海水 在来種 毒・危険あり 海の魚

ハオコゼ

Paracentropogon rubripinnis

かんたんに言うと

浅い藻場や岩場にいる全長10cmほどの小さなオコゼ。背ビレのトゲに毒があり、刺されると数時間〜数日痛む。死んでも毒は残るので素手で触らない。

ハオコゼ(水族館の展示)。まだら模様で、背ビレが頭の上から始まる。背ビレのトゲに毒がある。

撮影: harum.koh / CC BY-SA 2.0

目次

大きさ

5〜10.5cm

すむ水

海水

在来種

毒・危険

毒・危険あり

下の「毒・危険」を確認

ハオコゼは、本州から九州の沿岸の、浅い藻場や岩場にすむ小さなオコゼの仲間です。全長は10cm前後と小さく、赤や茶褐色に白・黒のまだら模様が入り、色は個体によってかなり違います。名前は「枯れ葉のようなオコゼ(葉虎魚)」に由来するとされます。

見た目はかわいらしい小魚ですが、背ビレのトゲに毒があります。刺されると痛みが数時間、ひどいと数日続き、患部が腫れ上がることもあります。しかも死んだハオコゼでも毒性は失われません(葉山町)。

警戒心が薄く泳ぎも遅いので、磯遊びの子どもでも簡単に捕まえられてしまう魚です。また海藻の茂みに隠れていることが多く、裸足で踏んで刺される危険もあります。堤防からの小物釣りでも、カサゴなどに混じってよく掛かります。

毒・危険

背ビレのトゲに毒があります(環境省・葉山町・京都府・研究論文が一致)。ほかのヒレや頭のトゲも危ないとする資料もあるので、どのトゲにも触らないのが安全です。

刺されると、激しい鈍い痛みが、時間がたつとやけどのような痛みに変わり、多くは数時間、ひどいと数日続きます。重いと患部が腫れ上がります(葉山町・京都府・環境省)。痛みの強さは刺さり方や場所によって違い、環境省は「オニオコゼほどではない」としていますが、軽く考えないでください。死んだハオコゼでも毒性は失われません(葉山町)。

刺されたときの応急手当て(公的資料の記載):すぐに傷口から毒を絞り出し、やけどしない程度のお湯に患部をつけると、痛みがある程度やわらぎます(環境省・葉山町)。お湯の温度は、日本中毒情報センターがオコゼ類など有毒なトゲを持つ魚全般について「45℃以下」としています。お湯は痛みをやわらげる応急手当てで、効き目の根拠は強くないとする医学的な見方もあります。

痛みが続くときは医療機関へ。 息苦しさ・気分の悪さなど全身の異変があるときは、すぐに救急を受診してください。迷ったときは日本中毒情報センターの「中毒110番」にも相談できます。

刺された・食べて具合が悪いときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

ハオコゼの見分け方

  1. 全長10cm前後の小さなオコゼ。赤や茶褐色に白・黒のまだら模様で、色は個体によってさまざま。
  2. 背ビレが頭の上まで前に張り出しているのが特徴。背ビレのトゲは14〜15本で、前のほうのトゲが長い。
  3. 体は左右に平たく、ひたいがやや張り出す。釣り上げると背ビレのトゲを立てることが多い。
  4. 色や柄はカサゴなどに似ることがあるので、色だけで判断しない。磯や堤防で小さなオコゼのような魚を見たら、素手で触らない。

似ている魚との違い

似ている魚 どこで見分けるか
オニオコゼ オニオコゼは最大全長36cmと大きく、水深200mまでの砂や泥の底に潜む。毒もハオコゼより強く、激痛のほかショック症状や呼吸困難が起きることもあるとされる。ハオコゼは全長10cm前後で、浅い藻場や岩場にいる。
カサゴ カサゴは10〜20cmと大きく、背ビレが頭の上までは張り出さない。色や柄は似ることがあるので色だけで判断しない。カサゴもヒレや頭のトゲが危ないとする公的資料(葉山町)があるので、「カサゴなら安全」ではない。
ミノカサゴ ミノカサゴは胸ビレ・背ビレがとても長く、羽のように大きく広がる。20〜25cmと大きい。やはりヒレのトゲに毒がある。

分布と生息環境

本州から九州の沿岸(瀬戸内海を含む)と、朝鮮半島の南部にすんでいます。分布の北の端は資料によって書き方が違い、「青森県から」「本州中部から」などとされています。

浅いアマモ場や岩礁、波のおだやかな岩場の藻場、磯。ホンダワラ類などの海藻(ガラモ)の茂みに隠れていることが多い。潮だまりでもふつうに見られる。

生態(食べもの・産卵)

警戒心が薄く、泳ぎもゆっくりしています。昼は物陰でじっとしていることが多く、夜に動くとされます(釣り専門メディアの記述)。食べものについての公的・学術的な資料は見つかりませんでしたが、小さな甲殻類などを食べるとする図鑑があります。

産卵は夏とされ、釣り専門メディアの図鑑では6〜8月、夕方にオスとメスがペアで泳ぎ上がって産卵すると書かれています。ただし、ハオコゼの産卵や卵について調べた学術論文は見つからず、くわしいことは確認できていません。

ハオコゼの釣り

ハオコゼをねらう人はまずいませんが、堤防や磯からの小物のウキ釣り・ちょい投げで、カサゴなどに混じってよく掛かる外道です。うっかり触って刺される例が多いと環境省は注意しています。

釣れたら素手で触らないでください。 公的資料がすすめる外し方は次のとおりです。いちばん無難なのは糸(ハリス)を切って海に返すこと(環境省)。外すなら魚ばさみ(京都府)やフィッシュグリップでつかんでから針を外します(神奈川県水産技術センターの研究者が監修した Honda の記事)。

磯遊びでは、動きが遅く簡単に捕まるので子どもが手でつかみがちです。手でつかまない、海藻の茂みには裸足で入らない(徳島県)、を約束しておいてください。

家で飼えるか

水族館では展示されていることがありますが、家庭で飼うときの情報や、観賞魚として売られている例は、今回の調査では確認できませんでした。死んだ個体でも毒は失われず、水槽の世話のたびにトゲに触れるおそれがあります。家庭で飼うことは勧めません。

基本データ

ハオコゼの基本データ
分類ハオコゼ科(Tetrarogidae)
すむ水海水
別名Hypodytes rubripinnis
大きさ50〜105mm

知っておきたいこと

学名は、日本の図鑑では今も Hypodytes rubripinnis と書かれていることが多いですが、国際的なデータベースでは Paracentropogon rubripinnis が使われています。科の扱いも分かれていて、ハオコゼ科(Tetrarogidae)とする資料と、オニオコゼ科の中のハオコゼ亜科とする資料があります。

背ビレのトゲからは、カラトキシン(Karatoxin)と名付けられたたんぱく質が取り出されています(2010年の研究)。ただしこれは細胞を使った実験の段階の研究で、人が刺されたときの症状との関係まで分かっているわけではありません。

京都府の丹後地方では、早春に定置網で大量に混じって獲れることがありますが、食べられる部分が少なく、食材としては使われていません。

よくある質問

ハオコゼに刺されたらどうすればいいですか?
すぐに傷口から毒を絞り出し、やけどしない程度のお湯に患部をつけると、痛みがある程度やわらぎます(環境省・葉山町)。お湯の温度は、日本中毒情報センターがオコゼ類など有毒なトゲを持つ魚全般について45℃以下としています。痛みが続くときは医療機関へ。息苦しさなど全身の異変があればすぐに救急を受診し、迷ったら「中毒110番」に相談してください。
ハオコゼに刺されると、痛みはどれくらい続きますか?
多くは数時間で、ひどいと数日続き、患部が腫れ上がることもあります。痛みの強さは刺さり方や場所によって違います。
死んだハオコゼでも刺されますか?
刺されます。葉山町の資料は、死んだ個体でも毒性を失わないとしています。釣り場に捨てられたハオコゼにも触らないでください。
ハオコゼの毒はどこにありますか?
背ビレのトゲに毒があります(公的資料と研究論文が一致)。ほかのヒレや頭のトゲも危ないとする資料もあるので、どのトゲにも触らないのが安全です。
ハオコゼとオニオコゼの違いは何ですか?
大きさとすむ場所が違います。ハオコゼは全長10cm前後で浅い藻場や岩場にいますが、オニオコゼは最大36cmになり、深いところの砂や泥の底に潜んでいます。毒はオニオコゼのほうが強いとされます。
ハオコゼとカサゴはどう見分けますか?
ハオコゼは背ビレが頭の上まで前に張り出しています。色や柄は似ることがあるので、色だけで判断しないでください。なお、カサゴのトゲも危ないとする公的資料があるので、どちらの場合も素手で触らないのが安全です。
子どもの磯遊びで気をつけることは?
ハオコゼは動きが遅く簡単に捕まるので、手でつかまないように教えてください。海藻の茂みに隠れていることが多いので、裸足で入らないことも大切です。
ハオコゼは食べられますか?
京都府の資料では「非食用」とされ、食べられる部分が少ないため食材としては使われていません。
数値の根拠と情報源

【名前・分類】学名 Paracentropogon rubripinnis は Eschmeyer's Catalog of Fishes・WoRMS・FishBase(旧学名 Hypodytes rubripinnis)。科はハオコゼ科(FishBase・WoRMS・国内資料)とオニオコゼ科ハオコゼ亜科(Catalog of Fishes)で分かれる。名前の由来は京都府海洋センター「丹後の海の生き物(ハオコゼ)」。

【大きさ・見分け方】最大全長10.5cm は FishBase(日本産魚類大図鑑による)。公的資料も10cm前後で一致。背ビレのトゲの本数は FishBase。背ビレが頭の上まで張り出す点は釣りメディアと百科事典の記述で、公的資料では確認できていない。メバル・ハゼ類との見分け方は出典が見つからず載せていない。寿命も資料が無く載せていない。

【分布・生態】FishBase、京都府海洋センター、環境省 せとうちネット、葉山町、徳島県水産研究所「徳島水研だより」第49号。北の端は資料で食い違う。夜行性・食べもの・産卵は Honda 釣魚図鑑など釣り専門メディアのみで、学術論文は見つからなかった。

【毒と応急手当て】背ビレのトゲの毒は環境省 せとうちネット「危険な生き物 ハオコゼ」、葉山町「海の危険な生き物」、京都府、FishBase、篠原ほか(2010)J. Pharmacol. Sci. 113(背ビレのトゲからたんぱく質 Karatoxin を分離)。他のトゲも有毒とする記述は釣りメディア・百科事典のみ。症状・死んでも毒性を失わない点は葉山町。応急手当ては環境省・葉山町、温度は日本中毒情報センター「魚刺傷・腔腸動物刺傷について」(オコゼ類など一般)。浸ける時間はハオコゼについての公的記載が無く書いていない。お湯の効き目の根拠が弱い点は Niżnik ほか(2024)Toxins 16(6) のレビュー。食べることは京都府(非食用・可食部が少ない)。

【釣り・磯遊び】環境省(糸を切る)、京都府(魚ばさみ)、Honda 釣り倶楽部「太公望通信」(神奈川県水産技術センター 工藤孝浩氏監修)、徳島県(裸足で踏む危険)、京都府海洋センター(磯遊びで簡単に捕まる)。

【法律】環境省 海洋生物レッドリスト(2017)魚類(本文検索で掲載なし)。IUCN は FishBase の表示による。