目次
大きさ
15〜30cm
すむ水
海水
在来種
毒・危険
毒・危険あり
下の「毒・危険」を確認
カサゴは、北海道南部から南の沿岸の岩場や藻場、消波ブロックの隙間などにすむ「根魚(ねざかな)」です。関西では「ガシラ」、九州では「アラカブ」と呼ばれます。よく見かけるのは20cm前後までで、大きいものは30cmほどになります。
体の色は暗い褐色から赤まで変異が大きく、浅い磯のものは黒っぽく、深い場所のものは赤っぽくなる傾向があります。頭のトゲが強く、口が大きく、近くに来たものは小魚でもひと飲みにします。
群れをつくらず、岩の隙間になわばりを持ち、ほとんど移動しません。山口県の放流調査では、10か月後に放流場所から4km以内で再び捕れています。昼は穴の中でじっとしていて、夜に出てきて餌を探します。
卵ではなく、お腹の中でかえした仔魚を産む(卵胎生)魚です。また、葉山町の資料は背ビレ・腹ビレ・頭のトゲに毒があるとしていて、刺されると激しい痛みが長く続きます。釣れたカサゴは素手でつかまないでください。
毒・危険
葉山町(葉山しおさい博物館)の資料は、カサゴは背ビレ・腹ビレ・頭部に有毒のトゲを持つとしています。国際的な魚類データベース(FishBase)もカサゴを「有毒」としています。ただし、オコゼやミノカサゴなどほかの魚と毒の強さを比べた資料は見つかりませんでした。
刺されると激しい痛みが長く続き、数時間後に患部が熱を持って腫れ上がることがあり、重症の場合は発汗・顔面蒼白・呼吸困難などの症状が出ることがあります(葉山町)。
刺されたときの応急手当て(公的資料の記載):すぐに傷口から毒を絞り出し、湯に患部をつけると、ある程度痛みをやわらげられます(葉山町)。お湯の温度は、日本中毒情報センターがオコゼ類など有毒なトゲを持つ魚について「45℃以下」としています。痛みが続くときは医療機関へ。息苦しさや気分の悪さなど全身の異変があるときは、すぐに救急を受診してください。
カサゴを名指しした寄生虫の公的な記載は見つかりませんでした(だからといって寄生虫がいないとは言えません)。
刺された・食べて具合が悪いときは、自己判断せず医療機関に相談してください。
カサゴの見分け方
- 頭のトゲが強く、口と目が大きい、ずんぐりした根魚。背ビレのトゲは12本(メバルは13本)。
- 体の横に暗い褐色の横帯(5本)と、まだら模様。色は黒っぽいものから赤いものまで変異が大きい。
- 目の下のふちにトゲが無い(メバルは目の前下方に鋭いトゲが2本、アヤメカサゴも目の下にトゲがある)。
- 胸ビレのやわらかいすじは通常18本(ウッカリカサゴは19本)。
似ている魚との違い
| 似ている魚 | どこで見分けるか |
|---|---|
| メバル | メバルは背ビレのトゲが13本(カサゴは12本)で、目がとても大きく、目の前下方に鋭いトゲが2本ある。岩のまわりを群れで泳ぎ、中層で止まっていることもある(カサゴは岩の隙間でなわばりを持つ)。くわしくはカサゴとメバルの違い。 |
| ウッカリカサゴ | 体の斑点に褐色の縁取りがあり、胸ビレのやわらかいすじが通常19本(カサゴは18本)。沖の深い場所にすみ、赤くて大きくなる。ただし色の変異が大きく、見分けにくい個体もいる。 |
| アヤメカサゴ | 赤い体に黄色の虫食いのような模様がある。目の下のふちにトゲがある。やや深い場所にすむ。 |
| ユメカサゴ | 沖合の水深200m前後より深い場所にすむ朱色の魚で、口の中(喉)が黒い。徳島では「のどぐろ」と呼ばれる(標準和名アカムツの「のどぐろ」とは別)。 |
| ハオコゼ | 全長10cm前後と小さく、背ビレが頭の上まで張り出している。色はカサゴに似ることがあるので色で判断しない。背ビレのトゲに毒がある。 |
分布と生息環境
北海道南部から南の日本の沿岸にすみ、国外では朝鮮半島・中国沿岸・台湾からフィリピン、ベトナムまで分布します。長い距離の回遊はしない魚です。
産まれた仔魚(全長約4mm)は泳ぐ力が弱く、数十日海を漂い、全長2cmほどで沿岸の浅場へ、3〜4cmで底の暮らしに移ります。
岩礁・藻場、岩の割れ目、消波ブロックの隙間。浅い磯から水深数十mの岩礁まで(最も深い値は資料で差がある)。小さいものは沿岸の浅場、大きいものは沖の深場にいる傾向。
生態(食べもの・産卵)
ゴカイの仲間・エビやカニ・小魚・イカなど、何でも食べる肉食の魚です。全長16〜18cmのカサゴが10cm以上のゴンズイを食べていた例もあります。昼はなわばりの穴でじっとしていて、近くに来た餌には飛びつきますが、夜は穴を出て積極的に餌を探します。山口県の観察では、夏は夕方7〜9時ごろにもっとも活発に食べていました。
卵胎生で、オスが先に成熟して秋に交尾し、メスは3〜4か月遅れて成熟します。メスは精子を体の中にためておき、卵が成熟するたびに受精させ、体内でかえした子を全長4mmほどで産みます。産む時期は地域で違い、おおむね11月ごろ〜春(福岡県の豊前海では最盛期12月)です。1シーズンに何回かに分けて産むので、1回で産み終えるメバルより産む期間が長いのが特徴です(同じ海域で比べた福岡県の研究)。1回に産む数は数千〜数万尾と資料で幅があります。
成長は海域と性別で違い、山口県では1年で全長7〜12cm、4年で20cmほど。オスのほうが速く育ちます。成熟は早いものは1歳、多くは2歳前後とされます。静岡県の標識放流では、11歳まで生きた個体が確認されています。
カサゴの釣り
一年中釣れる魚で、昼は隙間に隠れ、夜に活発になります。代表的な釣り方は次のとおりです。
落とし込み・探り釣り:堤防の際や岩の隙間に、アオイソメやモエビなどのエサを落として探ります。1〜2gのジグヘッドとワームでも釣れます。穴釣り(ブラクリ):オモリとハリだけの根掛かりしにくい仕掛けにサバやサンマの切り身をつけ、隙間に落として誘います。ルアー(ロックフィッシュ):根掛かりしにくいテキサスリグなどで、岩場や堤防の際を探ります。掛けたら岩に潜られないよう強めに寄せます。船:2〜3本バリの胴つき仕掛けで、イワシやサバの切り身を使います。
安全に関わる注意:海上保安庁(第二管区)は「消波ブロックの上は足場が狭く不安定で、隙間に落ちると自力で這い上がれず救助も難しい。消波ブロック上での釣りはやめましょう」と呼びかけています。消波ブロックに乗らず、足場のよい堤防の上から探ってください。
釣れたカサゴは、トゲに毒があるとする資料があるので素手でつかまないでください。大阪府は小さいカサゴの再放流を呼びかけています。
家で飼えるか
水族館ではよく展示されている魚ですが、家庭で飼うための公的・学術的な資料は今回の調査では見つかりませんでした。大きな口で小魚を丸飲みにする肉食の魚で、大きなカサゴは小さなカサゴも食べます。トゲに毒があるとする資料もあるので、水槽の世話のときも素手で触らないでください。
稚魚を育てる技術は確立していて、各県の栽培漁業センターで大量に生産されていますが、これは漁業の施設の話です。
法律・ルール
環境省の海洋生物レッドリスト(2017年)には載っていません(国際自然保護連合は未評価)。三重県・山口県・神奈川県・広島県・和歌山県などで、稚魚を育てて放流する栽培漁業が行われてきました。三重県の2024年度の評価では、資源の水準は「低位」、動向は「増加」です。
釣るときの大きさの制限は、今回調べた県(広島・香川・三重・大阪・千葉)では見つかりませんでしたが、全国を確認したわけではありません。大阪府は小さいカサゴの再放流を呼びかけています。釣る地域のルールを確認してください。
基本データ
| 分類 | メバル科(Sebastidae) |
|---|---|
| すむ水 | 海水 |
| 別名 | ガシラ、アラカブ |
| 大きさ | 150〜300mm |
知っておきたいこと
「ガシラ」はカサゴの代表的な地方名ですが、徳島ではユメカサゴやシロカサゴ、別の科のアカイサキまで「がしら」の名で売られていた例があり、名前だけでは種が決まりません。
釣り人が「オニカサゴ」と呼ぶ沖の深場の魚は、多くが標準和名「イズカサゴ」で、標準和名の「オニカサゴ」とは別の魚です(どちらもカサゴとは別種)。
カサゴは育てて放流する「栽培漁業」が各地で行われてきた魚ですが、効果の評価は地域で正反対です。広島県尾道地区では漁獲されたカサゴの22%が放流魚で「効果が高い」とされた一方、三重県では「効果は極めて小さい」、神奈川県城ヶ島では「資源は維持できるが費用対効果は1を下回る」と評価されています。定着性が強いので放流場所を守れば効果が出やすい反面、獲りすぎるとすぐ減る魚でもあります。
よくある質問
カサゴとメバルの違いは何ですか?
カサゴに毒はありますか?
ガシラ・アラカブとは何ですか?
カサゴは何年生きますか?
カサゴはいつ子どもを産みますか?
カサゴの穴釣りで気をつけることは?
ウッカリカサゴとの違いは?
数値の根拠と情報源
【名前・分類】学名・有効性は Eschmeyer's Catalog of Fishes(カサゴ属は4種、カサゴ自体を分ける見直しは見つからなかった)。科は資料で「メバル科」と「フサカサゴ科」に分かれる。地方名はコトバンク(日本大百科全書・世界大百科事典)、大阪府、徳島県水産研究課、DAIWA。オニカサゴとイズカサゴの名前の整理は徳島県。
【大きさ・成長・寿命】最大全長36.2cm は FishBase、一般向けは25〜30cmで資料に幅。成長は山口県「カサゴの種苗生産のてびき」、三重県の資源評価(静岡県の雌雄別成長を引用)。11歳は静岡県の標識放流(髙木・山田2019、三重県の資源評価が引用)。「13歳以上」は伝聞の形なので載せていない。
【見分け方】背ビレの棘(カサゴ12・メバル13)・胸ビレの軟条・目の下のトゲは日本大百科全書(尼岡邦夫)。ウッカリカサゴ・アヤメカサゴ・ユメカサゴは徳島県水産研究課と日本大百科全書。
【生態・繁殖】なわばり・定住性は世界大百科事典・山口県。昼夜の行動・食性・交尾と受精のずれ・産む回数は山口県。産仔期と「カサゴは何回も、メバルは1回」は福岡県水産海洋技術センター(豊前海、同じ海域で両種を比較)。1回の産仔数と成熟年齢は資料で食い違うため幅で書いた。
【毒】葉山町「海の危険な生き物」p.14(背ビレ・腹ビレ・頭部の有毒のトゲ、症状、応急手当て)、FishBase(Venomous)。温度は日本中毒情報センター「魚刺傷・腔腸動物刺傷について」。毒の強さの比較は資料が無く書いていない。
【釣り・安全】Honda 釣り倶楽部、DAIWA。消波ブロックの注意は海上保安庁 第二管区海上保安本部。
【法律・資源】環境省 海洋生物レッドリスト(2017)、FishBase(IUCN)。放流とその効果は三重県・山口県・神奈川県水産技術センター・広島県・和歌山県。全長制限は広島・香川・三重・大阪・千葉の範囲で見つからなかった。
海の魚のほかの種
海水
ゴンズイ
Plotosus japonicus
黄色い縦帯とヒゲ8本が目印の海のナマズの仲間。背ビレと胸ビレのトゲに毒があり、死んでいても刺される。夜釣りで釣れたら素手で触らない。
海水
アイゴ
Siganus fuscescens
磯や堤防で釣れる、白い斑点の平たい海の魚。背ビレ・腹ビレ・尻ビレのトゲに毒があり、死んでも刺される。西日本ではバリと呼ぶ。
海水
ハオコゼ
Paracentropogon rubripinnis
浅い藻場や岩場にいる全長10cmほどの小さなオコゼ。背ビレのトゲに毒があり、刺されると数時間〜数日痛む。死んでも毒は残るので素手で触らない。
海水
シロギス
Sillago japonica
砂浜や内湾の浅い砂地にすむ細長い銀色の魚で、投げ釣りの代表的な対象。毒は無い。よく似たアオギスは絶滅危惧種で、色では見分けられない。