群れで飼い、親の状態を上げる
コリドラスは群れる魚なので、5〜6匹以上で飼います。繁殖を狙うなら、オスをメスより多めに(オス2にメス1〜2、あるいは3:2)しておくと成功率が上がります。産卵前は冷凍アカムシや生き餌を多めに与え、メスをよく太らせてください。抱卵したメスは上から見ると腹が横に張って丸くなり、オスとの区別がつきます。
コツ パレアタスは低水温に強く水質にもうるさくないので、状態を上げるのは3種の中でいちばん楽です。
Corydoras paleatus / Peppered Corydoras
かんたんに言うと
水換えで水温を数℃下げると産卵します(呼び水)。ただし1匹250円で、個人が殖やして売る余地はほとんどありません。
撮影: Ude / CC BY-SA 3.0
繁殖のしやすさ
簡単
1回の産仔数
50〜200匹
初産は少なく、成熟したメスほど多く産む
産卵から出荷サイズまで
63〜95日
約2〜3か月
実売単価(1匹)
250〜300円
通販・店頭の実売。あなたが売るときの競合値でもある
青コリの名で親しまれる、コリドラスの中でも指折りの丈夫な入門種です。灰色の地に黒い斑が散り、体にわずかな青緑の光沢が乗ります。この魚が家庭繁殖の題材として面白いのは、「呼び水」という独特の産卵誘発があるからです。
コリドラスは、ただ飼っているだけではなかなか産卵しません。ところが、水換えのときに飼育水より数℃冷たい新水を大量に入れると、産卵のスイッチが入ることが知られています。原産地(アルゼンチンやブラジル南部)で雨季の増水・水温低下が繁殖の合図になっているためと考えられ、これを水槽で再現するわけです。パレアタスはもともと18〜23℃の低水温を好む亜熱帯の魚なので、この「冷たい新水で誘発」が3種の中でいちばん素直に効きます。
繁殖そのものは易しい部類です。オスとメスを良い状態で数匹飼い、呼び水をかければ、メスがガラス面や水草に卵を1個ずつ産みつけていきます。産卵形態は「Tポジション」と呼ばれる独特のもので、これは繁殖の手順で詳しく説明します。
ただし、採算の話になると厳しい現実があります。大手通販では青コリが5匹1,250円=1匹250円で常時売られています。個人が手間と餌代と電気代をかけて殖やしたものを、この値段より安く、しかも送料まで乗せて売るのは不可能です。実際、ヤフオクでもパレアタスの出品はほとんどが業者で、個人ブリーダーが売って成立している形跡は見当たりません。繁殖の観察は面白い。でも売って稼ぐ魚ではありません。
親を用意してから、稚魚が出荷サイズに育つまでの流れ。帯の長さが、その段階にかかる日数の目安です。
親魚を繁殖できる状態に持っていく
オスとメスを合わせる
繁殖行動が起きる
孵化までの管理
稚魚が泳ぎ始め、餌を食べ出す
出荷サイズまで育てる
販売できるサイズに到達
コリドラスは群れる魚なので、5〜6匹以上で飼います。繁殖を狙うなら、オスをメスより多めに(オス2にメス1〜2、あるいは3:2)しておくと成功率が上がります。産卵前は冷凍アカムシや生き餌を多めに与え、メスをよく太らせてください。抱卵したメスは上から見ると腹が横に張って丸くなり、オスとの区別がつきます。
コツ パレアタスは低水温に強く水質にもうるさくないので、状態を上げるのは3種の中でいちばん楽です。
この魚の繁殖の肝です。普段25〜26℃で飼っている水槽の水を8割ほど抜き、そこへ飼育水より3〜4℃冷たい新水を入れて、水温を22〜23℃まで下げます。原産地で雨季の増水・水温低下が繁殖の合図になっているのを再現するわけです。パレアタスはもともと低水温を好むので、この冷たい新水がよく効きます。低気圧や雨の日に産卵しやすいと昔から言われます(理由までははっきりしていません)。
注意 新水の水温・水質が急変しすぎると魚を傷めます。カルキ抜きした水を使い、下げ幅は3〜4℃にとどめてください。
条件が整うと、オスとメスが独特の交配行動を見せます。オスがメスの口ヒゲのあたりを胸ビレと体で挟み込み、2匹がT字(Tポジション)になって放精します。メスは腹ビレで作ったポケットに卵を受け取り、口や腹ビレで運んでガラス面・水草・産卵床などの平面に1個ずつ産みつけていきます。1回の産卵で50〜200個。呼び水がうまく効くと、5〜7日おきに繰り返し産むこともあります。
撮影: Nate Wessel / CC BY-SA 4.0
コツ メスがガラス面をなぞるように動き始めたら産卵のサインです。
コリドラスは自分の卵や稚魚を食べてしまいます。産卵を確認したら、卵を親から離してください。ガラス面の卵は指でそっと転がすように剥がして別容器へ移すか、産卵床ごと隔離します。卵は水カビにやられやすいので、隔離先の水にメチレンブルーを少量入れ、弱くエアレーションして水を動かすと歩留まりが上がります。孵化までは3〜5日です。
注意 親と同居のままだと、せっかくの卵と稚魚がほとんど残りません。
孵化した稚魚は、はじめの2〜3日はお腹のヨークサック(栄養の袋)を消費してじっとしています。それを使い切って泳ぎ出したら給餌開始です。コリドラスの稚魚はメダカやグラミーほど口が小さくないので、最初からブラインシュリンプの幼生を食べられます。インフゾリアを用意する必要がなく、この点は育てやすいところです。1日数回、こまめに与えるほど成長が早まります。
稚魚は水の汚れに弱いので、育成容器の底に溜まる食べ残しや糞をこまめに取り除き、少量ずつ換水します。底棲のコリドラスは常に底の水に触れているため、底の汚れがそのまま調子に響きます。売れるサイズ(2〜3cm、コリドラスの形が分かる大きさ)まで、およそ2〜3か月です。
注意 初期育成での餓死と水質悪化が最大の関門です。
2〜3か月かけて育てても、ここで現実に当たります。青コリは大手通販で5匹1,250円=1匹250円で常時売られています。個人が手間・餌・電気をかけたものを、この値段より安く、しかも送料まで乗せて売ることはできません。ヤフオクでもパレアタスの出品はほぼ業者だけで、個人が売って成立している例は見当たりませんでした。繁殖と子育ての観察を楽しむ魚であって、売って稼ぐ魚ではありません。
注意 「殖えるから売れる」ではありません。安い定番種ほど、個人が価格で勝てる余地はゼロです。
2026年7月18日時点の調査。相場は品種・グレード・時期で変動します。
実売相場(1匹)
250〜300円
通販・店頭の実売価格。あなたが買う値段でもあり、売るときの競合でもある=ここに利ざやは出ない
| 繁殖形態 | 産着卵 — 水草・流木・ガラス面に粘着性の卵を産み付ける。卵ごと移動できるので管理しやすい。 |
|---|---|
| 別名 | 青コリ、パレアタス、花コリ、ペッパードコリドラス |
| 飼育のしやすさ | とても簡単 |
| 成魚サイズ | 50〜71mm |
| 寿命 | 3〜5年 |
| 適水温 | 18〜25℃ |
| 繁殖適水温 | 22〜23℃ |
| pH | 6〜7.5 |
| 最低水槽サイズ | 45L以上 |
| 産卵から孵化まで | 3〜5日 |
| 稚魚の初期飼料 | 孵化後2〜3日で泳ぎ出し、ブラインシュリンプ幼生を食べられる |
| 親の隔離 | 必要(親が稚魚・卵を食べる) |
| 雌雄の見分け方 | メスはオスより一回り大きく、上から見ると腹が横に張って丸い。オスは細くスマート。抱卵したメスは特に分かりやすい。 |
| 原産地 | アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイ |
| 生息環境 | ラプラタ川・パラナ川水系(南米南部)の、水温が低めの流れの緩やかな水域。亜熱帯性で、日本の無加温飼育にも耐える。 |
| 入手先 | 量販店、専門店、通販、オークション |
| 相手 | 相性 | 理由 |
|---|---|---|
| ネオンテトラなどの小型カラシン | 良い | 中〜上層を泳ぎ、底のコリドラスと生活層が分かれる。温和で好む水質も近い。 |
| ラスボラ・ヘテロモルファ | 良い | 上層で温和。混泳の定番。 |
| 他のコリドラス | 良い | 同じ底棲でも争わず、むしろ群れて落ち着く。 |
| エビ(稚エビ) | 注意 | 成体は平気だが、コリドラスは底のものを何でも口に入れるので稚エビは食べられることがある。 |
| ベタ・大型シクリッド | 避ける | 底で動くコリドラスが攻撃対象になりやすい。大型魚には捕食される。 |
繁殖そのものより、ここでつまずく人のほうが多いです。
学名に大きな動きがありました。2024年の大改訂(Dias ら)で、これまで100種以上を抱えていたコリドラス属(Corydoras)が複数の属に分割され、本種は Hoplisoma paleatum に移されました。赤コリ(アエネウス)は Osteogaster、ステルバイは Hoplisoma へと、定番3種がそれぞれ別の属になったのです。ただしこの再編はごく最近のもので、流通名も多くの資料も依然として「コリドラス(Corydoras)」のままです。当サイトでも通りの良い Corydoras paleatus を併記しています。
「青コリ」の名は、体に乗るわずかな青緑〜青灰の光沢が由来とされますが、断定できる一次資料は見つかりませんでした。赤コリ(アエネウス)・白コリ(アエネウスのアルビノ)と並ぶ、昔からの定番3色のひとつです。パレアタスにもアルビノ・ハイフィン・ショートボディといった改良品種があります。
【価格】2026-07-18 charm 実売。青コリ(通常個体)5匹1,250円=1匹250円、3匹900円=300円。アルビノは1匹700円・3匹1,800円=600円。ワイルド/ハイフィン/ショートボディの改良・希少個体は1匹3,500〜8,690円と桁が違うが、これらは少数の愛好家向けで通常個体の相場ではないため、本ページの実売相場(250〜300円)には含めず注記に留めた。
【個人販売の実態】ヤフオク(オークフリー、直近30日)でパレアタスの落札は4件、いずれも不二熱帯魚・アクアショップK.K 等の店舗出品で、5匹680円(136円/匹)〜10匹1,690円(169円/匹)。各1入札で競り上がりなし。個人ブリーダーが売って成立している形跡は見当たらない。charm が250円で売る商品を、個人が送料を乗せて下回るのは不可能。
【学名】Corydoras paleatus (Jenyns, 1842)。2024年の大改訂(Dias et al. 2024, Zoological Journal of the Linnean Society)でコリドラス属が複数属に分割され、本種は Hoplisoma paleatum に移された(確度:高)。ただし再編は最新で流通・多くの資料は Corydoras のまま。出典 AMAZONAS Magazine / Practical Fishkeeping / FishBase。
【呼び水(産卵誘発)】飼育25〜26℃ → 8割程度の大量換水で飼育温度より3〜4℃低い新水を入れ、22〜23℃へ下げると産卵する(corydoras.fun ほか、確度:中〜高)。一度乗ると5〜7日間隔で連発する例あり。オス:メス比は2:1〜3:2推奨。低気圧・雨の日に産卵しやすいと愛好家間で有名だが機序の一次資料は取れず(確度:低)。パレアタスは低水温種なので冷たい新水と相性が良い。
【繁殖の数値】産着卵。Tポジション交配(オスがメスのヒゲを胸ビレで挟みT字になり放精、メスが腹ビレのポケットで卵を受けて平面へ産着)。1回50〜200個、孵化3〜5日(パレアタスの明示値は弱く推定寄り=確度低)、泳ぎ出しは孵化後2〜3日、ブラインシュリンプ幼生で育つ。親は卵・稚魚を食べるので隔離が基本。売れるサイズ(2〜3cm)まで2〜3か月(確度:低)。
【サイズ・寿命】6.6cm SL(オス)/7.1cm SL(メス)(FishBase・確度高)。和名流通個体は約5cm。寿命3〜5年(日本語ショップ情報・確度中)。適水温18〜23℃の低水温種で、日本の無加温飼育に耐える。
【病気】口ヒゲの短縮・溶け(粗い底床での損傷・底床の汚れ・カラムナリス等、確度中)→細目の砂推奨。白点病は25℃以下への急な低下+ストレスで発症しやすい。ナマズは薬に弱く規定量の半量投薬が定石(確度中)。水草の残留農薬に弱いのはナマズ・エビ全般の弱さの一環(種特異的な定量データは無し)。
【裏が取れなかった項目】パレアタスの正確な産卵数・孵化日数、稚魚の生存率(歩留まり)、性成熟までの日数。売れるサイズまでの日数も確度低。「青コリ」の和名由来も断定資料なし。
【主な情報源】charm(販売ページ)、オークフリー(ヤフオク落札)、FishBase、Seriously Fish、corydoras.fun、AMAZONAS Magazine、Practical Fishkeeping、プレコ飼育ブログ、AQUALASSIC、東京アクアガーデン。
親の入手から稚魚(針子)の育成まで、種をまたいで共通するコツがあります。繁殖に挑むならあわせてどうぞ。
産着卵
Corydoras aeneus
白コリはこの魚のアルビノで、値段も同じです。呼び水で殖えますが1匹240円、個人の売り先はほぼゼロです。
産着卵
Corydoras sterbai
コリドラスで唯一、家庭繁殖が採算に近づく種。単価が赤コリの約4倍で、産卵する親は競りで値が付きます。
産着卵
Otocinclus vittatus
コケ取りとして常に売れるのに、家庭繁殖はほぼ未確立で供給は輸入頼み。個人が作れないから、逆に儲けようがない魚です。