淡水 在来種(地域により国内外来) 取り扱い注意 川魚

ゲンゴロウブナ

Carassius cuvieri / Japanese white crucian carp

かんたんに言うと

琵琶湖・淀川水系原産の、背が高く盛り上がったフナ。ヘラブナはこれを改良したもの。原産地では絶滅危惧、ほかの地域では外来種リストに載る。

ゲンゴロウブナ(筑後川水系の移入個体)。背が高く盛り上がった体。

撮影: Ffish.asia / CC BY 4.0

目次

大きさ

25〜50cm

すむ水

淡水

在来種(地域により国内外来)

毒・危険

取り扱い注意

下の「毒・危険」を確認

ゲンゴロウブナは、琵琶湖・淀川水系にもともとすむフナです。日本のフナの中でいちばん背が高く、背中が盛り上がった平たい体をしていて、外見でほかのフナと見分けやすい唯一のフナです(長野県水産試験場)。全長は25〜50cmほどになります。

釣り人が「ヘラブナ」と呼ぶのは、このゲンゴロウブナを大阪の河内地方のため池で改良した系統で、釣り用に全国のため池・湖・ダム湖・釣り堀に放流されてきました。霞ヶ浦へは1930年に移されて殖えています(霞ヶ浦河川事務所)。

えらの内側にある鰓耙(さいは)が90〜120本と非常に多く、これで水の中の植物プランクトンをこして食べるのが、ほかのフナと違うところです。中層から表層を群れで泳ぎます。

原産地の琵琶湖・淀川水系では数が減っていて、環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類です。一方で、それ以外の地域に放流されたものは、2026年に環境省の外来種リストに載りました。

毒・危険

フナを生で食べないでください。 食品安全委員会は、有棘顎口虫(ゆうきょくがっこうちゅう)という寄生虫がライギョのほかフナなどの生食で人に感染するとしています。予防は十分に加熱することです。生や加熱の足りない淡水魚を食べたあとに皮膚に線のようなはれなどが出たら医療機関へ。

毒やトゲの危険を示した資料はありません。

刺された・食べて具合が悪いときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

ゲンゴロウブナの見分け方

  1. 日本のフナでいちばん背が高く、背中が盛り上がった平たい体。外見だけで見分けやすい唯一のフナ(長野県水産試験場)。
  2. えらの内側の鰓耙(さいは)が90〜120本と、ほかのフナ(多くても70本台)よりずっと多い。
  3. 背は灰褐色、体の横は銀褐色。口ひげは無い。
  4. ほかのフナと交雑することがある。くわしくはフナの種類と見分け方へ。

似ている魚との違い

似ている魚 どこで見分けるか
ニゴロブナ 琵琶湖の固有のフナで、体高が低く頭が大きい。鰓耙は50〜70本台でゲンゴロウブナに次いで多い。動物プランクトンを主に食べる。絶滅危惧IB類。
キンブナ 金色〜黄褐色で背が低く、全長10〜15cmほどと小さい。

分布と生息環境

自然分布は琵琶湖・淀川水系です(国立科学博物館・環境省)。改良されたヘラブナが釣り用に全国へ移され、各地でよく殖えています。環境省の外来種リストには、北海道から沖縄まで多くの都道府県のリストに載っていることが書かれています。

湖・池沼・ダム湖など流れのゆるい水域の中層〜表層。川の下流のよどみに若魚がいることもある。自然分布は琵琶湖・淀川水系。

生態(食べもの・産卵)

食べ物:主に植物プランクトンです。たくさんの鰓耙でこして食べ、腸が長いのが特徴です(霞ヶ浦河川事務所・日本大百科全書)。

産卵:4〜6月、大雨の直後に大群で岸に寄って産卵します(霞ヶ浦河川事務所)。浅場の水草やアシの根に卵を産み、そのとき体を打ちつけて水音を立てるのを、釣り人は「乗っ込み」「ハタキ」と呼びます。ギンブナと違い、雌と雄がほぼ同じ数いる2倍体のフナです。

寿命や成長を示した公的な資料は見つかりませんでした。

ゲンゴロウブナの釣り

ヘラブナ釣りは、釣り堀や自然の釣り場で一年を通して楽しまれる釣りです(日本大百科全書)。専用の竿と細長いウキを使い、練りエサで釣るのが中心です(釣り専門メディア)。マブナ(ギンブナ・キンブナ)とは竿・ウキ・仕掛け・エサがまったく違います。

ゲンゴロウブナは一部の地域で漁業権の対象になっていて、遊漁券が必要な場所があります。釣る場所の漁協や管理者の決まりを確認してください。釣ったヘラブナを別の池や川に放さないでください。

家で飼えるか

ゲンゴロウブナ(ヘラブナ)を家庭で飼うための公的な手引きは見つかりませんでした。全長25〜50cmほどになり、植物プランクトンを主に食べる魚です。飼えなくなっても、川や池に放さないでください(環境省の外来種リスト)。

基本データ

ゲンゴロウブナの基本データ
分類コイ科(Cyprinidae)
すむ水淡水
別名ヘラブナ
大きさ250〜500mm

知っておきたいこと

「守るべき魚」と「放流しないでほしい魚」の両方の顔を持つフナです。環境省の生態系被害防止外来種リスト第2版(2026年9月11日)は、琵琶湖・淀川水系以外のゲンゴロウブナ(ヘラブナ、カワチブナ)を国内由来の外来種として「防除検討外来種」にしました。植物プランクトンの種類の変化や交雑の影響が考えられるとする一方で、数のわりに生態系への影響は少ないという見解もあると、リスト自身が両方の意見を書いています。

ため池の水を抜いて外来種を除く「かい堀り」では、ほかの外来種と一緒に取り除かれることがあります。

大阪のカワチブナは、ため池のアオコ(植物プランクトン)を食べて育つとされます(大阪府の資料)。

よくある質問

ヘラブナとゲンゴロウブナは同じですか?
ヘラブナは、ゲンゴロウブナを大阪の河内地方のため池で改良した系統です。釣り人はゲンゴロウブナをまとめてヘラブナと呼ぶことが多く、環境省の外来種リストも「ゲンゴロウブナ(ヘラブナ、カワチブナ)」と並べて書いています。
ヘラブナとほかのフナの見分け方は?
ヘラブナ(ゲンゴロウブナ)は日本のフナでいちばん背が高く、背中が盛り上がっているので、外見で見分けやすい唯一のフナです。えらの鰓耙も90〜120本と非常に多く、植物プランクトンをこして食べます。
ゲンゴロウブナは絶滅危惧種なのに、なぜ外来種なのですか?
原産地の琵琶湖・淀川水系では数が減っていて、環境省のレッドリストで絶滅危惧IB類です。一方、改良されたヘラブナが釣り用に全国へ放流されたため、原産地以外では「本来いなかった魚」になります。そのため2026年の外来種リストでは、琵琶湖・淀川水系以外のゲンゴロウブナが防除検討外来種になりました。
ヘラブナを池や川に放してもいいですか?
いけません。法律で禁止されているわけではありませんが、環境省の外来種リストは、琵琶湖・淀川水系以外のゲンゴロウブナを原則として野外に放流しないこと、特に今いない水域には放流しないことを求めています。
数値の根拠と情報源

【名前・分類・分布】国立科学博物館「日本の固有種目録」(2019年)、Eschmeyer's Catalog of Fishes(C. cuvieri はどの資料でも独立種)、環境省 生態系被害防止外来種リスト第2版(2026年9月11日, 自然分布・各地への放流・生態系影響の両論)、日本大百科全書・大阪府の資料(ヘラブナ・カワチブナ)、霞ヶ浦河川事務所(霞ヶ浦への移植)。

【見分け方・生態】長野県水産試験場、日本大百科全書・世界大百科事典(鰓耙数・食べ物)、霞ヶ浦河川事務所(すみか・食べ物・産卵)。乗っ込み・ハタキの呼び名は釣り専門メディア(Honda 釣り倶楽部)。

【危険・法律】食品安全委員会「顎口虫」のハザード概要、環境省レッドリスト2020、IUCN(FishBase)、Yahoo!オークション ガイドライン細則、メルカリの禁止出品物(2026年10月25日確認)。