洞窟産卵 シクリッド 親が稚魚を食べる

ペルヴィカクロミス・プルケールの繁殖

Pelvicachromis pulcher / Kribensis

かんたんに言うと

とても丈夫でよく殖えるシクリッドですが、その多産が仇になります。安く大量に出回り、売り先は月に数口しかありません。

クリブ(ペルヴィカクロミス・プルケール)のオス。体側の黒いラインと尾ビレの眼状斑が特徴。オスはメスより大きいが、色はむしろメスのほうが派手。

撮影: Tino Strauss / CC BY-SA 3.0

繁殖のしやすさ

簡単

1回の産仔数

50〜300

初産は少なく、成熟したメスほど多く産む

産卵から出荷サイズまで

92〜123

約3〜4か月

実売単価(1匹)

370〜800

通販・店頭の実売。あなたが売るときの競合値でもある

クリブ(正式にはペルヴィカクロミス・プルケール、流通名ペルマト)は、アフリカ・ナイジェリア産の小型シクリッドです。とても丈夫で、シクリッドの繁殖入門として定番の魚です。アピストグラマやラミレジィと並ぶ、当サイトで扱うシクリッドの一種です。同じシクリッドでも、なぜ個人繁殖では黒字が難しいのか、その理由は種ごとに違います。

まず、この魚ならではの面白さから。メスのほうがオスより派手です。多くの魚はオスが美しいものですが、クリブは逆で、メスが繁殖期になると腹部を鮮やかな赤紫(パープルベリー)に染めます。この色でオスにアピールします。繁殖は洞窟産卵で、アピスト(メス単独)と違い、ラミレジィと同じくオスとメスが両方で子育てします。丈夫でよく殖え、初めてでも稚魚が採りやすい——ここまでは良いことづくめです。

問題は、その「よく殖える」が、売る段になると仇になることです。

クリブは多産で、1回に50〜300個の卵を産み、生存率も高い。ところがその殖えやすさが供給過多を生みます。通販では標準的なタンクブリード個体が1匹370〜800円、まとめ買いなら1匹370円で常時売られています。安いのです。そしてヤフオクで個人が売っても1匹350〜600円、しかもクリブの落札は半年で13〜14口、月に2口ほどしか成立していません。アピストの月8口よりさらに薄い。殖えやすいのに、いや、殖えやすいからこそ、値段が上がらず、育てた稚魚が捌けません。

整理すると、同じシクリッドでも採算の壁が違います。アピストは「少なく産む・高く売れそう・でも需要が薄い」。ラミレジィは「高そうに見える・でも安い改良個体が業者から大量に出る」。そしてクリブは「たくさん産む・でも安い・需要も薄い」。多産・低単価・低需要という、家庭繁殖でいちばん報われない組み合わせです。殖えやすさは、売り先がなければただの在庫です。

値が付くのはワイルド(ナイジェリアやアズミニの現地採集個体、1ペア6,500〜9,000円)ですが、これは輸入業者が直輸入で扱う領域で、国内で個人が殖やして再現できるものではありません。繁殖を楽しむにはとても良い魚です。ただ、稼ぐ話とは切り離して考えたほうがいい魚です。

繁殖サイクル

親を用意してから、稚魚が出荷サイズに育つまでの流れ。帯の長さが、その段階にかかる日数の目安です。

  1. 1
    養成 ペアを作る。メスの赤い腹が合図 30〜60日

    親魚を繁殖できる状態に持っていく

  2. 2
    ペアリング 洞窟を入れる 3〜14日

    オスとメスを合わせる

  3. 3
    産卵・交尾 洞窟の中に産卵し、両親で守る 1〜2日

    繁殖行動が起きる

  4. 4
    卵の管理 約3日で孵化する 2〜3日

    孵化までの管理

  5. 5
    泳ぎ出し 泳ぎ出したらブラインを与える 3〜8日

    稚魚が泳ぎ始め、餌を食べ出す

  6. 6
    稚魚育成 簡単に育つ。むしろ殖えすぎる 90〜120日

    出荷サイズまで育てる

  7. 7
    出荷 育った。でも多産が仇になる 90〜120日

    販売できるサイズに到達

繁殖の手順

1

ペアを作る。メスの赤い腹が合図

30〜60日

クリブは丈夫で、ペア作りも難しくありません。若魚を複数(5〜6匹)飼っておくと、自然に相性の良いペアができます。雌雄は分かりやすく、この魚は珍しくメスのほうが派手です。メスは調子が良く繁殖の準備が整うと、腹部が鮮やかな赤紫に発色します。オスは大きくヒレが尖りますが、色は地味です。メスの赤い腹が濃くなってきたら、繁殖の合図です。水質はうるさくなく、pH5〜7.5・水温24〜27℃の淡水で問題ありません。繁殖に塩や汽水は要りません。

メス。繁殖期は腹部が鮮やかな赤紫(パープルベリー)に染まる。多くの魚と逆で、この魚はメスのほうが派手。この腹の色が雌雄の目印になる(左下に地味なオスが見える)。
メス。繁殖期は腹部が鮮やかな赤紫(パープルベリー)に染まる。多くの魚と逆で、この魚はメスのほうが派手。この腹の色が雌雄の目印になる(左下に地味なオスが見える)。

撮影: Tino Strauss / CC BY-SA 3.0

コツ この魚の繁殖に高価な設備は要りません。丈夫さがこの魚の取り柄です。

2

洞窟を入れる

3〜14日 26℃

産卵用の洞窟を用意します。ヤシ殻、素焼きの植木鉢を伏せたもの、市販のシクリッド用シェルターなど、入口の小さな隠れ家なら何でも構いません。ペアはその中を掃除して産卵場所にします。水温は26℃前後に保ちます。アピストと同じ洞窟産卵ですが、クリブはこのあと両親で子育てをする点が違います。

3

洞窟の中に産卵し、両親で守る

1〜2日 26℃

ペアが整うと、メスが洞窟の天井や壁に50〜300個の粘着卵を産みつけます。ここからがクリブの見どころです。アピストがメス単独で守るのに対し、クリブはオスとメスが役割を分けて両方で子育てします。メスが洞窟の中で卵と稚魚を直接世話し、オスは洞窟の外で縄張りを守って他の魚を近づけません。この夫婦の連携は観察していて飽きません。

コツ アピスト=メス単独、ラミレジィとクリブ=両親。同じシクリッドでも子育ての形が種で違います。

4

約3日で孵化する

2〜3日 26℃

卵は水温25〜26℃で約72時間、つまり2〜3日で孵化します。この間、親(特にメス)が洞窟にこもって卵に新鮮な水を送り、カビた卵を取り除きます。丈夫な魚なので、親に任せておけば孵化まで問題なく進むことがほとんどです。初回の産卵では親が卵を食べてしまうこともありますが、数回繰り返すうちに上手になります。

5

泳ぎ出したらブラインを与える

3〜8日 26℃

孵化した稚魚は数日で泳ぎ出します(出典により孵化後3日〜7、8日と幅があります)。泳ぎ出したら初期飼料を与えます。粉末状のベビーフードとブラインシュリンプの幼生を1日3〜4回。両親が稚魚の群れを引き連れて水槽内を移動し、危険があれば洞窟へ戻します。この群れを誘導する姿がクリブの子育てのハイライトです。丈夫な魚なので、稚魚の生存率も高めです。

6

簡単に育つ。むしろ殖えすぎる

90〜120日 26℃

クリブの稚魚はよく育ちます。丈夫で、両親が守り、多産。ここが他のシクリッドと違う強みです。ところが、この強みが売る段になると弱みに変わります。1回の産卵で50〜300個、生存率も高いので、あっという間に数十匹の稚魚が育ちます。問題は、その数を売り切れないことです。販売サイズ(親と同じ姿になるのは孵化後65日ごろ、出荷は3〜4か月が目安)まで育てても、次の手順で見るとおり売り先がありません。殖やす前に、その稚魚をどうするか決めておかないと、水槽が稚魚で溢れます。

ヤシ殻の巣から出てきた稚魚の群れを守る親。クリブは両親で稚魚を誘導・保護する。丈夫で生存率が高く、初めてでも稚魚が採りやすい。
ヤシ殻の巣から出てきた稚魚の群れを守る親。クリブは両親で稚魚を誘導・保護する。丈夫で生存率が高く、初めてでも稚魚が採りやすい。

撮影: Wikimedia Commons / Public domain

注意 よく殖えるからこそ、売り先か引き取り先を先に決めておくこと。捌けない稚魚は水槽を圧迫します。

7

育った。でも多産が仇になる

90〜120日

ここでクリブ最大の皮肉に突き当たります。この魚は殖えやすいぶん、市場に安く大量に出回っています。通販では標準個体が1匹370〜800円。ヤフオクで個人が売っても1匹350〜600円で、しかも競り上がりはほぼ起きません。そしてクリブの落札は半年で13〜14口、月に2口ほど。アピストの月8口よりさらに少ない。「たくさん産める」ことは、売り先がなければ「たくさん余る」ことでしかありません。多産・低単価・低需要という、家庭繁殖でいちばん報われない組み合わせです。値が付くのはワイルド産地物(1ペア6,500〜9,000円)ですが、これは輸入業者の領域で、国内の個人繁殖では再現できません。

注意 殖やすのは簡単。売るのが不可能に近い。この魚は趣味として楽しむのが正解です。

相場と採算

2026年7月18日時点の調査。相場は品種・グレード・時期で変動します。

実売相場(1匹)

370〜4,500

通販・店頭の実売価格。あなたが買う値段でもあり、売るときの競合でもある=ここに利ざやは出ない

親ペア

2,000〜9,000

標準のタンクブリードは1匹370〜800円。上限はワイルド産地物(ナイジェリア等)やヨーロッパブリードの価格で、これは輸入業者が扱う領域です。

この魚は売って儲かるのか

魚は個人でも許可なく売れます。ただし、売って利益を出すのは簡単ではありません。多くの種は安価な量産個体と競合し、販路・送料・死着といった壁もあります。当サイトはその現実を、腕前ではなく市場の構造の問題として、種ごとに数字で確かめています。くわしくは 繁殖は儲かるのか、自分の条件での試算は採算シミュレーターをどうぞ。

基本データ

ペルヴィカクロミス・プルケールの基本データ
繁殖形態洞窟産卵 — 流木の陰やシェルターの中に産卵し、親が稚魚を保護する。産卵床の用意と水質の作り込みが要る。
別名クリブ、ペルマト、クリブエンシス、レインボークリブ
飼育のしやすさ 簡単
成魚サイズ80〜125mm
寿命5〜8年
適水温24〜28℃
繁殖適水温25〜26℃
pH5〜7.5
最低水槽サイズ60L以上
産卵から孵化まで 2〜3日
稚魚の初期飼料粉末ベビーフードとブラインシュリンプ幼生を1日3〜4回
親の隔離 必要(親が稚魚・卵を食べる)
雌雄の見分け方この魚は珍しくメスのほうが派手。メスは繁殖期に腹部が鮮やかな赤紫(パープルベリー)に発色し、体が丸みを帯びる。オスは大きく(最大12.5cm)各ヒレの先が尖って伸びるが、体色はメスより地味。腹の赤紫がメスの目印。
原産地ナイジェリア、カメルーン
生息環境ナイジェリア南部からカメルーン沿岸部の、流れの緩い川や止水域。pH5〜7.5・水温24〜27℃の淡水〜軟水域。
入手先 専門店、通販、オークション

混泳相性

相手 相性 理由
カラシン(テトラ類) 良い 中〜上層を泳ぎ温和。生活層が分かれ、クリブの底の縄張りと干渉しにくい。
ラスボラ類 良い 上層で温和。好む水質も近い。
コリドラス 注意 同じ底棲で、繁殖中のクリブは底に来る魚を強く攻撃する。繁殖水槽では避ける。
アピストグラマ 注意 同じ底棲の小型シクリッドで縄張りが競合する。クリブの方が大きく強いので、狭い水槽では不利になりやすい。
ラミレジィ 注意 同じ底棲シクリッド。クリブが大きく縄張りも強いため、デリケートなラミレジィが圧される。
エビ(ミナミ・ビー) 避ける シクリッドはエビを食べる。稚エビはまず残らない。

よくある失敗

繁殖そのものより、ここでつまずく人のほうが多いです。

殖えた稚魚が売れない・捌けない よく起きる

症状
簡単に数十匹殖えたが、売り先がなく水槽が稚魚で溢れる。
原因
クリブは多産で丈夫なので稚魚がよく残る。一方で市場は安い標準個体で埋まっており、個人の実売は1匹350〜600円、成立は月2口ほど。殖える速さに対して需要が絶望的に薄い。
対策
殖やす前に売り先・引き取り先を確保する。産卵させる回数をコントロールする。趣味として少数を楽しむと割り切る。

pHをいじっても狙った性比にならない

症状
「酸性でメスが増える」と聞いてpHを下げたのに、性比が思うようにならない。
原因
その通説には一次的な裏付けがない。唯一の対照実験(Reddon & Hurd 2013)はむしろ「酸性でオスが増える」逆の傾向を示し、しかもどのpHでもメス偏りで一方に偏りきらなかった。方向すら定まっていない。
対策
pHで性比を操作して稼ぐという前提を捨てる。科学的に確立していない。

初回の産卵で親が卵を食べる

症状
産卵したのに卵が消えている。
原因
若いペアの初回産卵では食卵が起きることがある。シクリッド一般に見られる。
対策
数回産卵を繰り返させると親が上達して守れるようになる。クリブは基本的に子育て上手なので、回を重ねれば安定する。

繁殖中に同居魚を攻撃する

症状
普段は温和なのに、産卵後に他の魚を激しく追い回す。
原因
繁殖期・保育期のペアは縄張りを張り、近づく魚に攻撃的になる。両親で子を守る性質の裏返し。
対策
繁殖水槽ではペアだけにするか、逃げ場と十分な広さ(60cm以上)を確保する。

知っておきたいこと

この魚には「pHで稚魚の性別をコントロールできる」という有名な言い伝えがあります。曰く「酸性で育てるとメスが増え、アルカリで育てるとオスが増える」。pH6.5でオス25%、7.0で50%、7.5で75%といった具体的な数字まで流布しています。オスのほうが大きく高く売れるので、これが本当なら性比を操作して稼げることになります。

ところが、この通説には一次的な裏付けがありません。そして唯一の対照実験は、逆の結果を出しています。査読論文 Reddon & Hurd(2013, Zoology)は、pH 5.5 と 6.5(水温26℃)でクリブの稚魚を育てる実験を行い、「pHが性決定に影響する」ことは確認しました。しかしその方向は通説と逆で、より酸性のpH5.5のほうがオス(および多婚型のオス)が相対的に多く生まれ、しかもどちらのpHでもメスに偏り、一方の性に偏りきることはありませんでした。つまり「酸性でメスが増える」という通説は、少なくともこの実験とは食い違います。方向すら定まっていないのが実態です。だから「pHをいじって売れるオスを量産する」という商売の話は、科学的には成り立ちません。

名前もややこしい魚です。「クリブ(kribensis)」という通称は、この魚がかつて Pelmatochromis kribensis と誤同定されて流通したことに由来します。ところが「kribensis」という名は本来カメルーン産の別系統のもので、2014年の分類整理で Pelvicachromis kribensis は本種とは別の有効種になりました。つまり「クリブ」と呼ばれている魚(本種=P. pulcher)と、学名が kribensis の魚は、今では別物です。日本では属名を略した「ペルマト」の呼び名も定着しています。

よくある質問

よく殖えるなら、売れば儲かるのでは?
それがこの魚の皮肉なところで、答えは「むしろ逆」です。クリブは多産で丈夫、1回に50〜300個産んで生存率も高いので、簡単に数十匹殖えます。ところが、その殖えやすさが供給過多を生みます。通販では標準個体が1匹370〜800円と安く、ヤフオクで個人が売っても1匹350〜600円、しかも成立は月に2口ほどしかありません。アピストの月8口よりさらに薄い。「たくさん産める」ことは、売り先がなければ「たくさん余る」ことでしかありません。殖えやすさは、家庭繁殖では利点ではなく、捌けない在庫という負債になります。多産・低単価・低需要は、儲けるにはいちばん悪い組み合わせです。
pHでオス・メスを産み分けられるって本当ですか?
「酸性でメス、アルカリでオスが増える」という話は広く知られていますが、一次的な裏付けが確認できません。そして唯一の対照実験である Reddon & Hurd(2013年、Zoology誌)は、逆の結果を出しています。pH5.5と6.5でクリブを育てたところ、pHが性決定に影響することは確かめられましたが、方向は通説と逆で、より酸性のpH5.5のほうがオスが相対的に多く生まれ、しかもどちらのpHでもメスに偏って、狙った一方の性に偏りきることはありませんでした。つまり「pHをいじって売れるオスを量産する」という商売の話は、科学的には成り立ちません。当サイトは裏の取れないことは書かない方針なので、この通説はそのまま採用していません。
アピストグラマやラミレジィと、どう違いますか?
当サイトのシクリッドは、種ごとに「儲からない理由」が違います。アピストグラマは「少なく産む・高く売れそう・でも需要が薄い」。ラミレジィは「高そうに見える・でも安い改良個体が業者から大量に出る」。クリブは「たくさん産む・でも安い・需要も薄い」。ボリビアンラムは「作りやすいのに地味で欲しがられない」。繁殖の形も違って、アピストはメス単独で子育て、ラミレジィ・クリブ・ボリビアンラムは両親で子育てします。クリブはとりわけ丈夫で殖やしやすいのですが、その殖えやすさが売る段では仇になる、という点で最も報われにくい魚です。
クリブとkribensis(クリブエンシス)は同じ魚ですか?
ややこしいのですが、今では別物です。「クリブ」という通称は、この魚(ペルヴィカクロミス・プルケール)がかつて Pelmatochromis kribensis と誤同定されて流通したことに由来する俗称です。ところが2014年の分類整理で、Pelvicachromis kribensis という学名は(カメルーン産の)別の有効な種を指すようになりました。つまり日本で「クリブ」と呼ばれている本種と、学名が kribensis の魚は、現在では別の種です。日本では属名を略した「ペルマト」という呼び名も定着しています。
数値の根拠と情報源

【価格】2026-07-18 に charm(チャーム)の検索結果一覧で確認。標準タンクブリード(ペルマト)は1匹800円、3匹1,200円=1匹400円、5匹1,850円=1匹370円、国内ブリード1ペア2,000円=1匹1,000円。アルビノ1匹950円、3匹2,700円=900円。ワイルドとヨーロッパブリードは別格で、ナイジェリア(ワイルド)1ペア9,000円=1匹4,500円、アズミニ(ワイルド)1ペア6,500円=3,250円・メス単品3,500円、ブルー(ヨーロッパブリード)1ペア8,500円=4,250円。→標準ブリードは1匹370〜800円と安く、ワイルド産地物だけが高い。

【ヤフオク実売(closedsearch「ペルヴィカクロミス」180日・全49件、ただし平均3,602円は別種/ワイルドが押し上げ)】プルケール(本種)に限った代表落札は、即決3匹1,500円=1匹500円(同一出品者が半年で5回)、DeepBlue若魚5匹2,980円=596円(3回成立)、不二熱帯魚M3匹1,050〜1,815円=1匹350〜605円、K.K 1匹450円・5匹2,680円=536円、ワイルド1ペア5,600円=2,800円。個人の実売は実質1匹350〜600円、入札はほぼ1件で競り上がりなし。プルケールの成立は半年で13〜14口=月2口前後でアピスト(月8口)よりさらに薄い。メルカリの落札データは取得できず=不明。

【学名・名前】Pelvicachromis pulcher (Boulenger, 1901) が有効(GBIF・Seriously Fish・Wikipedia 一致、確度:高)。原記載 Pelmatochromis pulcher → 1968年 Thys van den Audenaerde が Pelvicachromis 属を創設(本種がタイプ種)。通称「クリブ/kribensis」は、本種がかつて Pelmatochromis kribensis と誤同定されて流通したことに由来する俗称。2014年の分割で Pelvicachromis kribensis は(カメルーン産の)別の有効種になったため、現在「クリブ」と呼ばれる本種と学名 kribensis の魚は別物(確度:中)。日本では「ペルマト」の流通名が定着。「パープルクロミス」の由来は一次情報で裏が取れず=不明。近縁の P. taeniatus は2014年に drachenfelsi / kribensis / taeniatus の3種に分割された。

【繁殖】洞窟産卵+両親による保育(biparental、確度:高)。アピスト(メス単独保育)との決定的な違い。オスは縄張り防衛、メスが卵・仔魚を直接世話。産卵数50〜300個(Seriously Fish「最大300」/ Wikipedia「50〜200」/ 水作の実例「約70匹ふ化」、確度:中〜高)、洞窟の天井・壁に粘着卵。孵化は水温25〜26℃で約72時間=2〜3日。自由遊泳は出典が食い違い、水作「ふ化後3日目〜」・Seriously Fish「7〜8日」。初期飼料は粉末ベビーフード+ブラインシュリンプ幼生を1日3〜4回。親と同姿になる(分離目安)のはふ化後65日ごろ(実体験1例、確度:中)。繁殖に塩・汽水は不要が実務の一致点だが、野生の汽水依存度は Seriously Fish「一部個体群は汽水」vs 他「汽水には決していない」で両論あり=不明。とても丈夫で繁殖容易・入門向きは複数ソースで裏が取れた。

【性比のpH依存】業界通説は「酸性→メス、アルカリ→オス」(pH6.5で♂25%/7.0で50%/7.5で75%等)だが一次典拠が確認できない。唯一の対照実験 Reddon & Hurd (2013)「Water pH during early development influences sex ratio and male morph in P. pulcher」Zoology(PubMed 23474178、確度:高)は、pH5.5と6.5(26℃)で試験し「pHが早期発生の性決定に影響する(環境依存型性決定)」ことを確認したが、方向は通説と逆で、より酸性のpH5.5でオス(と多婚型オス)が相対的に多く、かつどちらのpHでもメス偏りで一方に偏りきらない(Seriously Fish のニュース解説)。→「pHを操作して性比を量産し高く売る」スキームは科学的裏付けが不十分で成立しない。 アピストと「同じか逆か」も断定不能。

【サイズ・寿命・病気】オス最大全長12.5cm(一般に約10cm)・メス最大8.1cm(約7.5cm)でオスが大きい。寿命は約5年(資料により5〜8年、確度:中、一次確定値は取れず)。総じて丈夫で耐病性が高く、クリブ特有の弱点は一次情報で確認できず=不明。一般疾病(白点・ブロート・ホールインザヘッド)に罹り得るが、クリブ限定の脆弱性を示す根拠はない。

【裏が取れなかった項目】①「パープルクロミス」の名の由来(不明)②性比pH依存の方向と定量値(通説と査読論文が逆・通説の数値は典拠不明)③寿命の確定値(5〜8年と幅)④野生の汽水依存度(両論・繁殖に塩不要は一致)⑤自由遊泳までの日数(3日 vs 7〜8日)⑥稚魚の定量的生存率(「高い」の定性記述のみ)⑦出荷サイズまでの正確な育成日数(実体験1例=65日で親と同姿、M/ML出荷の厳密日数は確度中)⑧メルカリの実落札データ(不明)。

【主な情報源】charm(販売ページ)、Yahoo!オークション closedsearch(落札相場・180日)、GBIF、Seriously Fish(種ページ+性比ニュース)、Reddon & Hurd 2013 Zoology(PubMed 23474178)、Practical Fishkeeping、Aquarium Glaser、水作コラム、TFH Magazine、Wikipedia(英/日)。

繁殖の育て方ガイド

親の入手から稚魚(針子)の育成まで、種をまたいで共通するコツがあります。繁殖に挑むならあわせてどうぞ。