群れで飼い、親をよく太らせる
5〜6匹以上の群れで、オスを多めに(2:1〜3:2)飼います。ステルバイは高水温を好むので26〜28℃で維持し、冷凍アカムシや生き餌でメスをしっかり太らせます。抱卵したメスは体高が出て腹が丸く張ります。親の状態の良し悪しが、後の産卵と稚魚の質にそのまま出ます。
コツ 「殖やせる親」は個人間でも需要があります。親をよい状態に仕上げること自体に価値があります。
Corydoras sterbai / Sterba's Corydoras
かんたんに言うと
コリドラスで唯一、家庭繁殖が採算に近づく種。単価が赤コリの約4倍で、産卵する親は競りで値が付きます。
撮影: Tino Strauss / CC BY-SA 3.0
繁殖のしやすさ
ふつう
1回の産仔数
50〜200匹
初産は少なく、成熟したメスほど多く産む
産卵から出荷サイズまで
63〜95日
約2〜3か月
実売単価(1匹)
920〜1,100円
通販・店頭の実売。あなたが売るときの競合値でもある
黒い頭に白い斑点をびっしり散らし、胸ビレをオレンジに染めた、ひときわ人気の高いコリドラスです。そして当サイトが調べてきた種の中で、「個人の家庭繁殖が、かろうじて採算に近づく」初めての魚でもあります。
理由は2つあります。ひとつは単価。赤コリ・青コリが1匹240〜300円なのに対し、ステルバイは大手通販でも5匹4,600円=1匹920円と、およそ4倍します。もうひとつが需要です。ヤフオクを調べると、通常個体が3〜5匹で755〜1,063円/匹で売れているだけでなく、「産卵し始めたワイルドF1の親」が6匹で7,750〜13,500円(1匹あたり1,292〜2,250円)、しかも入札7〜9件で競り上がって落札されていました。赤コリの落札が0件だったのとは対照的です。殖やせる親そのものに、個人どうしで値が付く——これはこのサイトで初めて見た現象です。
繁殖の方法は他のコリドラスと同じで、「呼び水」——水換えで数℃冷たい新水を入れて産卵を誘発します。ここで注意が要ります。ステルバイは24〜28℃を好む高水温種ですが、産卵の合図は他のコリと同じ「冷たい水」です。「高水温の魚だから温めて誘発」ではなく、あくまで水温を下げて引き金を引きます。この温度操作の幅が要るぶん、無加温で放っておいても殖える赤コリ・青コリより、管理はやや手がかかります。
とはいえ、正直に言えば、ステルバイでも「事業として儲かる」水準ではありません。うまくいって餌代・電気代を取り返し、多少の小遣いになる——それがこの魚の上限です。それでも、赤コリ・青コリ・高単価シクリッドのどれもが「まず黒字にならない」だった中で、ステルバイだけが「趣味の延長でなら回収の目がある」ラインに立っています。
親を用意してから、稚魚が出荷サイズに育つまでの流れ。帯の長さが、その段階にかかる日数の目安です。
親魚を繁殖できる状態に持っていく
オスとメスを合わせる
繁殖行動が起きる
孵化までの管理
稚魚が泳ぎ始め、餌を食べ出す
出荷サイズまで育てる
販売できるサイズに到達
5〜6匹以上の群れで、オスを多めに(2:1〜3:2)飼います。ステルバイは高水温を好むので26〜28℃で維持し、冷凍アカムシや生き餌でメスをしっかり太らせます。抱卵したメスは体高が出て腹が丸く張ります。親の状態の良し悪しが、後の産卵と稚魚の質にそのまま出ます。
コツ 「殖やせる親」は個人間でも需要があります。親をよい状態に仕上げること自体に価値があります。
ここがステルバイで最も間違えやすい点です。この魚は26〜28℃を好む高水温種ですが、産卵の合図は他のコリドラスと同じく「冷たい水」です。飼育水を8割ほど抜き、飼育温度より3〜4℃冷たい新水を入れて水温を下げると産卵します。「高水温の魚だから温めればいい」ではなく、下げて引き金を引きます。この温度操作が要るぶん、無加温で殖える赤コリ・青コリより手間がかかります。
注意 「高水温種だから加温で誘発」は誤りです。誘発は降温です。ただし下げ幅は3〜4℃にとどめ、急変させないこと。
オスがメスの口ヒゲを胸ビレで挟み、2匹がT字(Tポジション)になって放精します。メスは腹ビレのポケットで卵を受け取り、ガラス面や水草に1個ずつ産みつけます。1回50〜200個、よく熟れたメスなら80〜150個、条件が揃えば1日で300〜400個という上級者の例もあります。呼び水が効けば5〜7日おきに連発します。
親が卵・稚魚を食べるので、産卵を確認したら卵を隔離します。ガラス面の卵は指でそっと転がして剥がし、別容器へ移します。水カビ対策にメチレンブルーを少量入れ、弱くエアレーションします。孵化までは3〜5日です。
注意 同居のままでは卵・稚魚が残りません。
孵化後2〜3日で泳ぎ出したら給餌開始です。コリドラスの稚魚は最初からブラインシュリンプの幼生を食べられます。1日数回こまめに与えるほど成長が早まります。ステルバイは高水温を好むので、育成水温もやや高めに保ちます。
底棲の稚魚は底の汚れに弱いので、食べ残しや糞をこまめに取り、少量ずつ換水します。売れるサイズ(2〜3cm)まで2〜3か月です。ステルバイは1匹あたりの単価がつくので、赤コリ・青コリと違い、丁寧に育てた数がそのまま値になります。
注意 初期の餓死と水質悪化が最大の関門です。
ここがステルバイと他のコリドラスの決定的な違いです。赤コリ・青コリは殖やしても個人では売れませんでしたが、ステルバイは通常個体でもヤフオクで755〜1,063円/匹で売れ、さらに「産卵し始めた親」は1,292〜2,250円/匹で、入札7〜9件の競り合いになって落札されています。多産のコリドラスとしてまとまった数が取れるうえ、1匹の単価もつく。ただし、それでも「事業として儲かる」ではなく、うまくいって餌代・電気代を取り返す趣味、が正直な上限です。
コツ 狙うなら「殖やせる親」を仕立てて売るのが、この魚でいちばん値がつく形です。
2026年7月18日時点の調査。相場は品種・グレード・時期で変動します。
実売相場(1匹)
920〜7,500円
通販・店頭の実売価格。あなたが買う値段でもあり、売るときの競合でもある=ここに利ざやは出ない
| 繁殖形態 | 産着卵 — 水草・流木・ガラス面に粘着性の卵を産み付ける。卵ごと移動できるので管理しやすい。 |
|---|---|
| 別名 | ステルバイ、コリドラス・ステルバイ |
| 飼育のしやすさ | 簡単 |
| 成魚サイズ | 55〜70mm |
| 適水温 | 24〜28℃ |
| 繁殖適水温 | 23〜25℃ |
| pH | 6〜7.5 |
| 最低水槽サイズ | 45L以上 |
| 産卵から孵化まで | 3〜5日 |
| 稚魚の初期飼料 | 孵化後2〜3日で泳ぎ出し、ブラインシュリンプ幼生を食べられる |
| 親の隔離 | 必要(親が稚魚・卵を食べる) |
| 雌雄の見分け方 | メスはオスより大きく体高があり、上から見ると腹が丸く張る。オスは細くスマート。抱卵したメスは分かりやすい。 |
| 原産地 | ブラジル、ボリビア |
| 生息環境 | アマゾン上流のグアポレ川水系(ブラジル・ボリビア国境)。水温が高めの熱帯の川。流通個体は東欧・東南アジアの養殖が中心。 |
| 入手先 | 量販店、専門店、通販、オークション |
| 相手 | 相性 | 理由 |
|---|---|---|
| ネオンテトラなどの小型カラシン | 良い | 中〜上層を泳ぎ生活層が分かれる。温和で高水温にも合う。 |
| ラミレジィなどの小型シクリッド | 良い | 高水温・弱酸性を好む点が一致し、生活層も分かれる。ただし繁殖中のシクリッドは底に来る魚を追うので注意。 |
| 他のコリドラス | 良い | 同じ底棲でも争わず群れて落ち着く。 |
| エビ(稚エビ) | 注意 | 成体は平気だが、底のものを何でも口に入れるので稚エビは食べられることがある。 |
| 大型シクリッド・肉食魚 | 避ける | 捕食される。 |
繁殖そのものより、ここでつまずく人のほうが多いです。
コリドラスは「需要は厚いが単価が安い」、アピストグラマなどの高単価シクリッドは「単価は高いが需要が薄い」——当サイトが調べてきた魚は、たいていこのどちらかで採算が崩れてきました。ステルバイが面白いのは、そこそこの単価(赤コリの4倍)と、厚い需要(産卵親に競りがつく)を、多産のコリドラスとして両方そなえている点です。採算の2つの壁を同時に少しずつ越える、珍しい交点にいます。
学名にも動きがありました。2024年の大改訂(Dias ら)でコリドラス属が分割され、本種は Hoplisoma sterbai に移されました。青コリ(Hoplisoma paleatum)と同じ属、赤コリ(Osteogaster aeneus)とは別の属です。ただし再編は最新で、流通も多くの資料もまだ「コリドラス(Corydoras sterbai)」のままです。ステルバイにはアルビノ品種もあります。
【価格=この記事の肝】2026-07-18 実測。 ・charm 実売(ブリード通常個体): 5匹4,600円=1匹920円、3匹3,000円=1,000円、1匹1,100円。アルビノ3匹2,850円=950円。赤コリ・青コリ(240〜300円)の約4倍。ワイルドは1匹7,500円・3匹19,800円=6,600円と別格(実売相場の上限に反映)。 ・ヤフオク(オークフリー、直近30日、6件・平均6,622円): 通常3〜5匹2,273〜3,773円=755〜1,063円/匹。特筆は「産卵開始スーパージャンボ ワイルドF1ブリード6匹」が7,750円・9,250円・13,500円=1,292〜2,250円/匹で落札、入札7〜9件で競り上がり、同一個人出品者のリピート。 → 3種で唯一、個人間で競りが成立している。しかも高値がつくのは「産卵する親」=殖やせる個体。赤コリの落札0件、青コリが業者投げ売りだけだったのと対照的。
【採算の位置づけ】単価4倍+「殖やせる親」需要で、家庭ブリードが赤字を脱する現実味がある唯一の種。ただし「事業として儲かる」水準ではなく、うまくいけば餌代・電気代を取り返す趣味が上限。多産(1回50〜200個)×そこそこ単価×厚い需要の交点。高単価シクリッド(単価は高いが需要薄)とも、赤/青コリ(需要厚いが単価安)とも違う。
【学名】Corydoras sterbai Knaack, 1962。2024年の大改訂(Dias et al. 2024)で Hoplisoma sterbai に移された(青コリと同属、赤コリとは別属)。ただし流通・多くの資料は Corydoras のまま。出典 AMAZONAS Magazine / Practical Fishkeeping / Seriously Fish。
【呼び水(産卵誘発)=高水温種でも降温トリガー】ステルバイは24〜28℃の高水温種だが、産卵誘発は他のコリと同じく「冷たい大量換水」。飼育26〜28℃から8割換水で冷たい新水を入れて下げると産卵する(Seriously Fish/corydoras.fun、確度:中〜高)。「高水温種だから加温で誘発」ではない点に注意。一度乗ると5〜7日間隔で連発。オス:メス比2:1〜3:2。
【難易度は情報が食い違う】Seriously Fish「最も殖やしやすいコリの1つ・初心者向き」/日本の愛好家consensus「赤コリ・青コリよりやや難しい」。食い違いの理由は、高水温飼育+降温誘発という温度操作の幅が要るぶん管理が手間なこと。生物学的難易度は低いが管理難度がやや高い、で両論併記。
【繁殖の数値】産着卵・Tポジション交配。1回50〜200個(熟れたメスで80〜150個、上級者例で24〜36時間に300〜400個)、孵化3〜5日、泳ぎ出しは孵化後2〜3日、ブラインシュリンプ幼生で育つ。親は卵・稚魚を食べるので隔離が基本。売れるサイズ(2〜3cm)まで2〜3か月(確度:低)。
【サイズ】6.5cm SL(Seriously Fish・確度高)。適水温24〜28℃で3種の中で最も高水温を好む。寿命は確実な一次データが取れず未記載。
【病気】口ヒゲの短縮・溶け(粗い底床・汚れ・細菌)→細目の砂。白点病は薬に弱く半量投薬。水草の残留農薬はナマズ・エビ全般の弱さの一環(種特異的データなし)。すべて確度中。
【裏が取れなかった項目】寿命、稚魚の生存率(歩留まり)、性成熟までの日数、売れるサイズまでの日数(確度低)。採算試算の歩留まりは仮置き。
【主な情報源】charm(販売ページ)、オークフリー(ヤフオク落札)、Seriously Fish、FishBase、corydoras.fun、AMAZONAS Magazine、Practical Fishkeeping、東京アクアガーデン。
親の入手から稚魚(針子)の育成まで、種をまたいで共通するコツがあります。繁殖に挑むならあわせてどうぞ。
産着卵
Corydoras paleatus
水換えで水温を数℃下げると産卵します(呼び水)。ただし1匹250円で、個人が殖やして売る余地はほとんどありません。
産着卵
Corydoras aeneus
白コリはこの魚のアルビノで、値段も同じです。呼び水で殖えますが1匹240円、個人の売り先はほぼゼロです。
産着卵
Otocinclus vittatus
コケ取りとして常に売れるのに、家庭繁殖はほぼ未確立で供給は輸入頼み。個人が作れないから、逆に儲けようがない魚です。