海水 在来種 取り扱い注意 海の魚

マアジ

Trachurus japonicus / Japanese jack mackerel

かんたんに言うと

体の横の線に沿って、頭の近くから尾までトゲのある硬いうろこ(ゼイゴ)が並ぶ魚。堤防のサビキ釣りの代表。生で食べるときはアニサキスに注意。

水族館のマアジ(須磨)。体の横の線に沿ってゼイゴが並び、えらぶたの上に黒い斑点が1つある。

撮影: Totti / CC BY-SA 4.0

目次

大きさ

15〜40cm

すむ水

海水

在来種

毒・危険

取り扱い注意

下の「毒・危険」を確認

マアジは、北海道南部から東シナ海までの日本の沿岸から沖合にすむアジ科の魚で、ふだん「アジ」と呼ぶのはふつうこの魚です。日本にいるマアジ属の魚はこの1種だけとされます。ふつうは30cm前後までで、堤防で釣れる小アジは8〜15cmほどです。

いちばんの特徴は、体の横の線(側線)に沿って並ぶ、トゲのある硬いうろこ「ゼイゴ(稜鱗)」です。マアジでは頭の近くから尾まで側線の全長に69〜73枚並びます。えらぶたの上には黒い斑点が1つあります。サバと違い、背ビレや尻ビレの後ろに小さなヒレ(小離鰭)はありません。

沿岸の瀬(根)に居着く、黄色っぽく体高の高い「キアジ」と、沖を回遊する、黒っぽく細長い「クロアジ」の2つの型がありますが、どちらも同じマアジです。

国が毎年資源評価をしている魚で、漁獲量の上限(TAC)が決められています。生で食べるときはアニサキス(寄生虫)に注意が必要です。

毒・危険

マアジは毒のある魚としては扱われていません。注意が必要なのはアニサキス(寄生虫)です。厚生労働省は、アニサキスが寄生する魚の例にアジを挙げています。

予防は「−20℃で24時間以上の冷凍」か「70℃以上(60℃なら1分)の加熱」です。一般的な料理で使う酢・塩漬け・醤油・わさびでは死にません。新鮮な魚を選び、丸ごと買ったり釣ったりしたら早めに内臓を取る、内臓を生で食べない、目で見て幼虫を取り除くことも予防になります。食後1時間〜数日でみぞおちの激しい痛み・吐き気などが出たら、医療機関を受診してください。

また、尾に近いゼイゴは鋭いので、さばくときにけがをしないよう注意してください。

刺された・食べて具合が悪いときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

マアジの見分け方

  1. 体の横の線(側線)に沿って、頭の近くから尾まで、トゲのある硬いうろこ(ゼイゴ)が並ぶ(69〜73枚)。
  2. えらぶたの上に黒い斑点が1つある。
  3. 背ビレ・尻ビレの後ろに小さな独立したヒレ(小離鰭)が無い(サバは5つずつ、マルアジ・ムロアジは尾のつけ根に1つずつある)。
  4. 尻ビレの前に、離れたトゲが2本ある。瀬付きの「キアジ」は黄色っぽく体高が高く、回遊する「クロアジ」は黒っぽく細長い(どちらもマアジ)。

似ている魚との違い

似ている魚 どこで見分けるか
マルアジ ゼイゴが体の後半(側線のまっすぐな部分)だけにあり、尾のつけ根に小離鰭が背側・腹側に1つずつある。背が青っぽく(「青あじ」)、断面が丸い。マアジとは属も違う(ムロアジ属)。
メアジ 眼が大きく、体の横に黄色い縦帯があり、ゼイゴは第2背ビレの始まりより後ろから並ぶ。えらぶたにマアジのような黒い斑点が無い。
ムロアジ 細長く、ゼイゴは側線のまっすぐな部分だけ。尾のつけ根に小離鰭があり、体の中央に黄色の縦帯が通る。
マサバ サバには背ビレ・尻ビレの後ろに小離鰭が5つずつ並び、背に黒い波模様がある。サバの形の説明にゼイゴは出てこない。

分布と生息環境

北海道南部から南の日本の沿岸、東シナ海、朝鮮半島の沿岸にすんでいます。春に北上し、秋に南下する季節の回遊をします。

国の資源評価では、太平洋系群(太平洋側の沿岸)と対馬暖流系群(東シナ海南部〜日本海北部の沿岸)に分けて評価されています。太平洋系群は、太平洋沿岸で生まれた群れと、東シナ海で生まれた群れからなると考えられています。日本周辺のマアジのおもな産卵海域は東シナ海です。

沿岸から沖合の表層〜中層を群れで泳ぐ(水深0〜275m、ふつうは50〜275m)。稚魚は流れ藻につく。プランクトンを食べ、太平洋側の群れは成長すると小魚も食べるようになる。

生態(食べもの・産卵)

仔魚はカイアシ類などの動物プランクトンを食べます。大人になると、日本海側(対馬暖流系群)では動物プランクトンや珪藻などのプランクトン、太平洋側(太平洋系群)では小魚も食べるようになります。稚魚はブリなどの魚に食べられます。

産卵期は海域で違い、対馬暖流系群は1〜6月(南ほど早く、盛りは3〜5月)、太平洋系群は冬〜初夏です。大分県の豊予海峡周辺では4〜6月、千葉・茨城沖では6〜8月でした。卵は海を漂うタイプです。

成熟は、国の資源評価では「1歳で半数、2歳ですべて」とされますが、千葉・茨城沖の研究では1歳の成熟個体は無く2歳で成熟しており、海域によって違います。

マアジの釣り

堤防のサビキ釣りの代表的な魚で、アミエビなどのコマセで群れを寄せ、疑似餌のついた針に食わせます。小アジは小サバやマイワシなどのイワシ類と一緒に釣れることも多い魚です。ほかに、ウキ釣り、ジグヘッドとワームを使うルアー釣り「アジング」、船からのビシ釣りなどがあります。

釣れる時期は地域で違い、関東の堤防の小アジは5月の連休明けから秋が目安、西日本では冬も釣れます。朝夕のマヅメどきは浅いところまで浮いてきてねらいやすく、夜は常夜灯のまわりが狙い目です。口が柔らかく切れやすいので、大きなものはタモですくいます。

サビキ釣りでは、卵巣・肝臓に猛毒があり皮にも強い毒のあるクサフグなどが外道で掛かることもあります。見慣れない魚は素手で触らず、フグは持ち帰らないでください。港には釣り禁止の場所や時間の決まりがあることがあるので、地元のルールを守ってください。

家で飼えるか

群れで泳ぐ回遊魚で、水族館では展示されていますが、家庭の水槽で飼うための資料は今回の調査では見つかりませんでした。

基本データ

マアジの基本データ
分類アジ科(Carangidae)
すむ水海水
大きさ150〜400mm

知っておきたいこと

ゼイゴは「ぜんご」とも呼ばれ、正式には「稜鱗(りょうりん)」といいます。鋭いトゲを持つので、さばくときや子どもの解剖の授業では、尾に近い側線のゼイゴでけがをしないよう注意されています。

寿命は、国の資源評価では5歳前後とされています。ところが千葉・茨城沖(常磐南部〜房総)で耳石(頭の中の小さな骨)の年輪を調べた研究では0〜19歳の個体が見つかり、熊野灘より西の海より成長が遅く、高齢の魚が多いことが分かりました。水温の低さが、ゆっくり育って長生きすることに関係している可能性があるとされています。

徳島では、小さいものを「あじな子」、マルアジ(青あじ)と区別して「平あじ」「赤あじ」と呼ぶなど、地域ごとに呼び名があります。

よくある質問

ゼイゴ(ぜんご)とは何ですか?
体の横の線(側線)に沿って並ぶ、トゲのある硬いうろこのことで、正式には「稜鱗(りょうりん)」といいます。マアジでは頭の近くから尾まで全体に、69〜73枚並びます。ゼイゴはマルアジ・メアジなどアジの仲間の多くにありますが、並ぶ範囲が種によって違い、見分けの手がかりになります。
アジとサバの違いは何ですか?
決め手は2つです。アジ(マアジ)は体の横の線に沿ってゼイゴが並び、サバは背ビレと尻ビレの後ろに小さなヒレ(小離鰭)が5つずつ並びます。サバの背には黒い波模様もあります。ただしマルアジ・ムロアジのように尾のつけ根に小離鰭が1つずつあるアジもいるので、小さなヒレの「数」で見てください。
マアジとマルアジの違いは何ですか?
マアジはゼイゴが頭の近くから尾まで並び、小離鰭がありません。マルアジはゼイゴが体の後半だけで、尾のつけ根に小離鰭が背側・腹側に1つずつあります。マルアジは背が青っぽく、断面が丸い魚です。
キアジとクロアジは別の魚ですか?
どちらも同じマアジです。沿岸の瀬に居着く黄色っぽく体高の高い型を「キアジ」、沖を回遊する黒っぽく細長い型を「クロアジ」と呼び分けています。
アジにアニサキスはいますか?
厚生労働省は、アニサキスが寄生する魚の例にアジを挙げています。予防は−20℃で24時間以上の冷凍か、70℃以上(60℃なら1分)の加熱です。酢・塩・醤油・わさびでは死にません。早めに内臓を取り、目で見て幼虫を取り除くことも予防になります。
アジはいつ釣れますか?
地域で違います。関東の堤防の小アジは5月の連休明けから秋が目安で、西日本では冬も釣れます。朝夕のマヅメどきは浅いところまで浮いてきてねらいやすく、夜は常夜灯のまわりが狙い目です。
アジの寿命は何年ですか?
国の資源評価では5歳前後とされています。ただし千葉・茨城沖では耳石の調査で19歳の個体まで見つかっていて、海域によって大きく違います。
アジは減っているのですか?
2025年度の国の評価では、太平洋側の群れは親魚の量が目標の約4割で、獲りすぎの状態とされています。日本海・東シナ海側の群れは目標の約7割で横ばいです。漁獲量の上限(TAC)で管理されています。
数値の根拠と情報源

【名前・分類】学名・英名は FishBase。日本のマアジ属が1種であることは日本大百科全書。地方名は三重県水産研究所、徳島県「水研だより」第112号、鳥取県水産試験場。

【大きさ・寿命・成長】最大は FishBase の全長50cm、百科事典では40cm・30cmと割れるため「ふつうは30cm前後」とした。寿命5歳前後は水産研究・教育機構と水産庁の資源評価資料、0〜19歳は多賀・山下(2018)水産海洋研究82(4)。小アジの大きさは Honda 釣り倶楽部。

【見分け方】ゼイゴの範囲と枚数・小離鰭が無いことは FishBase・三重県・日本大百科全書。えらぶたの黒斑は日本大百科全書・徳島県。マルアジ・メアジとの違いは京都府海洋センター「丹後の海の生き物(マルアジ)」と徳島県「水研だより」第94号・第112号。キアジとクロアジは鳥取県・神奈川県水産技術センター・日本大百科全書(長崎県の資料は原文が読めず使っていない)。

【分布・生態】FishBase、日本大百科全書、水産庁・水産研究・教育機構の資源評価資料(食性・産卵期)、大分県水産研究部、多賀・山下(2018)。卵の大きさ・産卵数は百科事典にしかなく載せていない。

【資源】水産庁「令和8管理年度TAC設定に関する意見交換会」資料3-1・3-2(2025-10-21。評価は2025年8月公開)、千葉県の資源管理協定の検証資料。令和8管理年度の国全体のTACの数量は確認できず書いていない。

【安全】アニサキスは厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しましょう」。毒については FishBase で「人に無害」(「毒が無い」と断言する公的資料は見ていない)。ゼイゴのけがは三重県とお茶の水女子大学附属小学校の授業案。

【法律】水産庁の希少性評価(環境省掲載「水産資源の希少性評価結果」)、IUCN は FishBase の表示。全長制限は広島県の一覧などで見つからなかった。

【釣り】Honda 釣り倶楽部(釣魚図鑑・サビキ釣り入門・アジング入門)、DAIWA。