産着卵 ナマズ 親が稚魚を食べる

コリドラス・アエネウスの繁殖

Corydoras aeneus / Bronze Corydoras

かんたんに言うと

白コリはこの魚のアルビノで、値段も同じです。呼び水で殖えますが1匹240円、個人の売り先はほぼゼロです。

コリドラス・アエネウス(赤コリ)。赤銅色の体にメタリックグリーンの帯。最も普及した入門コリドラス。

撮影: Ark (Wikimedia Commons) / CC BY 3.0

繁殖のしやすさ

簡単

1回の産仔数

50〜200

初産は少なく、成熟したメスほど多く産む

産卵から出荷サイズまで

63〜94

約2〜3か月

実売単価(1匹)

240〜300

通販・店頭の実売。あなたが売るときの競合値でもある

赤コリの名で知られる、おそらく最も普及しているコリドラスです。赤銅色(ブロンズ)の体にメタリックグリーンの帯が走ります。そしてアクアショップで「白コリ」として売られている白い個体は、この赤コリのアルビノ品種で、まったく同じ種です。別の高級魚ではありません。値段も赤コリとほぼ同じで、白いから高い・弱いということもありません。ここは初心者が誤解しやすいポイントです。

繁殖の方法は青コリ(パレアタス)と同じで、「呼び水」——水換えのときに数℃冷たい新水を大量に入れて産卵を誘発します。オスとメスがT字になる「Tポジション」で交配し、メスが卵をガラス面や水草に1個ずつ産みつけます。丈夫で殖やしやすく、コリドラス入門の定番です。上の写真の2枚目は、白コリ(アルビノ)が実際に産卵している瞬間で、白い卵がはっきり見えます。

ただ、採算の話は青コリよりもさらに厳しいものになります。大手通販では赤コリも白コリも5匹1,200円=1匹240円。そして決定的なのは、ヤフオクで「赤コリ」の落札を調べると、直近30日でゼロ件だったことです。青コリはまだ業者出品がありましたが、赤コリは個人が売る市場そのものが成立していません。安くて誰でも殖やせる定番種を、個人が繁殖して売っても、買い手がいないのです。「殖えること」と「売れること」はまったく別だと、この魚がいちばんはっきり教えてくれます。

繁殖サイクル

親を用意してから、稚魚が出荷サイズに育つまでの流れ。帯の長さが、その段階にかかる日数の目安です。

  1. 1
    養成 群れで飼い、メスを太らせる 14〜30日

    親魚を繁殖できる状態に持っていく

  2. 2
    ペアリング 「呼び水」で産卵を誘発する 1〜3日

    オスとメスを合わせる

  3. 3
    産卵・交尾 Tポジションで産卵する 1〜2日

    繁殖行動が起きる

  4. 4
    卵の管理 卵を親から隔離する 3〜4日

    孵化までの管理

  5. 5
    泳ぎ出し 泳ぎ出したらブラインを与える 2〜3日

    稚魚が泳ぎ始め、餌を食べ出す

  6. 6
    稚魚育成 底を清潔に保って育てる 60〜90日

    出荷サイズまで育てる

  7. 7
    出荷 育っても、赤コリは個人では売れない 60〜90日

    販売できるサイズに到達

繁殖の手順

1

群れで飼い、メスを太らせる

14〜30日

5〜6匹以上の群れで飼い、繁殖を狙うならオスを多めに(2:1〜3:2)します。冷凍アカムシや生き餌を多めに与えてメスをよく太らせてください。抱卵したメスは上から見ると腹が横に張って丸くなります。白コリ(アルビノ)は体色で見分けられないぶん、この体型の差で雌雄を判断します。

2

「呼び水」で産卵を誘発する

1〜3日 23℃

普段25〜26℃で飼っている水を8割ほど抜き、飼育水より3〜4℃冷たい新水を入れて水温を下げます。原産地で雨季の増水・水温低下が繁殖の合図になっているのを再現するわけです。カルキ抜きした水を使い、下げ幅は3〜4℃にとどめてください。低気圧や雨の日に乗りやすいと言われます。

注意 水温・水質を急変させすぎると魚を傷めます。

3

Tポジションで産卵する

1〜2日 23℃

オスがメスの口ヒゲのあたりを胸ビレで挟み、2匹がT字(Tポジション)になって放精します。メスは腹ビレのポケットで卵を受け取り、ガラス面や水草に1個ずつ産みつけていきます。1回50〜200個。上の写真のように、白コリでも同じ行動が観察できます。呼び水がうまく効けば5〜7日おきに繰り返し産みます。

白コリ(アエネウスのアルビノ)が産卵している瞬間。白い卵がガラス面と水草に産みつけられているのが見える。白コリは赤コリと同じ魚で、繁殖のしかたも同じ。
白コリ(アエネウスのアルビノ)が産卵している瞬間。白い卵がガラス面と水草に産みつけられているのが見える。白コリは赤コリと同じ魚で、繁殖のしかたも同じ。

撮影: Docmarius / CC BY-SA 4.0

コツ メスがガラス面をなぞるように動き始めたら産卵のサインです。

4

卵を親から隔離する

3〜4日 24℃

コリドラスは自分の卵・稚魚を食べるので、産卵を確認したら卵を隔離します。ガラス面の卵は指でそっと転がして剥がし、別容器へ。水カビ対策にメチレンブルーを少量入れ、弱くエアレーションして水を動かします。孵化までは3〜4日です。

注意 同居のままでは卵・稚魚がほとんど残りません。

5

泳ぎ出したらブラインを与える

2〜3日 25℃

孵化後2〜3日、お腹の栄養袋を使い切って泳ぎ出したら給餌開始です。コリドラスの稚魚は最初からブラインシュリンプの幼生を食べられるので、インフゾリアの準備は要りません。1日数回こまめに与えるほど成長が早まります。

6

底を清潔に保って育てる

60〜90日 25℃

底棲の稚魚は底の汚れがそのまま調子に響きます。食べ残しや糞をこまめに取り、少量ずつ換水を続けます。売れるサイズ(2〜3cm)まで2〜3か月です。

注意 初期の餓死と水質悪化が最大の関門です。

7

育っても、赤コリは個人では売れない

60〜90日

2〜3か月かけて育てても、ここが決定的です。赤コリも白コリも大手通販で1匹240円。しかもヤフオクで「赤コリ」の落札を調べると、直近30日で0件でした。青コリはまだ業者の出品がありましたが、赤コリは個人が売る市場そのものが成立していません。安くて誰でも殖やせる定番種は、殖やせても買い手がいないのです。

注意 「殖える=売れる」ではありません。最安の定番種は、個人が売る余地が二重(価格・需要)にゼロです。

相場と採算

2026年7月18日時点の調査。相場は品種・グレード・時期で変動します。

実売相場(1匹)

240〜300

通販・店頭の実売価格。あなたが買う値段でもあり、売るときの競合でもある=ここに利ざやは出ない

この魚は売って儲かるのか

魚は個人でも許可なく売れます。ただし、売って利益を出すのは簡単ではありません。多くの種は安価な量産個体と競合し、販路・送料・死着といった壁もあります。当サイトはその現実を、腕前ではなく市場の構造の問題として、種ごとに数字で確かめています。くわしくは 繁殖は儲かるのか、自分の条件での試算は採算シミュレーターをどうぞ。

基本データ

コリドラス・アエネウスの基本データ
繁殖形態産着卵 — 水草・流木・ガラス面に粘着性の卵を産み付ける。卵ごと移動できるので管理しやすい。
別名赤コリ、白コリ、ブロンズコリ、アエネウス、アルビノコリドラス
飼育のしやすさ とても簡単
成魚サイズ65〜75mm
適水温21〜27℃
繁殖適水温22〜24℃
pH6〜7.5
最低水槽サイズ45L以上
産卵から孵化まで 3〜4日
稚魚の初期飼料孵化後2〜3日で泳ぎ出し、ブラインシュリンプ幼生を食べられる
親の隔離 必要(親が稚魚・卵を食べる)
雌雄の見分け方メスはオスより大きく、上から見ると腹が丸く張る。オスは細身。白コリ(アルビノ)は色で判別できないぶん、体型の差で見分ける。
原産地トリニダード・トバゴ、ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチン
生息環境南米の広い範囲(トリニダードが基準産地)に分布する種複合体。流れの緩やかな川や池の底。
入手先 量販店、専門店、通販、オークション

品種(バリエーション)

「赤コリ・白コリ・青コリ」は色違いに見えて、分類は同じではありません。赤コリ=アエネウス、白コリ=そのアエネウスのアルビノ(=赤コリと同種で色素が抜けただけ)、青コリ=パレアタス(別種)です。つまり赤と白は兄弟、青だけが他人。当サイトでは 青コリステルバイ を別ページで扱っています。ここでは赤コリ=アエネウスの品種を挙げます。なお2024年の再分類でアエネウスは Osteogaster 属へ移す提案が出ていますが、流通名はいまも Corydoras aeneus が主流です。

白コリ(アルビノ)

アルビノ(赤コリと同種)

赤コリ(アエネウス)のアルビノ個体。乳白色に赤い目で、色素が抜けただけの同じ種です。丈夫で入門向き。

赤コリと同種。価格も赤コリと同程度のことが多いです。

ロングフィン

改良ヒレ

ヒレが長く伸びる改良個体。アエネウスやステルバイなどに存在します。

元の種は同じですが、流通量が少なく元種より高価になりやすいです。

ショートボディ

改良体型

体が詰まって丸くなる改良個体。これも元の種は同じです。

品種の相場は流行・個体差・入荷で大きく変動します(調査 2026年7月)。裏の取れない相場は載せていません。

混泳相性

相手 相性 理由
ネオンテトラなどの小型カラシン 良い 中〜上層を泳ぎ生活層が分かれる。温和。
ラスボラ・ヘテロモルファ 良い 上層で温和。混泳の定番。
他のコリドラス 良い 同じ底棲でも争わず群れて落ち着く。
エビ(稚エビ) 注意 成体は平気だが、底のものを何でも口に入れるので稚エビは食べられることがある。
ベタ・大型シクリッド 避ける 底で動くコリドラスが標的になりやすい。大型魚には捕食される。

よくある失敗

繁殖そのものより、ここでつまずく人のほうが多いです。

呼び水をかけても産卵しない

症状
水温を下げても産卵しない。
原因
メスが未熟、オス不足、下げ幅不足、親の状態不良。
対策
生き餌・冷凍アカムシでメスを太らせる。オスを多めに。8割換水で3〜4℃しっかり下げる。

卵が白くカビる

症状
卵が白濁し水カビに覆われる。
原因
無精卵、水カビ、または親の食卵。
対策
卵を隔離しメチレンブルー+弱エアレーション。オスを増やして受精率を上げる。無精卵は除去。

稚魚が消えていく よく起きる

症状
泳ぎ出し後に数が減る。
原因
初期餌不足(餓死)、底の汚れによる水質悪化。
対策
ブラインシュリンプ幼生を1日数回。底掃除とこまめな少量換水。

口ヒゲが溶ける

症状
口のヒゲが擦り切れて短くなる。
原因
粗い底床での損傷、底床の汚れ、細菌感染。
対策
角のない細目の砂を薄く敷き、底を清潔に保つ。

知っておきたいこと

「赤コリ」「白コリ」「ブロンズコリ」は、すべて同じ Corydoras aeneus のことです。赤コリが通常個体、白コリがそのアルビノ、ブロンズコリは英名(Bronze Corydoras)そのままの呼び方です。青コリ(パレアタス)とは別種ですが、白コリと赤コリは同じ魚です。ほかにブラック(Dark)やロングフィンといった改良品種もあります。

学名にも動きがありました。2024年の大改訂(Dias ら)でコリドラス属が複数の属に分割され、本種は Osteogaster aeneus に移されました。青コリ(Hoplisoma paleatum)、ステルバイ(Hoplisoma sterbai)とは別の属になったわけです。ただし再編はごく最近で、流通も多くの資料もまだ「コリドラス(Corydoras aeneus)」のままです。なお本種は単一の種ではなく、よく似た複数の集団を含む「種複合体」で、流通個体の多くは正確には Osteogaster aff. aeneus とされます。

よくある質問

白コリと赤コリは違う魚ですか?
同じ魚です。白コリは赤コリ(アエネウス)のアルビノ品種で、種としては同一です。値段もほぼ同じ(どちらも1匹240円前後)で、白いから高い・弱いということはありません。初心者が誤解しやすいところですが、アルビノは色素が抜けているだけで、丈夫さも飼い方も繁殖のしかたも赤コリと変わりません。
呼び水とは何ですか?
コリドラスの産卵を誘発する水換えのテクニックです。25〜26℃で飼っている水を8割ほど抜き、飼育水より3〜4℃冷たい新水を入れて水温を下げると産卵します。原産地で雨季の増水と水温低下が繁殖の合図になっているのを再現するものです。赤コリでも白コリでも同じように効きます。
殖やせば売れますか?
赤コリ・白コリは、個人ではまず売れません。大手通販で1匹240円という安さに加え、ヤフオクで「赤コリ」の落札を調べると直近30日で0件でした。つまり個人が売る市場そのものが成立していないのです。安くて誰でも殖やせる定番種ほど、殖やせても買い手がいません。当サイトが調べた中で、これは「殖えることと売れることは別」を最もはっきり示す例です。
数値の根拠と情報源

【価格】2026-07-18 charm 実売。赤コリ(通常個体)5匹1,200円=1匹240円、3匹900円=300円。白コリ(アルビノ)は5匹1,200円=240円と赤コリと完全に同値、3匹1,040円=347円。Dark/ワイルド各種/ロングフィンの改良・希少個体は1匹1,040〜8,800円だが少数の愛好家向けで、通常個体の相場ではないため実売相場(240〜300円)には含めず注記に留めた。

【個人販売の実態=3種で最も鮮明】ヤフオク(オークフリー、直近30日)で「赤コリ」の落札は0件。「コリドラス アエネウス」で3件あるがいずれも店舗出品(5匹1,000円=200円/匹)。個人が転売・出品する市場が事実上存在しない。charm が240円で売り、個人需要もない二重苦で、個人繁殖販売の余地は実質ゼロ。

【白コリ=アルビノ=同値】白コリはアエネウスのアルビノを固定した品種で、赤コリと同種・同値。初心者が「アルビノ=高い/弱い」と誤解しやすいが、価格も丈夫さも赤コリと変わらない。

【学名】Corydoras aeneus (Gill, 1858)。2024年の大改訂(Dias et al. 2024)で本種は Osteogaster aeneus に移された(確度:高)。本種は種複合体で、流通個体の多くは Osteogaster aff. aeneus。ただし流通・多くの資料は Corydoras のまま。出典 AMAZONAS Magazine / Practical Fishkeeping / Seriously Fish。

【呼び水(産卵誘発)】飼育25〜26℃ → 8割程度の大量換水で3〜4℃低い新水を入れて産卵を誘発(corydoras.fun ほか、確度:中〜高)。一度乗ると5〜7日間隔で連発する例あり。オス:メス比2:1〜3:2推奨。低気圧・雨で産卵しやすいと言われるが機序の一次資料なし(確度:低)。

【繁殖の数値】産着卵・Tポジション交配。1回50〜200個、孵化3〜4日(水温依存)、泳ぎ出しは孵化後2〜3日、ブラインシュリンプ幼生で育つ。親は卵・稚魚を食べるので隔離が基本。売れるサイズ(2〜3cm)まで2〜3か月(確度:低)。

【サイズ】65〜75mm SL(Seriously Fish・確度高)。適水温21〜27℃。寿命は「数年」とされるが確実な一次データが取れず未記載。

【病気】口ヒゲの短縮・溶け(粗い底床・汚れ・細菌)→細目の砂。白点病は薬に弱く半量投薬が定石。水草の残留農薬はナマズ・エビ全般の弱さの一環(種特異的データなし)。すべて確度中。

【裏が取れなかった項目】寿命、稚魚の生存率(歩留まり)、性成熟までの日数、売れるサイズまでの日数(確度低)。

【主な情報源】charm(販売ページ)、オークフリー(ヤフオク落札)、Seriously Fish、FishBase、corydoras.fun、AMAZONAS Magazine、Practical Fishkeeping、AQUALASSIC、東京アクアガーデン。

繁殖の育て方ガイド

親の入手から稚魚(針子)の育成まで、種をまたいで共通するコツがあります。繁殖に挑むならあわせてどうぞ。