比較川魚

フナの種類と見分け方

かんたんに言うと

日本のフナは6〜7つに分けられることが多いが、決まった数はない。見た目で分かりやすいのは背の高いヘラブナだけで、ほかは鰓耙の数を数えないと確実には分からない。

目次

体の形と色の違い

ギンブナ。銀色。背はやや高く胴が平たい。
ギンブナ
銀色。背はやや高く胴が平たい。

撮影: Ffish.asia / CC BY 4.0

キンブナ。金色〜黄褐色。背が低く胴が丸い。
キンブナ
金色〜黄褐色。背が低く胴が丸い。

撮影: Ffish.asia / CC BY 4.0

ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)。背が高く盛り上がる。
ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)
背が高く盛り上がる。

撮影: Ffish.asia / CC BY 4.0

フナの種類の比較

鰓耙(さいは)は、えらの内側にある、食べ物をこすための櫛のような骨です。数は資料によって幅があります。

種類体の形・色鰓耙の数すむ場所(自然分布)環境省レッドリスト
ギンブナ銀色。キンブナより背が高く、ヘラブナより低い40〜60本日本全域掲載なし
キンブナ金色〜黄褐色。背が低く胴が丸い。全長10〜15cmでフナで最小30〜50本東北地方の太平洋側、関東絶滅危惧II類
オオキンブナ(公的資料での記述が少ない)—静岡県以西の本州の太平洋・瀬戸内海側、四国、九州掲載なし
ナガブナ(公的資料での記述が少ない)45〜53本北陸、山陰、諏訪湖、三方五湖情報不足
ニゴロブナ体高が低く頭が大きい。下あごから腹の前が角ばる個体が多い。最大40cmほど53〜74本琵琶湖(とそこから流れ出る川、余呉湖)絶滅危惧IB類
ゲンゴロウブナいちばん背が高く、盛り上がる。平たい体90〜120本琵琶湖・淀川水系(ヘラブナとして全国に放流)絶滅危惧IB類

コイとの違いフナには口ひげが無く、背ビレがコイより短い(背ビレのすじはフナ11〜18本、コイ17〜20本)(長野県水産試験場・日本大百科全書)。琉球列島には、形はギンブナと同じで固有の遺伝子を持つフナがいて、絶滅危惧IA類です。

見分けの限界

長野県水産試験場は、背が盛り上がった体形から見分けやすいのはゲンゴロウブナだけとしています。ほかのフナは、金色で背が低ければキンブナ、銀色で背がやや高ければギンブナ、という程度の目安で、確実にはえらの一部を切り出して鰓耙を数え、背ビレのすじも数えて基準と照らします。

さらに、種類の違うフナどうしがまれに交雑し、どちらとも言えない個体がいます。金魚やヒブナも、黒いフナと同じ場所にいると交雑します(長野県水産試験場)。日本のフナの分類は、形でも遺伝子でも区別が難しく、研究者の間でも議論が続いています(Takada ほか 2010)。学名も資料によって書き方が違います。

食べ物の違い

鰓耙の数は、食べ物の違いと結びついています。鰓耙がいちばん多いゲンゴロウブナは植物プランクトンをこして食べ、腸が長いのが特徴です。ニゴロブナは動物プランクトンが中心です。キンブナは鰓耙が少なく、底の小さな生き物を主に食べ、ギンブナはその中間の雑食です(日本大百科全書・霞ヶ浦河川事務所・滋賀県)。

ギンブナはほとんど雌だけで、ほかの魚の精子をきっかけにクローンの娘を産む変わった殖え方をすることでも知られます(くわしくはギンブナのページ)。

外来種リストと採るときのきまり

外来種リスト(2026年9月11日、環境省):フナの仲間が初めて載りました。琵琶湖・淀川水系以外のゲンゴロウブナ(ヘラブナ・カワチブナ)、奄美群島より南に持ち込まれた本土産ギンブナ、外国産ギンブナ(ギベリオブナ)、それにキンギョが「防除検討外来種」です。どれも特定外来生物ではなく、飼うことや釣ることは法律では禁止されていませんが、リストは野外に放流しないことを求めています。

ニゴロブナ(滋賀県):琵琶湖固有のフナで、ふなずしの原料として知られます。資源を回復させるため、滋賀県では全長22cm以下のニゴロブナを採ることが委員会の指示で禁止され、違反して採ったものを持つことや売ることも禁止されています。委員会の指示には竿釣り・手釣りなどの例外がありますが、県の遊漁者向けの案内は全長22cm以下は放流するよう呼びかけています(くわしくはニゴロブナ)。2023年の冬には0歳魚が672万尾まで回復し、目標の700万尾に近づいています(滋賀県)。

フナは一部の地域で漁業権の対象になっていて、釣るには遊漁券が必要な場所があります。釣る場所の漁協の決まりを確認してください。

よくある質問

フナは何種類いますか?
決まった数はありません。国立科学博物館の目録は、ギンブナ・キンブナ・オオキンブナ・ナガブナ・ニゴロブナ・ゲンゴロウブナと琉球列島のフナの7つを挙げますが、日本大百科全書は「少なくとも5群」、長野県水産試験場は「6種類」としています。種か亜種か、学名をどうするかは研究者で意見が分かれています。
フナの種類はどこで見分けますか?
外見で見分けやすいのは、背が高く盛り上がったゲンゴロウブナ(ヘラブナ)だけとされます。ほかは「金色で背が低い→キンブナ、銀色で背がやや高い→ギンブナ」が目安で、確実にはえらの鰓耙(さいは)の数と背ビレのすじの数を数えます(長野県水産試験場)。
フナは絶滅危惧種ですか?
種類によります。環境省レッドリスト2020では、琉球列島のフナが絶滅危惧IA類、ニゴロブナとゲンゴロウブナが絶滅危惧IB類、キンブナが絶滅危惧II類、ナガブナが情報不足です。ギンブナは載っていません。
マブナとヘラブナの違いは?
釣り人はギンブナ・キンブナを「マブナ」、ゲンゴロウブナ(とそれを改良した系統)を「ヘラブナ」と呼びます。ヘラブナは背が高く、植物プランクトンをこして食べます。釣りでも竿・ウキ・仕掛け・エサがまったく違います。
琵琶湖のニゴロブナを釣ってもいいですか?
滋賀県では、全長22cm以下のニゴロブナを採ることが委員会の指示で禁止されていますが、委員会の指示には竿釣り・手釣りなどの例外があります。ただし、滋賀県の遊漁者向けの案内は、全長22cm以下は放流するよう呼びかけています。「竿で釣れば大丈夫」とは言えないので、釣る前に県の水産課や「FiShiga(遊漁の電子手帖)」で最新の決まりを確認してください。
情報源・注記

フナの分け方と分布は国立科学博物館「日本の固有種目録」(2019年)、日本大百科全書、長野県水産試験場、Takada ほか(2010)。体の形・色・鰓耙の数は日本大百科全書・世界大百科事典・長野県水産試験場・霞ヶ浦河川事務所、ニゴロブナは環境省の淡水魚の検討資料・滋賀県。鰓耙の数は資料によって幅が違うため、日本大百科全書を中心に、ニゴロブナは環境省の資料の値を載せた。レッドリストは環境省レッドリスト2020。外来種リストは環境省 生態系被害防止外来種リスト第2版(2026年9月11日)。ニゴロブナの採捕規制は滋賀県内水面漁場管理委員会の指示(令和2年第4号)、資源の回復は滋賀県水産試験場。写真は Wikimedia Commons(Ffish.asia)。