淡水 在来種 取り扱い注意 川魚

ニゴロブナ

Carassius buergeri grandoculis / Nigorobuna (Lake Biwa crucian carp)

かんたんに言うと

琵琶湖にだけいる固有のフナ。体高が低く頭が大きい。環境省で絶滅危惧IB類。滋賀県では全長22cm以下の採捕が禁止されている。

ニゴロブナ(水槽の展示個体)。体高が低めで頭が大きく、口は小さい。

撮影: OpenCage / CC BY-SA 2.5

目次

大きさ

20〜40cm

すむ水

淡水

在来種

毒・危険

取り扱い注意

下の「毒・危険」を確認

ニゴロブナは、琵琶湖とそこから流れ出る川(瀬田川・宇治川・淀川)、余呉湖だけにすむ固有のフナです(環境省)。滋賀の郷土料理「ふなずし」の原料として知られる魚で、環境省レッドリスト2020では絶滅危惧IB類(絶滅の危険が高い)に入っています。

体は体高・尾柄が低く、頭が大きめで、腹の前(下あごのあたり)が角張った個体が多いとされます。大きさは最大で40cmほど(資料により20〜38cmとも)。産卵のとき以外は、琵琶湖の沖合の、底に近いところで暮らします(環境省)。

同じ琵琶湖にはゲンゴロウブナ(ヘラブナの原種)もいて、見た目の違いはゲンゴロウブナのページとフナの種類と見分け方にまとめています。

毒・危険

ニゴロブナは毒魚ではありません。注意が必要なのは寄生虫です。食品安全委員会は、有棘顎口虫がフナなどの淡水魚の生食で人に感染しうるとしています(フナ類についての注意で、ニゴロブナだけを名指しした資料ではありません)。淡水魚は生で食べず、十分に加熱してください。

ふなずし(発酵させた保存食)が寄生虫に対して安全かどうかは、確かな資料を確認していません。「ふなずしなら安全」とは言えません。

刺された・食べて具合が悪いときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

ニゴロブナの見分け方

  1. 体高・尾柄の高さが低く、頭が大きめ。腹の前(下あごのあたり)が角張った個体が多い(環境省)。
  2. エラの内側の「鰓耙(さいは)」が多い(ゲンゴロウブナに次ぐ)。フナの種類と見分け方に鰓耙の数の比較表がある。確実に見分けるには、この鰓耙と背ビレの軟条の数を数える。
  3. 外見だけでギンブナと確実に見分ける公的な資料は、見つかっていません。環境影響評価書の現地調査でも、採れた個体を「ニゴロブナかギンブナの可能性」としてフナ属のままにしている例がある。
  4. 分布が手がかり:琵琶湖水系にいるフナで、鰓耙が多く体高が低いタイプがニゴロブナ、背が高く盛り上がるのがゲンゴロウブナ。琵琶湖の外のフナはニゴロブナではない。

似ている魚との違い

似ている魚 どこで見分けるか
ゲンゴロウブナ 琵琶湖・淀川水系にもともといるフナで、背が高く盛り上がる。鰓耙は90〜120本と非常に多い。ヘラブナはこれを改良したもの。
ギンブナ 日本のフナでいちばん広く分布する。外見だけでニゴロブナと確実に見分ける公的な資料は無い。確実には鰓耙と背ビレの軟条を数える。琵琶湖にもいる。

分布と生息環境

琵琶湖と、そこから流れ出る川(瀬田川・宇治川・淀川)、余呉湖にすみます。分布の状況に大きな変化はないとされます(環境省)。琵琶湖以外の水域へ移されたという公的な資料は、確認できていません。

琵琶湖には、ゲンゴロウブナも、ギンブナもいます。

琵琶湖の沖合の低層で暮らす。産卵期は水田・ヨシ帯・内湖の浅場へ、冬は深場へ移る。

生態(食べもの・産卵)

食べ物:動物プランクトンや、ユスリカの幼虫などの底にいる小さな生き物を食べます(滋賀県水産試験場・環境省)。

暮らし:産卵のとき以外は琵琶湖の沖合の、底に近い所にいて、一部は湖の浅場や内湖、水路にもいます。冬は深場へ移って越冬します。環境省は、湖の深いところの酸素が減っていることが影響している可能性があると書いています。

産卵:4〜7月。湖から川や農業用水路を通って水田へのぼり、産卵します。浅場の水草のある所、ヨシ帯、内湖の岸際でも産みます。産卵は夜で、水草やヨシの根などに卵をつけます。産卵のあとは、水路や川を通って湖に戻ります(環境省・滋賀県水産試験場)。多くは満2歳で産卵できるようになります。産卵数は、確かな資料が見つかりませんでした。

稚魚:ヨシ帯や内湖の水際の植物のある所で育ち、晩秋まで湖岸の近くで過ごして、冬は深場へ移ります。12月ごろには全長11cmほどになります。

減っている理由:産卵や稚魚の育つ場所であるヨシ帯が大きく減ったこと、オオクチバス・ブルーギルなどの外来魚に稚魚や若い魚が食べられること、冬の深場の酸素の低下の可能性が挙げられています(京都府・環境省)。滋賀県は、水田への放流、秋の稚魚の放流、ヨシ帯をつくる事業、「魚のゆりかご水田」、外来魚の駆除で回復を図っています。

ニゴロブナの釣り

ニゴロブナは、このサイトでは釣りの対象としては勧めません。絶滅危惧IB類で、滋賀県では全長22cm以下の採捕が禁止されているためです。釣り方や餌についての公的な資料も、見つかりませんでした。

もし釣れたら、小さいものは、そっと放してください(滋賀県の遊漁者向けの案内は、全長22cm以下は「捕まえた場合は放流しましょう」としています)。琵琶湖でのフナ釣りに遊漁券が要るかどうかは、確認できていません。釣る前に、滋賀県の「FiShiga(遊漁の電子手帖)」や県の水産課で確認してください。

家で飼えるか

家庭で飼う・殖やすことは、勧めません。家庭向けの飼育や繁殖の公的な手引きは、見つかりませんでした。滋賀県が行う稚魚の育成と放流は、水産試験場と漁協の事業で、家庭で再現できる話ではありません。絶滅危惧IB類で、小型の採捕も禁止されています。琵琶湖で採った個体を家で飼ってよいかを直接書いた公的な資料も、確認できていません。

飼えなくなったフナを、川や池に放さないでください。

基本データ

ニゴロブナの基本データ
分類コイ科(Cyprinidae)
すむ水淡水
大きさ200〜400mm

知っておきたいこと

名前の由来は「ゲンゴロウブナに似ているので似五郎鮒」という説があります(環境省の資料)。漢字は「煮頃鮒」と書かれることもあります。

滋賀県は、ニゴロブナを増やすために、卵から育てた稚魚を水田や沖合に放流しています。2023年度は、全長2cmほどまで育てた稚魚を水田へ約1,068万尾、全長12cm前後の秋の稚魚を沖合へ約105万尾放しました(滋賀県水産試験場)。2023年の冬には、その年に生まれた魚が約672万尾いたと推定され、目標の700万尾に近づいています。

よくある質問

ニゴロブナは絶滅危惧種ですか?
環境省レッドリスト2020で絶滅危惧IB類(絶滅の危険が高い)です。琵琶湖とそこから流れ出る川、余呉湖にだけいる固有のフナです。減った理由として、産卵や稚魚の場所になるヨシ帯の減少、外来魚の食害、冬の深場の酸素の低下の可能性が挙げられています。
ニゴロブナとギンブナ・ゲンゴロウブナはどう見分けますか?
ニゴロブナは体高が低く頭が大きく、腹の前が角張った個体が多いとされます。ゲンゴロウブナは背が高く盛り上がります。ただ、外見だけでギンブナと確実に見分ける公的な資料は見つかっていません。確実なのは、鰓耙と背ビレの軟条を数える方法で、琵琶湖の外のフナはニゴロブナではありません。
ニゴロブナを釣ってもいいですか?
滋賀県では、全長22cm以下のニゴロブナを採ることが委員会の指示で禁止され、違反して採ったものの所持・販売も禁止です。指示には竿釣り・手釣りの例外がありますが、県の遊漁者向けの案内は22cm以下は放流するよう呼びかけています。釣る前に、県の水産課や「FiShiga(遊漁の電子手帖)」で最新の決まりを確認してください。このサイトでは釣りの対象としては勧めません。
ニゴロブナは家で飼えますか?
勧めません。家庭向けの飼育・繁殖の公的な手引きは見つかっていません。絶滅危惧IB類で、小型個体の採捕も禁止されています。飼えなくなったフナを川や池に放すこともしないでください。
ニゴロブナの産卵時期はいつですか?
4〜7月です。湖から川や用水路を通って水田へのぼり、夜に水草やヨシの根などに卵をつけます。浅場の水草帯・ヨシ帯・内湖の岸際でも産みます。多くは満2歳で産卵できるようになります。
ふなずしにはニゴロブナを使うのですか?
滋賀県水産試験場は、1〜5月ごろに卵を抱えたニゴロブナの雌は価値が高く、ふなずしの原料として重宝されると書いています。農林水産省の郷土料理の紹介は、原料を「フナ」とだけ書いています。作り方はこのサイトでは扱いません。
釣ったフナを生で食べても大丈夫ですか?
おすすめしません。食品安全委員会は、有棘顎口虫がフナなどの淡水魚の生食で人に感染しうるとしています。淡水魚は生で食べず、十分に加熱してください。
数値の根拠と情報源

【分布・特徴・産卵・減少要因】環境省「淡水魚類の保全に関する検討資料」、環境省レッドリスト2020 別添資料、滋賀県水産試験場「ニゴロブナ」、京都府レッドデータブック2015、環境影響評価書(大同・令和5年調査)。 【規制】滋賀県 琵琶湖海区漁業調整委員会指示第4号・内水面漁場管理委員会指示第4号、滋賀県「魚種別の禁止期間・大きさの制限」(遊漁者向け)、滋賀県の指定希少野生動植物種一覧(R2.3.31)。 【ふなずし・食文化】滋賀県水産試験場、農林水産省「うちの郷土料理」。【寄生虫】食品安全委員会。 学名は資料で表記が違う(環境省:Carassius buergeri grandoculis、国立科学博物館:C. auratus grandoculis)。 調査の詳細:docs/research/kinbuna-nigorobuna-2026-11.md