淡水 外来種 川魚

タイリクバラタナゴ

Rhodeus ocellatus ocellatus / Rosy bitterling

かんたんに言うと

中国大陸などから入り、全国に広がった外来のタナゴ。口ひげが無く、オスは繁殖期に赤や青緑に色づく。在来のニッポンバラタナゴと交雑するので放さない。

タイリクバラタナゴのオス(繁殖期)。体の横の青緑の帯と、胸・腹の赤み。

撮影: book74 / CC BY-SA 3.0

目次

大きさ

6〜8cm

すむ水

淡水

外来種

毒・危険

記載なし

公的資料に毒の記載は見つからなかった

タイリクバラタナゴは、中国・朝鮮半島・台湾から入った外来のタナゴで、いまは北海道・本州・四国・九州の平野部の池・川のよどみ・水路・湖沼に広く定着しています(環境省)。全長6〜8cmほどの平たく背の高い魚で、口ひげが無く、体の横の線(側線)は途中までしかありません(国立環境研究所)。

繁殖期のオスは、背中側が青緑に輝き、顔の横から胸・腹が赤く色づきます。メスは産卵管を伸ばし、ドブガイなどの生きた二枚貝のえらの中に卵を産みます(3〜9月)。

観賞魚として大量に流通し、釣りの対象にもなっていますが、在来のニッポンバラタナゴと簡単に交雑することが大きな問題です。環境省は2026年9月の外来種リストで「防除推進外来種」にしています。

タイリクバラタナゴの見分け方

  1. 全長6〜8cm。体は平たく背が高い。口ひげが無い(ヤリタナゴ・アブラボテには1対ある)。
  2. 体の横の線(側線)は途中までしか無い(不完全)。
  3. 繁殖期のオスは背中側が青緑に輝き、顔の横〜胸・腹が赤い。
  4. 在来のニッポンバラタナゴとの違いは、オスの多くで腹ビレの前のふちに白い線があること、側線の孔のあるうろこが多いこと。ただしメスでは白い線が無いことが多く、確実な区別はDNAで調べる(香川県)。くわしくはタナゴの種類と見分け方へ。

似ている魚との違い

似ている魚 どこで見分けるか
ニッポンバラタナゴ 在来の亜種(環境省レッドリストで絶滅危惧IA類)。腹ビレの前のふちに白い線が無く、側線の孔のあるうろこが少ない。幼魚の背ビレにはっきりした黒い斑がある。見た目の差は小さく、確実な区別はDNA。
ヤリタナゴ 口ひげが1対あり、側線が最後まで続く(完全)。体高は低め。在来のタナゴで最も広く分布する。
オオタナゴ 全長20cmに達する大きな外来のタナゴで、婚姻色は雌雄とも薄い。特定外来生物で、生きたまま飼う・運ぶことが禁止。

分布と生息環境

原産は揚子江水系を中心とするアジア大陸東部(中国・朝鮮半島・台湾)です。日本では北海道・本州・四国・九州に定着しています(環境省・国立環境研究所)。

平野部の池・川のよどみ・水路、川の下流域、湖沼。産卵には生きた二枚貝(ドブガイなど)が必要。

生態(食べもの・産卵)

繁殖:3〜9月、メスが産卵管を伸ばしてドブガイなどの二枚貝のえらに卵を産みます。卵と稚魚は貝の中で育ち、泳げるようになってから貝の外へ出てきます(タナゴの仲間に共通)。

食べ物:動物プランクトンや付着藻類を食べる雑食です(国立環境研究所)。

在来の魚への影響:在来のニッポンバラタナゴと容易に交雑し、産卵に使う二枚貝をめぐってニッポンバラタナゴやゼニタナゴと競合します。ニッポンバラタナゴのすむため池では、池干しなどで取り除く取り組みが行われています(環境省・国立環境研究所)。

タイリクバラタナゴの釣り

タナゴ釣りの対象にもなる魚です。一部の地域では「たなご」として漁業権の対象になっている可能性があるとされているので(環境省)、釣る場所の漁協の決まりを確認してください。

タナゴの仲間には、種の保存法や県の条例で捕まえることが禁止されている種もいます。釣りでも捕まえたことになるので、見分けに自信がない場所では注意してください。釣った魚を別の川や池に放さないでください。

家で飼えるか

観賞魚として大量に流通していますが、家庭で飼うための公的な手引きは見つかりませんでした(水温・水槽の大きさ・混泳の目安は確認できていません)。

殖やすには生きた二枚貝が必要で、研究や施設では水槽に貝を入れて産卵させていますが、貝の種類が合わないと稚魚が出てこないこともあります(栃木県水産試験場のミヤコタナゴの試験)。二枚貝も多くの種類が減っているので、野外から採ってくることはすすめられません。

飼えなくなっても、川や池に放さないでください。水換えのときに、卵の入った貝や水草のかけらが川へ流れ出ないようにも注意します(環境省)。

基本データ

タイリクバラタナゴの基本データ
分類コイ科(Cyprinidae)
すむ水淡水
大きさ60〜80mm

知っておきたいこと

日本へは、食用に輸入したハクレンなどの稚魚に混じって1942年に関東に入り、放流で広がったとされます。琵琶湖へは1960年代の初め、霞ヶ浦で育てた真珠用のイケチョウガイと一緒に卵が運ばれたと推測されています(国立環境研究所)。

京都の深泥池では、1970〜80年代に在来のニッポンバラタナゴがタイリクバラタナゴに置き換わりました。香川県の2020〜2024年の調査では、12か所のため池のうち2か所でタイリクバラタナゴ型の遺伝子を持つ個体が見つかっています(香川県)。

ニッポンバラタナゴとは同じ種の別の亜種とされていて(日本の扱い)、見た目の違いはわずかです。

よくある質問

タイリクバラタナゴとニッポンバラタナゴの違いは?
タイリクバラタナゴのオスの多くには腹ビレの前のふちに白い線があり、側線の孔のあるうろこも多めです。ただし見た目の差は小さく、メスでは白い線が無いことも多いので、確実にはDNAで調べます(香川県)。
タイリクバラタナゴを飼うのは違法ですか?
違法ではありません。外来生物法の特定外来生物ではないので、飼うことや売ることは法律で禁止されていません。ただし環境省の外来種リストでは防除推進外来種で、川や池に放さないよう求められています。
タナゴはなぜ貝に卵を産むのですか?
タナゴの仲間は、メスが産卵管を伸ばして生きた二枚貝のえらの中に卵を産み、稚魚は貝の中で育ってから外へ出てきます。そのため、殖えるには生きた二枚貝が欠かせません。
飼えなくなったタイリクバラタナゴはどうすればいいですか?
川や池に放さず、最後まで飼うか、引き取ってくれる人を探してください。在来のニッポンバラタナゴと交雑するおそれがあります。
数値の根拠と情報源

【名前・分布・来歴】国立環境研究所 侵入生物データベース(原産・日本に入った経緯・形・婚姻色・繁殖・食べ物・影響)、Eschmeyer's Catalog of Fishes、環境省 生態系被害防止外来種リスト第2版(2026年9月11日)。国立環境研究所のデータベースにある「要注意外来生物」は2015年に廃止された区分のため使っていない。

【見分け方】国立環境研究所(腹ビレの白い線・側線)、京都府レッドデータブック(ニッポンバラタナゴとの違い・深泥池の置き換わり)、香川県(2025年, DNAでの判別と、ため池の調査)。

【法律・販売】環境省 生態系被害防止外来種リスト第2版、環境省(オオタナゴの特定外来生物指定, 2016年)、Yahoo!オークション ガイドライン細則、メルカリの禁止出品物。

【飼育】栃木県水産試験場(2018年, 二枚貝とミヤコタナゴの産卵の試験)、環境省の放流しない呼びかけ。家庭飼育の公的資料は見つからなかった。