タナゴの種類と見分け方
かんたんに言うと
在来のタナゴは15前後の種・亜種で、ほとんどが絶滅危惧。口ひげ・側線・婚姻色で見分けるが、メスや雑種は難しい。法律や条例で捕まえることが禁止された種もいる。
目次
「タナゴ」は、コイ科タナゴ亜科(タナゴ科とする分類もあります)の小さな魚をまとめた呼び名で、同時に1つの種(タナゴ、別名マタナゴ)の名前でもあります。どれも生きた淡水の二枚貝のえらの中に卵を産むのが共通点です。
よく比べられる4種
見分けのポイント
国立環境研究所・農研機構・京都府の資料に書かれている特徴です。資料で確かめられなかった項目は「—」にしています。
| 種類 | 口ひげ | 側線 | 大きさ | 特徴 | 環境省レッドリスト |
|---|---|---|---|---|---|
| ヤリタナゴ | 1対(長い) | 完全 | 約10cm | 体高が低め。オスは背ビレ・尻ビレのふちが朱色 | 準絶滅危惧 |
| アブラボテ | 1対 | 完全 | 4〜7cm | ほかのタナゴより褐色が強い。オスはヒレのふちが黒い | 準絶滅危惧 |
| タイリクバラタナゴ(外来) | 無い | 不完全 | 6〜8cm | 体が平たく背が高い。オスの多くは腹ビレの前のふちに白い線 | (外来種) |
| ニッポンバラタナゴ | — | 不完全 | 約4cm | 腹ビレの前に白い線が無い。幼魚の背ビレに黒い斑 | 絶滅危惧IA類 |
| カネヒラ(関東・東北は国内外来) | 短い1対 | 完全 | 12〜13cm | 背が高く、背ビレ・尻ビレがとても大きい。秋に産卵 | 掲載なし |
| オオタナゴ(外来) | — | — | 20cmに達する | 在来のタナゴより大きく、婚姻色は雌雄とも薄い。特定外来生物 | (外来種) |
見分けの限界婚姻色の出たオスなら見分けやすいものの、メス・幼魚・雑種は外見だけでは難しく、農研機構の手引きも「あまり神経質に分類する必要はない」としています。タイリクバラタナゴとニッポンバラタナゴは形の差が小さく、香川県はDNAで判定しています。タナゴどうしの雑種は珍しくなく、雑種でも子を残せることが多いとされます。
二枚貝に卵を産む暮らし
タナゴのメスは産卵管を伸ばして、生きたイシガイ科の二枚貝のえらに卵を産みます。ミヤコタナゴの例では、卵は約4日でふ化し、20〜30日後に体長9mm近くになって貝から出てきます(千葉県)。
多くの種は春から初夏に産卵しますが、カネヒラ・イタセンパラ・ゼニタナゴは秋に産卵し、ふ化した仔魚は貝の中で冬を越して春に出てきます。一方、二枚貝の幼生はヨシノボリなどの魚のえらに一時的に付いて育つため、タナゴ・二枚貝・ハゼの仲間がそろって初めてタナゴが殖えられます(兵庫県)。
この二枚貝が激減していることが、タナゴが減った大きな原因です。愛媛県のマツカサガイは1990年代と比べて分布で90%、密度で99%以上減りました。2025年には、タナゴが産卵に使うカタハガイも種の保存法の国内希少野生動植物種になりました。
捕まえる・飼う・売るときのきまり
| 対象 | きまり |
|---|---|
| ミヤコタナゴ・イタセンパラ・スイゲンゼニタナゴ・セボシタビラ | 種の保存法の国内希少野生動植物種。捕まえる・人に譲る・売るための陳列や広告が原則禁止 |
| ゼニタナゴ | 2025年に「特定第一種国内希少野生動植物種」(動物で初めて)。捕まえることは禁止。ドブガイなどで繁殖できるため、繁殖させた個体を譲ることは禁止の対象外(業として行う場合は国への届出が必要) |
| ミヤコタナゴ・イタセンパラ | 国の天然記念物(ともに1974年。イタセンパラは魚で初めての指定) |
| 県の条例の例 | 滋賀県のイチモンジタナゴ、島根県のミナミアカヒレタビラは捕まえることが原則禁止。愛媛県はヤリタナゴを条例の特定希少野生動植物にしている(すべての県を調べたわけではない) |
| オオタナゴ(外来) | 特定外来生物(2016年から)。生きたまま飼う・運ぶ・人に譲ることが原則禁止 |
| タイリクバラタナゴ(外来) | 特定外来生物ではない(飼う・売るのは合法)。外来種リストでは防除推進外来種で、放流しない |
| 国産のタナゴ全般 | もともといない地域に放せば外来種(2026年の外来種リストで「自然分布域外の日本産タナゴ亜科全種」が防除検討外来種) |
釣りでも同じ釣って捕まえることも「捕獲」です。保護されている種がいる地域では釣りでも注意し、県の決まりを確認してください。このページでは、希少なタナゴのすむ場所は書いていません。
よくある質問
日本のタナゴは何種類いますか?
タナゴの見分け方は?
タナゴを捕まえてもいいですか?
タナゴは家で殖やせますか?
タナゴをメルカリやヤフオクで売れますか?
情報源・注記
種・亜種の数とレッドリストは環境省レッドリスト2020(第5次の汽水・淡水魚類はまだ公表されていない)、「3属17種・亜種」は鹿児島県の資料(2008年)、「4属18種類」は兵庫県立人と自然の博物館(2019年)。見分けのポイントは国立環境研究所 侵入生物データベース、農研機構「水路の生きもの」の手引き、京都府レッドデータブック、香川県(2025年)。暮らしは千葉県教育委員会(ミヤコタナゴ)、兵庫県立人と自然の博物館、淀川河川事務所(イタセンパラ)、秋田市の動物園(ゼニタナゴ)、兵庫県・愛媛県。法律は環境省(国内希少野生動植物種の一覧・ゼニタナゴの特定第一種指定・オオタナゴの特定外来生物指定・生態系被害防止外来種リスト第2版)、滋賀県・島根県・愛媛県の条例、千葉県教育委員会と淀川河川事務所(天然記念物)。学名は研究者で扱いが分かれる種がある(カゼトゲタナゴ・スイゲンゼニタナゴ・ミヤコタナゴなど)。写真は Wikimedia Commons。