淡水 在来種(地域により国内外来) 取り扱い注意 川魚

マナマズ

Silurus asotus / Amur catfish

かんたんに言うと

口に4本のヒゲがある、夜行性の大きなナマズ。釣りは夜が基本で、特定外来生物ではない。生食は顎口虫に注意。

釣れたマナマズ(琵琶湖。ルアーに掛かったまま地面に置いた状態)。口のまわりにヒゲがある。

撮影: rhosoi / CC BY 2.0

目次

大きさ

25〜60cm

すむ水

淡水

在来種(地域により国内外来)

毒・危険

取り扱い注意

下の「毒・危険」を確認

マナマズは、川の中流〜下流や湖、水田まわりの泥底にすむ、ナマズ目ナマズ科の淡水魚です。単に「ナマズ」と言えばふつうこの魚を指し、琵琶湖の固有種と区別したいときに「マナマズ」と呼ばれます。全長は辞典により25〜60cm前後とされ、70cm以上という記述もあります。

口のまわりにヒゲが4本(上あご2本・下あご2本。稚魚は6本)あり、うろこは無く、体は粘液に覆われ、頭は平たい形をしています。夜行性で、昼は岩陰や水草の陰に潜み、夕方から夜に小魚・カエル・エビなどを食べます。

もともとの分布は近畿以西で、愛知県より東では江戸時代より古い遺物が見つかっていません。今は離島を除くほぼ全国にいますが、東日本のマナマズは人の手で広がったものとみられ、移入元や経路は分かっていません(国立環境研究所)。

毒・危険

マナマズは、毒魚としては扱われていません。注意が必要なのは寄生虫(顎口虫)です。

顎口虫:愛知県衛生研究所によると、顎口虫の幼虫は淡水魚(ライギョ・コイ・ドジョウ・ナマズ)の筋肉にいることがあり、生で食べると感染しえます。多くは軽いかゆみですが、幼虫が体の中を動き回って皮膚の下を這うような痛みや腫れが出ることがあり、目や脳に入ると重い症状になることもあります。予防は、淡水魚を生で食べないこと、中心まで十分に加熱すること、または−20℃で3〜5日冷凍することです。仙台市は「酢で調理しただけでは虫は死なない」と注意しています。ナマズでの寄生の割合を示した資料は、見つかりませんでした。釣った魚を家庭で調理する方法は、このサイトでは勧めません。

ヒレの棘:マナマズの胸ビレ・背ビレの棘の毒や刺傷の記述は、公的な資料で見つかりませんでした。FishBase(魚類のデータベース)は人に無害としています。確認できていないので、素手で強く握らないのが安全です。

刺された・食べて具合が悪いときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

マナマズの見分け方

  1. 口のまわりにヒゲが4本(上あご2本・下あご2本)。稚魚は下あごにもう1対あって6本。
  2. うろこが無く、体は粘液に覆われる。頭は平たく、目は小さい。
  3. ビワコオオナマズ(琵琶湖と淀川水系の固有種)は、マナマズより下あごの突出が著しく、頭がより縦に平たい。腹は白い(京都府・滋賀県)。大きさは100cm程度に達する。ヒゲの本数での見分けは確認できていないので、本数では決めないこと。
  4. イワトコナマズは岩礁帯を好む琵琶湖水系の固有種で、マナマズより目が体の側面寄りとされる。釣り雑誌系のメディアでは「外見だけで見分けるのは難しい」とも言われる(確度は低め)。
  5. ヨーロッパナマズとチャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)は特定外来生物。ヨーロッパナマズは国内に定着していないとされる。マナマズとの外見の違いは公的な資料で確認できていないので、見慣れないナマズが釣れたら、持ち帰る前に自治体や環境省の窓口で確認を。

似ている魚との違い

似ている魚 どこで見分けるか
ビワコオオナマズ 琵琶湖と淀川水系だけにすむ固有種。下あごの突出が著しく、頭がより縦に平たい。100cm程度まで育つ。腹は白い。
イワトコナマズ 琵琶湖水系の固有種で、岩礁帯を好む。マナマズより目が体の側面寄りとされる。外見だけでの見分けは難しい(確度は低め)。
チャネルキャットフィッシュ 特定外来生物(アメリカナマズ)。生きたまま運んだり放したりできない。見慣れないナマズが釣れたら持ち帰る前に自治体へ確認を。
ゴンズイ 海の魚で、毒のある棘を持つナマズ目の別の魚。ヒゲが8本、体に黄色い縦帯がある。

分布と生息環境

国外では中国東部・朝鮮半島・台湾にも分布します。日本では、もともとは近畿以西の本州・四国・九州の魚で、東日本や北海道は人為的に移されて広がったとみられます(国立環境研究所)。図鑑によっては分布を「北海道南部〜九州」と、いまの状況で書いています。自然分布なのか国内外来なのかは、地域で違うことを知っておくと、釣ったあとの扱いを考えるときに役立ちます。

琵琶湖と淀川水系には、近い仲間のビワコオオナマズ・イワトコナマズがすみます。見分けは下の「見分け方」へ。

平野部の川の中・下流、湖沼、水田や用水路の泥〜砂泥底。昼は物陰に潜み、夜に動く。

生態(食べもの・産卵)

食べ物:肉食で、小魚・カエル・エビ類などを食べます。水面近くの小魚やカエルを下から捕らえ、ヒゲや体の側面の感覚器で獲物を探り、目にはあまり頼りません。

水温と活動:釣具メーカー(ダイワ)の解説では、水温が15℃を超えると活発になり、15℃以下では不活発、10℃以下では餌をとらなくなります。25〜30℃でいちばん活発とされます(メーカーの解説で、元になった論文の本文は確認できていません)。冬の行動は、公的な資料では確認できていません。

産卵:5〜7月ごろです(資料により5〜6月、5〜7月。琵琶湖周辺は5月末〜6月上旬、関東は5〜7月で盛りは6月中旬の梅雨のころとする釣具メーカーの解説もあります)。琵琶湖の周りでは、産卵期に内湾や田植え後の水田に大量に入り込みます。雄が雌の体にタイヤのように巻きついて産卵します。卵は黄緑色で、直径は2〜3mm前後、弱い粘着性があって水草などに付きます。産卵数や、増水・水温と産卵の関係は、マナマズについて確かな資料が見つかりませんでした。

成長:30cm前後で成熟します。稚魚は水田の側溝や用水路の泥底などで育つとされますが、確かな資料は限られます。

マナマズの釣り

ナマズは強い夜行性なので、釣りは夜が基本とされます(釣り雑誌系メディア)。ルアー(水面を泳ぐトップウォーター系)、ぶっこみ釣り、ウキ釣り、生きたカエルを餌にする伝統的な「ポカン釣り」などの釣り方があります。仕掛けの号数や餌の量などの細部は、公的な資料が無いので書きません。釣具店や釣具メーカーの解説で、その川・湖に合う方法を確認してください。

釣れる場所は、川の中・下流、湖、水田まわりの用水路など。時期は、通年釣れるが4〜6月がよいという釣りメディアの記述がある一方、水温が15℃を切ると食いが落ち、10℃以下では餌をとらなくなる、という解説(ダイワ)があります。冬の釣りは温排水まわりのような水温の高い場所が定番という記述もあります(確度は低め)。

釣った魚の扱いで気をつけること:胸ビレ・背ビレの棘の性質は、マナマズについて公的な資料で確認できていません(ナマズ類の中で毒棘を持つと知られるのは、日本ではギギ科・アカザ科とする総説があります。海のナマズに似たゴンズイは毒棘を持つ別の魚です)。素手で強く握らず、フィッシュグリップやタオルを使うのは、一般的な安全配慮です。釣った魚を別の川や池に放さないことも大切です(上の「分布」の節のとおり、国内でも持ち込まれた先で在来の魚を食べて影響を与えうるため)。

家で飼えるか

飼っている人はいますが、家庭向けの公的な飼育の手引きは見つかりませんでした。確かなのは次のことだけです。

・日本大百科全書は「神経質で、飼育し始めは餌につきにくい」と書きます。 ・肉食で、小魚やエビを食べます。同じ水槽の小魚は餌になりうるので、混泳には向きません(食性からの推測です)。 ・昼は物陰に潜む習性があります。 ・大きくなる魚(25〜60cm前後、大きいと70cm以上とも)ですが、必要な水槽の大きさを示した資料は見つかっていません。

家庭で殖やせるかは、確認できていません。産卵は水田や水路のような広い浅場で、雄が雌に巻きつく行動が必要で、家庭の水槽で産卵・孵化させた資料は見つかりませんでした。埼玉県が成功した種苗生産は、稚魚の共食いを防ぐための飼育密度や給餌を研究した水産研究所の技術で、家庭で再現できるとは限りません。現実的には難しいと考えたほうが誠実です。

飼いきれなくなっても、川や池に放さないでください(国内でも、もともといない水域に持ち込まれると、在来の魚を食べて影響が出ます)。価格や採算は、販売の裏付けが無いので載せません。

基本データ

マナマズの基本データ
分類ナマズ科(Siluridae)
すむ水淡水
別名ナマズ、ニホンナマズ
大きさ250〜600mm

知っておきたいこと

ナマズは古くから「地震の前に騒ぐ」と言われてきました。江戸時代には地震とナマズを描いた「鯰絵」が出回りました。ただ、気象庁は、動物が地震の前に異常な行動をとる理由について「科学的に説明できていない」としていて、日時と場所を特定した地震予知の情報はデマだとしています。気象庁の説明にナマズそのものは出てこないので、「ナマズの予知は公的に否定されている」とまでは言えません。確かなのは、ナマズで地震を予測できる根拠は今のところ無い、ということです。

埼玉県では、ナマズは東部の郷土料理として古くから食べられてきました。稚魚期は共食いが激しく養殖が難しいとされていましたが、1993年(平成5年)に県の水産研究所が全国で初めて種苗生産に成功し、今は田んぼを活用した池で養殖されています。

よくある質問

ナマズは何時ごろ釣れますか?
夜行性で、日没直後から日の出前に活動するとされるので、釣りは夜が基本です(昼に狙う方法を紹介する記事もあります)。水温が15℃を超えると活発になり、10℃以下では餌をとらなくなります(ダイワの解説)。時期の目安は通年で、4〜6月がよいという釣りメディアの記述があります(確度は低め)。
ナマズ釣りに遊漁券は要りますか?
水域で違います。漁協が漁業権を持つ川や湖では遊漁券が必要で、ナマズを対象魚種に含む漁協も含まない漁協もあります。漁業権が設定されていない水域では、原則自由に釣れるとされます(広島県)。釣る前に、その川・湖の漁協の遊漁規則を確認してください。
ナマズに毒はありますか?
毒魚としては扱われていません。FishBase も人に無害としています。ただ、マナマズの胸ビレ・背ビレの棘の性質は公的な資料で確認できていません。日本で毒棘を持つ淡水のナマズ類はギギ科とアカザ科とする総説があります。海のナマズに似た魚のゴンズイは毒棘を持つ別の魚です。素手で強く握らないのが安全です。
ナマズは食べられますか?
古くから食べられ、埼玉県東部の郷土料理になっています。ただし愛知県衛生研究所は、顎口虫の幼虫が淡水魚(ナマズを含む)の筋肉にいることがあるとして、生で食べないこと、中心まで十分に加熱すること、または−20℃で3〜5日冷凍することを挙げています。釣った魚の調理法は、このサイトでは書きません。
ナマズの産卵時期はいつですか?
5〜7月ごろです(資料により5〜6月、5〜7月)。琵琶湖の周りでは、産卵期に内湾や田植え後の水田に入り込みます。雄が雌の体に巻きついて産卵し、卵は黄緑色で水草などに付きます。
ナマズは家で飼えますか?殖やせますか?
飼っている人はいますが、家庭向けの公的な飼育の手引きは見つかりませんでした。肉食で同じ水槽の小魚は食べられうること、飼い始めは餌につきにくいとされること、大きく育つことは確かです。必要な水槽の大きさは確認できていません。家庭での繁殖も確認できておらず、現実的には難しいと考えたほうがよいです。飼えなくなっても川や池には放さないでください。
ナマズは特定外来生物ですか?
マナマズは特定外来生物ではありません。ただし、同じナマズ目のヨーロッパナマズとチャネルキャットフィッシュ(アメリカナマズ)は特定外来生物で、生きたまま運んだり放したりできません。見慣れないナマズが釣れたときは、持ち帰る前に自治体へ確認してください。
ナマズは地震を予知しますか?
予知できるという科学的な根拠は、今のところありません。気象庁は、動物が地震の前に異常な行動をとる理由を「科学的に説明できていない」としています(ナマズを名指しした説明ではありません)。
東日本のナマズは外来種ですか?
もともとの分布は近畿以西で、愛知県より東では江戸時代以降の遺物しか見つかっていないため、東日本のナマズは人の手で広がったとみられます(国立環境研究所。移入元や経路は不明)。法律上の外来生物には指定されていません。
数値の根拠と情報源

【名前・分布・食性・産卵】国立環境研究所 侵入生物データベース「ナマズ」、日本大百科全書・世界大百科事典・ブリタニカ・図鑑NEO(コトバンク)、埼玉県「ナマズ」、FishBase。全長は辞典で食い違うので幅で書いた(FishBase の130cmは世界の種全体の値で使っていない)。 【見分け】京都府レッドデータブック2015(ビワコオオナマズ)、滋賀県広報レポート。イワトコナマズの見分けは釣りメディア(確度低)。 【活動・釣り】ダイワ D.Y.F.C「ナマズ」(メーカーの解説)。釣り方・時期は釣りメディア(TSURI HACK ほか、確度低)で、公的資料は見つからなかった。遊漁規則の仕組みは山梨県・広島県・新潟県の資料。 【危険・衛生】愛知県衛生研究所「顎口虫症」、仙台市、青森県。毒棘は皮膚科の総説(検索結果の抜粋のみ)と FishBase。 【法令】環境省 特定外来生物一覧、国立環境研究所。【地震】気象庁「地震予知について」、日本大百科全書。 調査の詳細:docs/research/manamazu-2026-11.md