フナを生で食べないでください。 食品安全委員会は、有棘顎口虫(ゆうきょくがっこうちゅう)という寄生虫がライギョのほかフナなどの生食で人に感染するとしています。予防は十分に加熱することです。生や加熱の足りない淡水魚を食べたあとに皮膚に線のようなはれなどが出たら医療機関へ。 |
| ドジョウ | ドジョウを生で食べてはいけません。 1980年ごろから、中国などから輸入されたドジョウを生で食べる「踊り食い」で、剛棘顎口虫(ごうきょくがっこうちゅう)という寄生虫に100人以上が感染しました。国産のドジョウでも、生食で日本顎口虫に感染した例が報告されています(食品安全委員会)。 |
| ニゴロブナ | ニゴロブナは毒魚ではありません。注意が必要なのは寄生虫です。食品安全委員会は、有棘顎口虫がフナなどの淡水魚の生食で人に感染しうるとしています(フナ類についての注意で、ニゴロブナだけを名指しした資料ではありません)。淡水魚は生で食べず、十分に加熱してください。 |
| マアジ | マアジは毒のある魚としては扱われていません。注意が必要なのはアニサキス(寄生虫)です。厚生労働省は、アニサキスが寄生する魚の例にアジを挙げています。 |
| マイワシ | マイワシは毒のある魚としては扱われていません。注意が必要なのはアニサキス(寄生虫)とヒスタミンです。 |
| マサバ | マサバに毒はありませんが、食べるときに注意が必要なことが3つあります。 |
| マナマズ | マナマズは、毒魚としては扱われていません。注意が必要なのは寄生虫(顎口虫)です。 |
| マハゼ | マハゼ自体は、毒のある魚としては扱われていません(FishBase は「人に無害」)。 |
| モツゴ | モツゴに毒があるという記載は、公的・学術的な資料には見当たりません。注意が必要なのは寄生虫(肝吸虫)です。 |
よくある質問
毒のある魚に刺されたらどうすればいいですか?
死んだ魚でも刺されますか?
毒のある魚が釣れたら、どう外せばいいですか?
川魚にも危ない魚はいますか?
情報源・注記
一覧の中身(毒のある場所・すむ場所・寄生虫)は、各種のページの記述をそのまま表示しています。出典はそれぞれのページの「数値の根拠と情報源」にあります。応急手当ての共通部分は、環境省 せとうちネット「危険な生き物」、葉山町「海の危険な生物」、日本中毒情報センター「魚刺傷・腔腸動物(クラゲなど)刺傷について」、お湯の効き目の根拠が弱い点は Niżnik ほか(2024)Toxins 16(6) のレビューによります。魚に刺されたときのお湯の温度・時間を魚ごとに示した公的資料は見つかりませんでした。
毒のある魚の写真と見分け方(トゲの毒・フグ毒)
海水
アイゴ
Siganus fuscescens
磯や堤防で釣れる、白い斑点の平たい海の魚。背ビレ・腹ビレ・尻ビレのトゲに毒があり、死んでも刺される。西日本ではバリと呼ぶ。
海水
カサゴ
Sebastiscus marmoratus
岩の隙間にすむ、まだら模様の根魚。関西ではガシラ、九州ではアラカブ。背ビレ・腹ビレ・頭のトゲに毒があるとする公的資料があり、素手でつかまない。
海水・汽水
クサフグ
Takifugu alboplumbeus
堤防や砂浜でよく釣れる小さなフグ。卵巣と肝臓に猛毒、皮にも強い毒がある。釣れても調理しない・人に譲らない・持ち帰らない。
海水
ゴマフグ
Takifugu stictonotus
背に藍色の小さな点がごまのように密にあり、背と腹に小さなトゲ、尻ビレがレモン色のフグ。日本海に多い。ショウサイフグとの雑種が増えている。
海水
コモンフグ
Takifugu flavipterus
褐色の体に大小の丸い白点、背と腹に小さなトゲ、黄色っぽいヒレのフグ。皮・肝臓・卵巣は猛毒になりうる。種名の分かる中毒で最も多い魚。
海水
ゴンズイ
Plotosus japonicus
黄色い縦帯とヒゲ8本が目印の海のナマズの仲間。背ビレと胸ビレのトゲに毒があり、死んでいても刺される。夜釣りで釣れたら素手で触らない。
海水
ショウサイフグ
Takifugu snyderi
茶色の地に濃い褐色の模様で、体にトゲが無く尻ビレが白いフグ。卵巣と肝臓に強い毒を持つことがある。ゴマフグなどとの雑種も多い。
海水
トラフグ
Takifugu rubripes
背と腹に小さなトゲがあり、胸ビレの後ろの黒い紋が白く縁取られる大型のフグ。肝臓・卵巣は食べられない部位。釣っても自分で調理しない。
海水
ハオコゼ
Paracentropogon rubripinnis
浅い藻場や岩場にいる全長10cmほどの小さなオコゼ。背ビレのトゲに毒があり、刺されると数時間〜数日痛む。死んでも毒は残るので素手で触らない。
海水
ヒガンフグ
Takifugu pardalis
赤みのある褐色に黒い斑点、トゲが無く皮に小さなイボのあるフグ。肝臓・卵巣は猛毒、皮やヒレ・精巣にも毒。東京ではアカメフグとも呼ぶ。
海水
マフグ
Takifugu porphyreus
体にトゲが無く、尻ビレが黄色く、胸ビレの後ろに白い縁取りの無い大きな黒い紋があるフグ。肝臓・卵巣は猛毒。北海道で多く獲れるようになった。