卵を親から離す
メダカの親は卵を食べます。残したい卵は、産卵床や卵の付いた水草ごと、別の容器へ移します。容器はプリンカップ程度でも構いませんが、卵ひと塊に水500mlくらいが目安です。
コツ毎日決まった時間に見て回収するのがいちばん確実です。メダカは深夜から明け方に産むので、朝のうちに回収すると取りこぼしが減ります。
かんたんに言うと
明るい時間が13時間前後・水温18〜20℃以上で産み、関東の屋外なら盛りは5〜8月です。卵は親から離して水道水で毎日水を替え、25℃なら約10日で孵化します。
メダカは条件さえそろえば、毎日のように卵を産みます。難しいのは産ませることより、産んだ卵を孵化まで残すことです。親は卵を食べ、放っておいた卵にはカビが生えます。
このページは「いつ産むのか」と「見つけた卵をどう孵すか」の2つに答えます。卵を産みつけさせる道具は産卵床の作り方と選び方、孵化した後の針子の育て方はメダカの針子を育てる容器と設備にまとめています。
月で覚えるより、条件で覚えるほうが確実です。条件がそろえば室内でも冬でも産みます。
産卵のスイッチは2つあります。
屋外では、この2つがそろう4月下旬ごろから産卵が始まり、盛りは5〜8月です。9月に入ると日が短くなるにつれて減っていき、10月上旬ごろまで産むことがあります。
| 日付(さいたま市) | 日の出〜日の入り | 昼の長さ | 産卵の目安 |
|---|---|---|---|
| 4月10日 | 5:16〜18:10 | 12時間54分 | まだ短い。水温も低め |
| 4月20日 | 5:03〜18:19 | 13時間16分 | 13時間を超える。水温しだいで始まる |
| 6月21日(夏至) | 4:25〜19:01 | 14時間36分 | 最も長い。盛期 |
| 8月20日 | 5:04〜18:26 | 13時間22分 | まだ十分 |
| 8月31日 | 5:12〜18:11 | 12時間59分 | 13時間を切る |
| 9月30日 | 5:35〜17:27 | 11時間52分 | 減っていき、やがて止まる |
13時間は「線」ではなく「目安」昼の長さが13時間を切った翌日にぴたりと止まるわけではありません。日が短くなるにつれて、産む量が少しずつ減っていくと考えてください。地域が違えば日付もずれます(数値は国立天文台の暦計算室による2026年のさいたま市の値)。
室内なら季節を延ばせます。照明で明るい時間を13時間前後に保ち、ヒーターで水温を20℃以上にすれば、冬でも産卵します。ただし明るさを24時間つけっぱなしにすると、産卵のリズムが乱れるとされます。条件の詳しい話は改良メダカの繁殖のよくある質問にまとめています。
メダカは夜のうちに排卵し、深夜から明け方にかけて産みます。野外に近い環境では日の出の約4.2時間前に排卵するという2026年の研究があります。産んだ卵はしばらくメスのお腹にぶら下がったまま運ばれ、やがて水草や産卵床になすりつけられます。
つまり、昼に見たときに卵をぶら下げたメスがいなくても、産んでいないとは限りません。水草や産卵床に卵が付いていないかを見てください。
メダカの親は卵を食べます。残したい卵は、産卵床や卵の付いた水草ごと、別の容器へ移します。容器はプリンカップ程度でも構いませんが、卵ひと塊に水500mlくらいが目安です。
コツ毎日決まった時間に見て回収するのがいちばん確実です。メダカは深夜から明け方に産むので、朝のうちに回収すると取りこぼしが減ります。
卵の段階は、カルキの入った水道水そのままで管理します。カルキ(塩素)がカビを抑えてくれるからです。ただしカルキは1日ほどで抜けるので、毎日水を替えます。
注意これは卵だけの話です。孵化した針子は塩素に弱いので、孵化が近づいたらカルキを抜いた水か親の飼育水に切り替えます(→ 下の「孵化したら」)。
卵は付着糸でつながった塊になっています。塊のままだと水が通らずカビが出やすいので、指の腹で転がして糸を取り、1粒ずつにばらします。メダカの卵は硬いので、指でつまんでも有精卵は潰れません。
数日たって白く濁った卵は無精卵(または死んだ卵)で、孵化しません。放っておくとそこにカビが生え、隣の健康な卵にまで広がります。スポイトで毎日取り除いてください。
コツメチレンブルーを薄く入れると、無精卵が青く染まって見分けやすくなり、カビ止めにもなります。ただし光で分解するので、効かせ続けるには入れ直しが要ります。主役はあくまで「毎日取り除くこと」です。
孵化までの日数は水温で決まります。目安は水温25℃で約10日、20℃で約13日。透明な有精卵は、数日で中に黒い目が見えてきます。目が見えれば順調です。
メダカの卵は、水温×日数(積算温度)がおよそ250℃に達すると孵化するとされます。
| 水温 | 孵化までの目安 | ひとこと |
|---|---|---|
| 25℃ | 約10日 | 最も適した水温とされる |
| 20℃ | 約13日 | 春と秋の屋外はこのくらい |
| 15℃前後〜 | ほとんど進まない | 15℃を下回ると発生が止まりやすい(10℃以下で止まるとする記述もある) |
「孵化しない」と思ったら、まず日数を数える水温が低い時期は2週間以上かかることがあります。白く濁っていない卵は、焦って捨てないでください。透明で中に黒い目が見えていれば、生きています。
| 原因 | 見分けかた | 対処 |
|---|---|---|
| 無精卵だった | 育たず、数日で白く濁る(途中で死んだ卵も同じ見た目) | 孵化しないので取り除く |
| 日数が足りない | 透明で目が見えている。水温が低い | 捨てずに待つ(20℃で約13日) |
| カビが移った | 白い綿のようなものが付き、周りに広がる | カビた卵をすぐ取り除き、毎日水道水で水替え |
| 水質が悪くなった | 水を替えていない。水が濁る・におう | 毎日替える。卵どうしを詰め込みすぎない |
孵化した稚魚(針子)は体長4〜5mmで、ここから扱いが逆になります。水道水ではなく、カルキを抜いた水か、親が泳いでいる飼育水で育てます。網ではなく、スポイトやコップで水ごと移してください。
孵化してしばらくはお腹の栄養で過ごし、その後は口に入る細かい餌が要ります。容器の選び方はメダカの針子を育てる容器と設備、餌は針子(稚魚)を餓死させない育て方へ。
屋外で冬を越すには、体長1.5〜2cm以上に育っていることが目安とされます(必要な大きさは地域差が大きく、寒い地域ほど大きく)。9月下旬以降に生まれた稚魚は、寒くなる前にこの大きさへ届きにくくなります。
なので秋の卵は、無理に採らないか、室内で水温を保って育てるかを先に決めておくと迷いません。越冬の準備は屋外ビオトープでメダカを繁殖させるの四季の管理を参照してください。
産卵の条件(明るい時間・水温)は、情報源によって12〜13時間、18〜20℃と幅があるため幅で示しました。日長と産卵の関係(長日性、24時間照明でリズムが乱れる)は、当サイトの改良メダカのページで出典を示している学術研究に拠ります。夜間の排卵と産卵時刻は、大阪公立大学ほかの2026年の研究(Royal Society Open Science)に拠ります。昼の長さは、国立天文台暦計算室が公開している2026年のさいたま市の日の出・日の入り時刻から計算しました。関東の屋外での産卵期(4月下旬〜10月上旬、盛りは5〜8月)は、メダカ専門店・飼育解説の記述をつき合わせた目安です。孵化の積算温度(約250℃)と水温ごとの日数、15℃を下回ると発生が進みにくいこと、卵を水道水で管理してカビを防ぐこと、塊をほぐすこと、無精卵の見分け方とメチレンブルーの使い方は、メダカ専門店・用品販売店の記述が一致しており採用しました。オスの交尾回数が増えると受精率が下がることは、大阪公立大学 近藤ほか(2025, Royal Society Open Science)に拠ります。受精が産卵の瞬間に起こり、水中の卵が6分以内に受精できなくなることは Yanagimachi ほか(2017, Biology of Reproduction 96:780–799)、卵の膜が卵の活性化(付活)のあとに硬くなる仕組みは、上智大学・井内一郎氏の科研費研究「魚類卵の卵膜硬化カスケード」(1997〜1998、メダカ卵も基本的に同じ仕組みと報告)に拠ります。「無精卵は柔らかく潰れる」という見分け方は、飼育解説で広く書かれているものの裏付けが取れなかったため採用していません。発生が止まる水温は「15℃以下」と「10℃以下」で記述が割れているため、両方を示しています。越冬の目安(体長1.5〜2cm)は当サイトの夏越しのガイドで出典を示しています。主な参照先:国立天文台 暦計算室、東京アクアガーデン、nagoyakashop.jp、chokottoaqua.com、medaka-life.com、大阪公立大学ほか(2026年の産卵時刻の研究)。