混泳屋外・室内共通

メダカと混泳できる生き物

かんたんに言うと

屋外の本命はミナミヌマエビです。淡水だけで殖えるので買い足しが要らず、越冬もできます。青水を薄めたいならヒメタニシ。稚魚を確実に取りたい容器には入れません。

目次

メダカの容器に何かを足したくなったとき、選択を誤ると入れた日には何も起きず、数か月後に静かに失敗が見えてきます。買った直後は小さかった魚が育つ、餌が足りない日が来る、殖えすぎて置き場所がなくなる——どれも時間差で効いてくるからです。

このページは、その時間差を先に潰すための判定基準と、屋外のメダカ容器に実際に足す価値のある生き物を整理します。

結論

  • 迷ったらミナミヌマエビ。淡水だけで世代が繋がるので買い足しが要らず、屋外で越冬でき、残餌とコケを食べます。
  • 青水が濃すぎて困っているならヒメタニシを1〜3匹。水中の植物プランクトンを漉し取ります。逆に、針子の餌として青水を維持したい容器には入れないでください。
  • 魚は足さない。メダカ以外の魚を入れて得することは、繁殖を狙う容器ではほぼありません。
  • いま白く濁っている容器には、何も入れない。エビが最初に落ちます。先に水を落ち着かせます。

入れていいかを決める4つの関門

「相性がいい/悪い」という言い方は曖昧です。次の4つで機械的に判定してください。どれも、入れた日には答えが出ません。

  1. 水温:無加温で通年重なるか。屋外なら冬を越せるかが条件になります。ヒーターを足す時点で屋外飼育の利点が消えます。
  2. 終生サイズ:買ったときの大きさではなく、成魚になったときの体長。メダカは3〜4cmです。口に入るかどうかがここで決まります。
  3. 飢餓時の食性:普段おとなしいかではなく、餌が足りないときにどう振る舞うか。多くの「混泳できるはずだった」失敗はここです。
  4. 殖えるか:殖える/殖えない/殖えすぎる/条件次第。殖えないものは買い足しの費用が続き、殖えすぎるものは置き場所の問題になります。

5つめの関門:殖えたあとの出口殖えすぎたときに川や池へ放すのは絶対にやってはいけません。在来種との交雑、病気の持ち込みを招きます。環境省は「飼育している魚は最後まで責任を持って飼育し、野外に放流しないように」と明言しています。容器を増やす・譲る・出品する、のどれかで出口を用意してから殖やしてください。

候補を4関門で比較する

生き物屋外越冬終生サイズ稚魚・卵への食害殖えるか判定
ミナミヌマエビできる2〜3cm情報源が割れる(下記)淡水で殖える本命
ヒメタニシできる(在来)3cm前後なし卵胎生で殖える用途が合えば
ヤマトヌマエビやや不利4〜5cmほぼなし殖えない(幼生に汽水が必要)買い足し前提
イシマキガイやや不利2cm前後なし殖えない(汽水が必要)コケ取り専用
シマドジョウ類できる8〜12cm卵・稚魚は食べる家庭では殖えない繁殖容器には不可
マドジョウ(普通のドジョウ)できる15cm前後食べる家庭では殖えない入れない
金魚できる15cm以上食べる—入れない
スジエビ・テナガエビできる3〜10cm肉食。成魚も襲う多くは汽水が必要入れない

表の読み方「稚魚・卵への食害」の欄が空欄でない生き物は、繁殖を狙っている容器には入れられないという意味です。観賞用の容器なら選択肢に入ります。目的で判定が変わります。

本命:ミナミヌマエビ

屋外のメダカ容器に足すなら、まずこれです。決め手は「淡水だけで世代が繋がる」ことで、これは同居候補のなかでほぼ唯一の性質です。一度入れれば自分で維持されるので、買い足しの費用が続きません。繁殖のしかたと採算はミナミヌマエビの種ページにまとめています。

  • 食べるもの:食べ残し、コケ、枯れた水草、死骸。積極的な捕食者ではありません。
  • 越冬:屋外で可能。おおむね5〜28℃。高水温と急変には弱いので、夏の遮光はメダカと共通です。
  • 弱点:酸欠と残留農薬。水質の変化に対してメダカより先に反応します。

稚魚への食害は、情報源が割れています比較記事には「食害はほぼない」とするものがある一方、「卵や稚魚は成魚より捕食されやすい。小さくて動きが遅く、卵に至っては動かないため」と明記する媒体も複数あります。被害がないという飼育者の報告もあり、どちらか一方を正解として断定できる状況ではありません。当サイトの整理は、「積極的に襲う生き物ではないが、針子は"弱った個体"との境界が曖昧なサイズなので、確実に数を取りたい時期の容器には入れない」です。

知っておくべきこと:「ミナミヌマエビ」として売られているものの多くは外来個体群です

2000年前後から、中国・韓国由来のカワリヌマエビ属の個体群が日本各地の河川で見つかっています。もともとは釣り餌用に大量輸入されたもので、近年は観賞用の通信販売でも流通しており、その一部が野外に定着しました。アクアリウムでは在来種と同じ「ミナミヌマエビ」という商品名で売られていることがほとんどです。

在来のミナミヌマエビとは形態がきわめて似ており、交雑も起きているため見た目での区別は困難で、正確な判別には遺伝子解析が要るとされます。純系の在来個体群が失われることが危惧されています。

法的には、国の特定外来生物には指定されていません(飼うことも売ることも違法ではありません)。ただし滋賀県の条例では「指定外来種」に指定されており、野外への放逐が禁止され、飼育には届け出が必要とされています。国立環境研究所の侵入生物データベースは、生態系への影響を現時点で「不明」としています。

実務上の結論飼うのは問題ありません。放すのが問題です。どちらの系統か買った側には判別できない以上、在来個体群と交雑させない唯一の確実な方法が「野外に出さないこと」になります。殖えすぎたときの出口を、飼い始める前に決めておいてください。

水の濁りが気になるなら:ヒメタニシ

日本の河川や湖沼に分布する在来の巻貝で、大きくても3cm程度。低水温に強く、屋外の容器で通年飼えるのが強みです。メダカを攻撃しませんし、稚魚への食害もありません。

特徴的なのは濾過摂食で、壁面のコケを削り取るだけでなく、水中に漂う植物プランクトンや有機物を漉し取って食べます。この働きから「濃くなりすぎた青水を薄める」「水の透明度を上げる」用途で紹介されます。

目的が正反対になることがあります針子を育てるためにグリーンウォーターを維持したい容器に入れると、その青水を漉し取ってしまいます。「青水を作りたい容器」と「透明にしたい容器」は分けて考えてください。この2つを同じ容器でやろうとすると、どちらも中途半端になります。

白濁に効くとは言えません濾過摂食は浮遊する有機物と植物プランクトンに対する働きです。白濁(有機物を分解するバクテリアの急増)に直接効くという検証データは確認できていませんので、濁りの対策としては補助と考えてください。原因を断つ手順は白濁のガイドにあります。

卵胎生で、体内で育った子貝を産みます。殖えるので最初は1〜3匹から始めて、足りなければ足すのが無難です。

入れてはいけないもの

  • 肉食のエビ(スジエビ・テナガエビ):掃除役のヌマエビ類とは食性がまったく違います。夜間に魚を襲います。野外で採集したエビを「エビだから大丈夫」と入れないでください。
  • マドジョウ・金魚・大きくなる魚:終生サイズがメダカと違いすぎます。「今は小さいから」は判断材料になりません。
  • 野外で採集した生き物全般:ヤゴ(トンボの幼虫)はメダカを食べる最大の天敵で、水草や採集した水に紛れて入ります。ほかにヒドラ・プラナリア・寄生虫の持ち込みもあります。
  • 無農薬表記のない水草:生き物ではありませんが、事故の件数ではこれが上位です。エビは残留農薬に極端に弱く、一晩で全滅することがあります。

屋外容器の天敵と防ぎ方は屋外ビオトープのガイドに一覧があります。

針子がいる容器はどうするか

ここは目的で分かれます。

  • 確実に数を取りたい(選別して残す個体を作りたい):何も入れません。針子容器は1か月前後の期間限定なので、掃除役を入れる利益より、食害の不確実性を抱えるコストのほうが大きくなります。
  • 親と同居させたまま、自然に増える分でよい:入れて構いません。ただし水草の茂みを厚くすること。針子にとっても稚エビにとっても、茂みの量がそのまま歩留まりになります。

針子容器の作り方はメダカの針子を育てる容器と設備、親と分けるかどうかの判断は同記事の「そもそも、親と分けないとダメ?」にまとめています。

入れるときの手順

1

水が澄んでから入れる

白く濁っている容器、立ち上げたばかりの容器には入れません。エビは魚より酸欠と水質変化に弱く、真っ先に落ちます。まず容器を落ち着かせてからにしてください。

注意白濁は分解性のバクテリアが大量にいる状態=酸素が余分に消費されている状態です。メダカが平気でもエビは別です。

2

「無農薬」と書かれた個体・水草を選ぶ

エビは残留農薬に極端に弱く、水草経由の農薬で一晩で全滅する事故が繰り返し報告されています。エビも水草も、無農薬表記のあるものを選びます。表記がないものは、別容器でしばらく管理してから入れます。

3

少数から始める

エビなら10匹前後、貝なら1〜3匹から。どちらも殖えます。最初から入れすぎると、あとで減らす作業のほうが大変になります。

コツ「掃除役」として入れるぶんには少数で足ります。数が要るのは、増やして売る目的のときだけです。

4

点滴法で時間をかけて水合わせする

エビは水質の急変に弱いので、温度合わせだけでは足りません。点滴法で1時間前後かけて慣らします。貝も同様に、袋のまま浮かべて温度を合わせてから入れます。

コツ手順は水合わせのガイドにまとめています。

5

隠れ家を確保する

エビは脱皮直後が無防備で、このときだけは魚に狙われます。ウィローモスや水草の茂みを入れておけば、そこで脱皮します。稚エビの生存にも茂みが要ります。

注意逆に言えば、茂みのない容器で殖やそうとしても稚エビは残りません。

点滴法をふくむ水合わせの具体的な手順は水合わせ・温度合わせのやり方に、白濁した容器の直し方はメダカの水が白く濁る原因と対処にあります。

よくある質問

ミナミヌマエビはメダカの針子(稚魚)を食べますか?
情報源が割れています。「食害はほぼない」とする比較記事がある一方、「卵や稚魚は成魚より捕食されやすい。小さくて動きが遅く、卵は動かないため」と明記する媒体も複数あります。実際に同居させていて被害がない、という飼育者の報告もあります。整理すると、ミナミヌマエビは積極的な捕食者ではなく、死骸や弱った個体を食べる掃除役ですが、針子は「弱った個体」との境界が曖昧なサイズです。確実に数を取りたい時期の針子容器には入れない、親と同居している容器なら茂みを厚くする、というのが現実的な折り合いです。
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビ、どちらがいいですか?
メダカと長く付き合うならミナミヌマエビです。コケ取り能力はヤマトのほうが上ですが、ヤマトは幼生に汽水が必要で家庭の淡水では殖えないため、寿命が来るたびに買い足す前提になります。ミナミは淡水だけで世代が繋がるので、一度入れれば勝手に維持されます。また、ヤマトは体が大きく力も強いため、餌を横取りしたり水草を荒らしたりすることがあります。屋外飼育ならミナミ一択と考えて構いません。
ヒメタニシを入れると水が澄みますか?
ヒメタニシは濾過摂食といって、水中に漂う植物プランクトンや有機物を漉し取って食べます。この働きから「濃くなりすぎた青水を薄める」「水の透明度を上げる」と紹介されます。ただし、白濁(有機物を分解するバクテリアの急増)に対して直接効くという検証データは確認できていません。過度に期待せず、あくまで補助と考えてください。濁りを消したいなら、原因である給餌量と密度に手を入れるほうが確実です。
ヒメタニシを入れるとグリーンウォーターが消えてしまいませんか?
そのとおりで、目的と矛盾します。ヒメタニシは植物プランクトンを漉し取るので、針子の餌としてグリーンウォーターを維持したい容器に入れるのは逆効果です。「青水を維持したい容器」と「透明にしたい容器」を分けて考えてください。同じ理由で、濃くなりすぎた青水を薄めたいときにはヒメタニシが役に立ちます。
金魚やドジョウと一緒に飼えますか?
勧めません。金魚は終生サイズがメダカと違いすぎ、口に入るものは食べます。ドジョウは種類で判断が分かれ、シマドジョウ類は比較的おとなしいものの卵と稚魚は食べます。マドジョウ(一般に「ドジョウ」として売られているもの)は飼育下で15cm前後まで育ち、成長すると水生昆虫や貝まで食べる動物食性なので、繁殖を狙う容器には入れないでください。名前ではなく、その口が何に向いているかで判断します。
同居させると何が得なのですか?
掃除の手間が減ることと、目に見えにくい残餌が処理されることです。エビは食べ残しとコケを、貝は壁面のコケと沈殿した有機物を食べます。結果として水が汚れにくくなり、白濁や藻の発生が起きにくくなります。ただし「掃除役がいるから餌を多く入れていい」わけではありません。エビも貝も食べれば糞をするので、入力そのものが減るわけではないからです。
殖えすぎたらどうすればいいですか?
絶対にやってはいけないのは、川や池に放すことです。飼育個体の放流は在来種との交雑や病気の持ち込みを招きます。ミナミヌマエビとして流通しているものの多くは中国・韓国由来の外来個体群である可能性が高く、在来ミナミヌマエビとの交雑が問題になっています。滋賀県では条例で指定外来種とされ、野外放逐が禁止されているほどです。容器を増やす、知人に譲る、フリマで出品する(規約を確認のうえ)、といった形で対応してください。
冬はどうなりますか?
ミナミヌマエビもヒメタニシも日本の在来分布を持つ生き物で、屋外の容器で越冬できます。メダカと同じく、水温が下がったら餌を止めて触らないのが基本です。ただし容器が小さいと全面凍結のリスクがあるため、水深を確保し、日当たりのよい場所に置いてください。ヤマトヌマエビは低水温にやや弱いとされ、屋外越冬の確実性ではミナミに劣ります。
情報源・注記

混泳の可否は、アクアリウム専門業者・メダカ専門メディアの比較記事をつき合わせ、4関門(水温・終生サイズ・飢餓時の食性・殖えるか)の形に整理し直しました。ミナミヌマエビによる稚魚・卵への食害は情報源が真っ二つに割れているため、どちらかを正解とせず両論で記載しています。ヒメタニシが白濁に効くという検証データは見つかりませんでしたので、濾過摂食の対象(浮遊有機物・植物プランクトン)に限定して書き、白濁への効果は明示的に「確認できていない」としています。カワリヌマエビ属(シナヌマエビ等)の外来個体群については、国立環境研究所 侵入生物データベースを一次情報として確認し、国の特定外来生物には指定されていないこと、滋賀県条例では指定外来種として野外放逐が禁止され飼育に届け出が必要であること、影響評価が「不明」とされていることをそのまま採用しました。交雑の指摘は日本生態学会大会講演要旨および解説記事に拠ります。屋外越冬の可否・サイズ・食性の数値は飼育情報にもとづく目安で、対照実験の値ではありません。主な参照先:国立環境研究所 侵入生物DB、環境省(外来種被害予防三原則)、東京アクアガーデン、めだかラボ、サカナト。

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