海水 在来種 取り扱い注意 海の魚

マサバ

Scomber japonicus / Pacific chub mackerel

かんたんに言うと

背に黒い波模様、背ビレと尻ビレの後ろに小さなヒレが5つずつ並ぶ回遊魚。腹にゴマ点があればゴマサバ。生食はアニサキス、鮮度の落ちたものはヒスタミンに注意。

マサバ。背に黒い波模様があり、体の横から腹にゴマ点が無い。

撮影: Matsumomushi / Public domain

目次

大きさ

25〜45cm

すむ水

海水

在来種

毒・危険

取り扱い注意

下の「毒・危険」を確認

マサバは、日本の沿岸を大きく回遊するサバの仲間で、ゴマサバとあわせて「さば類」と呼ばれます。体は細長い紡錘形で、背に黒い波のような模様(サバ紋)があり、背ビレと尻ビレの後ろに小さなヒレ(小離鰭)が5つずつ並ぶのがサバの仲間の目印です。よく見かけるのは尾叉長30cm前後で、日本の資源評価では寿命7〜8歳(最高11歳)とされています。

よく似たゴマサバとは、腹側〜体の横の中ほどにゴマを振ったような黒い点があるかどうかで見分けます(マサバは無いか、あっても背の模様とつながる)。マサバは体が左右に平たく「平サバ」、ゴマサバは断面が丸く「丸サバ」とも呼ばれます。ただし小さい個体は模様では見分けにくく、研究機関は背ビレの長さを測る方法で判別しています。

太平洋側のマサバは、近年大きく減っています。国の評価(2025年12月公表)では、太平洋系群の親魚の量は目標の0.20倍で、これ以上は下げてはいけないとされる基準も下回りました。海の環境の変化と高い漁獲圧が重なった結果と国は整理しています。

食べるときの注意が2つあります。生や生に近い状態ではアニサキス(寄生虫)、鮮度が落ちたものではヒスタミン食中毒が起きることがあります。どちらも酢や加熱で安心とは言えないので、下の「毒・危険」を確認してください。

毒・危険

マサバに毒はありませんが、食べるときに注意が必要なことが3つあります。

アニサキス(寄生虫):厚生労働省は、アニサキスが寄生する魚の例にサバを挙げています。魚を食べるサバは、幼虫がいる小魚を多く食べるため体内に幼虫がたまりやすく、魚が死ぬと時間とともに内臓から身に移ります。予防は「−20℃で24時間以上の冷凍」か「70℃以上(60℃なら1分)の加熱」で、一般的な料理で使う酢・塩漬け・醤油・わさびでは死にません(しめさばも同じです)。なお食品安全委員会の実験では、冷凍庫を−20℃にして24時間では一部の虫が生き残り、魚の中心が−20℃になってから24時間おいて、すべて死にました。家庭の冷凍庫では時間に余裕を持たせてください。

ヒスタミン食中毒:鮮度が落ちたサバなどの赤身の魚にヒスタミンがたまって起こる食中毒です。加熱しても分解されません。食後数分〜30分ほどで、顔(とくに口のまわりや耳たぶ)が赤くなる・頭痛・じんましんなどが出て、たいてい6〜10時間で治まります(食品安全委員会)。唇や舌がピリピリしたら食べずに捨ててください。買ったらすぐ冷蔵し、長く置かないことが予防です。

サバのアレルギー・アニサキスアレルギー:アレルギーは、そのアレルギーを持つ人だけに起こります(ヒスタミン食中毒は誰にでも起こります)。アニサキスが原因のアレルギーは、加熱した魚でも症状が出ることがあります。じんましんや息苦しさなどの症状が出たら、医療機関を受診してください。

刺された・食べて具合が悪いときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

マサバの見分け方

  1. 背ビレと尻ビレの後ろに、小さなヒレ(小離鰭)が5つずつ並ぶ(サバの仲間の目印)。背に黒い波のような模様がある。
  2. 第1背ビレと第2背ビレが大きく離れている。尾のつけ根の横には小さな隆起が2本ずつある。
  3. ゴマサバとの違い:体の横の中ほどに黒いゴマ点が無い(あっても背の模様とつながる)。断面が平たい(平サバ)。
  4. 尾叉長20cm以下の小さな個体は、模様では見分けにくい。確実なのは背ビレの長さを測る方法(ゴマサバとの違いの表を参照)。

似ている魚との違い

似ている魚 どこで見分けるか
ゴマサバ 体の横の中ほどに黒いゴマ点が並び、背の模様とつながらない。断面が丸い(丸サバ)。第1背ビレと第2背ビレの間が、第1背ビレのつけ根の長さより長い(マサバは短い)。確実には、第1背ビレの第1〜第9棘のつけ根の間の長さが尾叉長の12%未満(マサバは12%以上)。ゴマサバのほうが南方系。
マアジ アジには体の横の線に沿って硬いうろこ(ゼイゴ)が並ぶ。サバは背ビレ・尻ビレの後ろに小さなヒレ(小離鰭)が5つずつあり、背に黒い波模様がある。
グルクマ 同じサバの仲間で、やはり背ビレ・尻ビレの後ろに小離鰭が5つずつある。南の海の魚で、稚魚は形だけではマサバと取り違えることがある(DNAで判明した例)。

分布と生息環境

日本周辺のマサバとゴマサバは、それぞれ太平洋系群と対馬暖流系群に分けて資源評価されています。マサバの太平洋系群は太平洋沿岸に広く分布し、春に伊豆諸島周辺などで産卵して、夏〜秋は三陸〜道東沖へ北上し、秋〜冬に南下します。対馬暖流系群は東シナ海南部から日本海北部の沿岸、黄海まで分布します。

マサバは温帯〜亜熱帯、ゴマサバは温帯〜熱帯の魚で、ゴマサバのほうが南方系です。両種とも国内では屋久島あたりまでが主な分布で、ゴマサバは沖縄島や石垣島でも記録があります。

近年は、親潮が弱まり黒潮の流れが北に寄ったことで常磐・三陸の海が高水温になり、マサバが日本近海の漁場に南下しにくくなりました。2023年以降は産卵の量が急に減り、産卵場も伊豆諸島周辺から北東へ移って、三陸での産卵も確認されています。

沿岸から沖合を群れで回遊する。昼は深め(水深130m程度まで潜る記録)、夜は表層に上がって餌をとるとされる。小魚(カタクチイワシなど)・オキアミなどの甲殻類・サルパ類を食べる。

生態(食べもの・産卵)

マサバの太平洋系群の産卵期は1〜6月で、主な産卵場は伊豆諸島周辺(3〜6月)です。日本近海のマサバは水温12〜24℃で産卵し、18℃前後がもっとも適しているとされます。卵はばらばらに海を漂うタイプで、産卵期のあいだに何回にも分けて産みます。ゴマサバ(太平洋系群)の産卵期は12月〜翌年6月、伊豆諸島周辺から西の黒潮周辺です。

マサバの稚魚は動物プランクトンを食べ、大きくなるとカタクチイワシなどの小魚、オキアミ、サルパ類を食べます。サメなどの大型魚やミンククジラに食べられます。

成長は地域や年代で違い、高知県のマサバでは1歳で尾叉長29cm、2歳で32cm、3歳で34cmほどでした。2歳で成熟する割合も年代で20〜50%と変わってきました。ゴマサバ(太平洋系群)は2歳でほぼすべて成熟し、寿命は6歳程度とされます。

マサバの釣り

群れが岸に寄れば、堤防のサビキ釣りで手軽に数が釣れる魚です。アミエビのコマセで群れを寄せ、疑似餌のついた針に食わせます。小サバは海面近くの上層を回遊していて一か所にとどまらないので、釣具店などで今釣れているかを確かめてから出かけるのが近道です。沖ではカゴ釣りやウイリー釣り、ルアーでも釣れます。

釣れる時期は地域や年の回遊によって大きく変わり、近年は回遊そのものが変わっているので、決まった月は示しにくい魚です。港には釣り禁止の場所や区域があることがあるので、事前に確認してください。

持ち帰る場合は、すぐに冷やす・早めに内臓を取ることが、ヒスタミン食中毒とアニサキスの両方の予防になります(厚生労働省)。

家で飼えるか

群れで泳ぎ回る大きな回遊魚で、家庭の水槽で飼う魚ではありません。日本では、人工的にふ化させた稚魚から育てる完全養殖のマサバの研究・事業も行われています(食品安全委員会の資料では、そうした養殖マサバ5万尾の調査でアニサキスは見つかっていません)。

基本データ

マサバの基本データ
分類サバ科(Scombridae)
すむ水海水
別名ヒラサバ、ゴマサバ、Scomber australasicus
大きさ250〜450mm

知っておきたいこと

マサバとゴマサバを確実に見分けるために、研究機関では次の方法を使っています。第1背ビレの第1棘のつけ根から第9棘のつけ根までの長さを測り、尾叉長(口先から尾ビレの切れ込みまで)で割ります。0.12以上ならマサバ、0.12未満ならゴマサバで、99%以上の精度とされています(中央水産研究所・徳島県・三重県)。まき網ではサバ類が一括で揚がるため、資源量の計算にこの方法で魚種を分けています。

それでも例外はあります。マサバとゴマサバの雑種が知られているほか、石垣島で採れた稚魚が、背ビレの数も12%の基準もマサバに一致したのに、DNAを調べたら別の魚(グルクマ)だった例が報告されています。

マサバの太平洋系群は、2013年生まれの群れが非常に多く資源が急増したあと、マイワシも増えて餌を奪い合い、成長が遅くなりました。2020年以降は資源が減っても成長の遅れが続き、成熟し始める年齢も上がっています。

よくある質問

マサバとゴマサバの違いは何ですか?
体の横の中ほどに黒いゴマ点が並んでいればゴマサバ、無い(あっても背の模様とつながる)のがマサバです。マサバは断面が平たく「平サバ」、ゴマサバは丸く「丸サバ」とも呼ばれます。確実に見分けるには、第1背ビレの第1棘から第9棘のつけ根までの長さを尾叉長で割り、0.12以上ならマサバ、未満ならゴマサバです(研究機関の方法、精度99%以上)。尾叉長20cm以下の小さい個体は模様では見分けにくく、雑種もいます。
サバのアニサキスは、しめさばの酢で死にますか?
死にません。厚生労働省は、一般的な料理で使う酢・塩漬け・醤油・わさびではアニサキスは死なないとしています。予防は−20℃で24時間以上の冷凍か、70℃以上(60℃なら1分)の加熱です。家庭の冷凍庫では、魚の中心が−20℃になるまで時間がかかるので、余裕を持たせてください。
「サバにあたる」とは何ですか?
いくつかの原因があります。鮮度が落ちたサバでヒスタミンがたまって起こるヒスタミン食中毒(誰にでも起こり、加熱で防げない)、サバそのもののアレルギー、サバに寄生するアニサキスが原因のアレルギーなどです。ヒスタミン食中毒は食後数分〜30分ほどで顔が赤くなる・じんましんなどが出て、たいてい6〜10時間で治まります。息苦しさなどがあれば医療機関を受診してください。
ヒスタミン食中毒は加熱すれば防げますか?
防げません。ヒスタミンは熱に強く、一度できると加熱しても分解されません。予防は、買ったらすぐ冷蔵する・エラや内臓を早めに取る・鮮度が落ちたかもしれない魚は食べないことです。唇や舌がピリピリしたら食べずに捨ててください。
マサバは減っているのですか?
太平洋側のマサバは大きく減っています。2025年12月公表の国の評価では、太平洋系群の親魚の量は目標の0.20倍で、限界とされる基準も下回りました。一方、日本海側(対馬暖流系群)は目標並み(1.03倍)です。海の環境の変化と高い漁獲圧が重なった結果と国は整理しています。ただし水産庁の希少性評価ではランク外で、絶滅のおそれがあるという評価ではありません。
マサバとゴマサバ、どちらが南の魚ですか?
ゴマサバのほうが南方系(暖かい海)の魚です。マサバは温帯〜亜熱帯、ゴマサバは温帯〜熱帯にすみます。
マサバの寿命は?
日本の資源評価では、マサバは7〜8歳(最高11歳)、ゴマサバは6歳程度とされています。
数値の根拠と情報源

【名前・分類】学名・英名は FishBase、下瀬・今井(2021)Fauna Ryukyuana 60。ヒラサバ・マルサバはコトバンク・三重県・高知県・中央水産研究所ニュース No.38。

【大きさ・寿命・成長】寿命7〜8歳(最高11歳)・ゴマサバ6歳程度は水産研究・教育機構の資源評価ダイジェスト(平成30年度)と神奈川県水産技術センター。高知県の成長は高知県水産試験場。成長の遅れと成熟年齢の上昇は水産庁 水産政策審議会資源管理分科会資料(令和8年5月)の補足資料。FishBase の最高18歳は世界の記録で日本の値ではないため使っていない。最大の大きさは資料で44.8〜64cmと幅があるため書いていない。

【見分け方】腹のゴマ点・断面の形は三重県水産研究所・徳島県「水研だより」第88号・高知県水産試験場。背ビレの12%判別法と精度99%以上は中央水産研究所ニュース No.38・徳島県・三重県。小さい個体で見分けにくい点は高知県。第1背ビレの棘の数は資料で範囲が違い重なるため、決め手として書いていない。12%判別法が使える大きさの下限は資料で食い違う。グルクマの稚魚の例と雑種は下瀬・今井(2021)と中央水産研究所ニュース。小離鰭5つずつ・尾のつけ根の隆起はコトバンク(日本大百科全書)・下瀬・今井(2021)・FishBase。

【分布・回遊・資源】水産庁「令和7年度我が国周辺水域の水産資源に関する評価結果」(2025-12-19公表、マサバ・ゴマサバの4系群)。回遊と近年の変化は神奈川県・高知県・水産政策審議会資料(令和8年5月)。資源再建計画の日程は県資料1点のみで国の一次資料が未確認のため書いていない。

【産卵】資源評価ダイジェスト、神奈川県、高知県、コトバンク(産卵水温)。卵数は資料で大きく食い違うため書いていない。

【安全】アニサキスは厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」と食品安全委員会「リスクプロファイル〜アニサキス〜」(2025年3月版)。ヒスタミンは厚生労働省「ヒスタミンによる食中毒について」と食品安全委員会ファクトシート「ヒスタミン」。アレルギーとの違いは神奈川県衛生研究所 衛研ニュース No.124 と食品安全委員会。

【法律】TAC は水産政策審議会資料(令和8年5月。太平洋系群の令和8管理年度TACは「案」の段階のため数値は書いていない)、希少性評価は環境省掲載「水産資源の希少性評価結果」。

【釣り】DAIWA「サビキ仕掛けで釣る」、Honda 釣り倶楽部。釣れる時期は資料で食い違い、回遊も変わっているため月を断定していない。